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片言
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かたこと
ふりがな文庫
“
片言
(
かたこと
)” の例文
それに、まだ日本へ来たてだつていふんだけど、誰に教はつたか、
片言
(
かたこと
)
の日本語を時々使ふの。だから、なほ、悧巧には見えないわ。
モノロオグ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「アガンナサイ、アンタ。」とか、ただ「アンタ、アンタ。」とか、時々は「ホントニ、イロオトコダネ。」とか、そんな
片言
(
かたこと
)
であった。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
乳母
(
うば
)
の六条の
膝
(
ひざ
)
にのって、いつも院の
御所
(
ごしょ
)
に
出仕
(
しゅっし
)
する時と同じように、何もしらないで
片言
(
かたこと
)
を言ってわしに話しかけていました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あのちっちゃなぼっちゃんは、何時間ものあいだ、じぶんのかごのそばにすわって、かわいい
片言
(
かたこと
)
でおしゃべりをしているではありませんか。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
しかしこの女のここへ来たのは物好きだけではなさそうである。神父はわざと微笑しながら、
片言
(
かたこと
)
に近い日本語を使った。
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
片言
(
かたこと
)
をいふ間
斷食
(
だんじき
)
を守る者も、舌ゆるむ時至れば、いかなる月の頃にてもすべての
食物
(
くひもの
)
を貪りくらひ 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それであればこそ
路傍
(
ろぼう
)
で
耳朶
(
じだ
)
に触れた一言が、自分の一生の
分岐点
(
ぶんきてん
)
となったり、
片言
(
かたこと
)
でいう
小児
(
しょうに
)
の言葉が、胸中の
琴線
(
きんせん
)
に触れて、
涙
(
なみだ
)
の源泉を突くことがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ヘンリーは
片言
(
かたこと
)
ながらも日本語を話すので、半七は参考のためにいろいろの質問を提出したが、双方の言葉がよく通じないので、要領を得ないことが多かった。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「私は
小兒
(
こども
)
のお
喋
(
しや
)
べりは好かないから、」と彼はつゞけた。「だつて、私のやうな年とつた獨り者にはあれ達の
片言
(
かたこと
)
から來る愉快な聯想なんてあるもんですか。 ...
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
負ケズ嫌イナノデ、家ヘ来テカラ勉強シテフランス語ヤ英語モ
片言
(
かたこと
)
グライハシャベレルヨウニナッタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
老人は口をきく力もなく、みょうな
片言
(
かたこと
)
をいいながら、ふるえる手で、室内を指さしています。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
文治はもう此の島人を逃がしては此の島を出る
機会
(
おり
)
がないと思いまして、いろ/\上手を使って、話も
確
(
しか
)
と分りませぬが、
片言
(
かたこと
)
まじりで
交際
(
つきあ
)
いながら、
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
を
経廻
(
へめぐ
)
って
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若者
(
わかもの
)
は、
片言
(
かたこと
)
も
聞
(
き
)
きもらすまいと、
耳
(
みみ
)
をかたむけていましたが、
天女
(
てんにょ
)
が、
羽衣
(
はごろも
)
を
着
(
き
)
なければ
天
(
てん
)
に
帰
(
かえ
)
れぬといったので、これはなんたる
自分
(
じぶん
)
にとって、しあわせなことであろう。
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
南枝
(
なんし
)
の
梅花
(
うめ
)
は誘っても、
片言
(
かたこと
)
の
初音
(
はつね
)
の声は、まだ稀にしか聞かれないが、野路や山路の雪が解けると共に、めっきり
殖
(
ふ
)
え出してくるのが、今、天下に
遍
(
あまね
)
き武者修行と称する客で
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それは
広東語
(
カントンご
)
だ。もっとも、博士がまだ
片言
(
かたこと
)
もいえないときに、広東人の金氏が拾い上げて、博士を育てたんだからねえ、赤ちゃんのときに広東語を
喋
(
しゃべ
)
ったのは、あたり前だ」
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
林檎
(
りんご
)
のような
頬
(
ほお
)
をし、
片言
(
かたこと
)
交じりにしゃべりさえずり笑い、
脣
(
くち
)
づけをすればそのいきいきした肉体が感ぜらるる。ところが彼が見捨てられた時、どうなりゆくか考えてみたまえ。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
多少の
片言
(
かたこと
)
が
利
(
き
)
くものだから、婆様をつかまえてゴシンゾと言ってみたり、漁師の真黒なのをダンナサマと呼びかけたりするものだから、それが一層の愛嬌になってしまいました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
巴里
(
パリ
)
にいたとき、何度かこんな
片言
(
かたこと
)
を云っていたが、京都でこんな言葉を使うとはおもいもよらないことだ。関西に住み馴れた
仏蘭西
(
フランス
)
人なのだろう。橋を渡ってさっさと改札口へ行った。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
皆が食事をするテーブル、彼が隠れて遊ぶ
戸棚
(
とだな
)
、彼がはい回る
菱
(
ひし
)
形の
床石
(
ゆかいし
)
、おかしな話や恐ろしい話を彼にしてくれる種々な
皺
(
しわ
)
のある壁紙、彼だけにしか分らない
片言
(
かたこと
)
をしゃべる掛時計。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
もちろん会話などは、
片言
(
かたこと
)
一つ語るのを許されません。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
細身
(
ほそみ
)
の秒の指のおと、
片言
(
かたこと
)
まじりおぼつかな
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
六つでまだ
片言
(
かたこと
)
を仰言るの?
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
片言
(
かたこと
)
まじり
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
先に立ってゆく三人はしきりに小声で話していたが、やがてその声が高くなって、ロイドは
片言
(
かたこと
)
で云った。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
信長の顔いろ、
片言
(
かたこと
)
、気色など、鏡にうつして見るように、遠くにいてもわかっていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
片言
(
かたこと
)
は片言なりに美しさのある場合もあるけれども、男が使うような荒い言葉や下品な文句を、それと知らないで、しゃべっているのは、彼女の表情とちぐはぐな滑稽なものを感じさせた。
プウルの傍で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「どうも、今更、英語でもあるまいなんて、時々思うんだが、やつぱり、近頃は、
片言
(
かたこと
)
ぐらい喋れんと不自由でね。元来、勉強ぎらいと来てるんだから、先生、ひとつ、よろしく頼みますよ」
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
親は子供の
片言
(
かたこと
)
を聞きてまづ喜び、後これを眞似て子供をあやし眠らしむ
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
大商人の隣席にいた
赤髯
(
あかひげ
)
が、
片言
(
かたこと
)
の日本語でほめました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
細身
(
ほそみ
)
の秒の指のおと、
片言
(
かたこと
)
まじりおぼつかな
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
大人
(
たいじん
)
の莨の乏しいことは私たちも知っていると、彼は云うのである。実際、戦地では莨に不自由している。彼はさらに
片言
(
かたこと
)
の日本語で、こんな意味のことを云った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ふと珍しく思ったのは、ここで初めてまだ
片言
(
かたこと
)
の今年の
蛙
(
かわず
)
の声を聞いたことである。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
短檠
(
たんけい
)
の光は時折、
烏賊
(
いか
)
のような墨を吐き、風の間に、どこかで
片言
(
かたこと
)
の
初蛙
(
はつかわず
)
が鳴く。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして、
片言
(
かたこと
)
のマレー語で、もうここらでいいから降ろしてくれと言った。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ヨハンは
片言
(
かたこと
)
の日本語で
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“片言”で始まる語句
片言隻句
片言隻語
片言交
片言満了