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むのう
貴方がもし
私が一
般の
無智や、
無能や、
愚鈍を
何れ
程に
厭うておるかと
知って
下すったならば、また
如何なる
喜を
以て
彼は
依然として
無能無力に
鎖ざされた
扉の
前に
取り
殘された。
彼は
平生自分の
分別を
便に
生きて
來た。
其分別が
今は
彼に
祟つたのを
口惜く
思つた。
水に
影る
月を
奪はんとする
山猿よ、
無芸無能食もたれ
総身に
智恵の
廻りかぬる
男よ、
木に
縁て
魚を
求め
草を
打て
蛇に
驚く
狼狽者よ、
白粉に
咽せて
成仏せん
事を
願ふ
艶治郎よ
奉行を
無能というなかれ。
目付役人の
狼狽をののしるも、また
無理である。
其れでも
其無能の子を見すてゝ本家に帰ることを
得為なかった。
見兼ね給ふは
御道理なれども我等事
生れ付
無能ゆゑ是非なく
斯暮し候まゝ日々
進らする物も心に任せず右さへ
御厭ひなくば
假令此上何時迄居らるゝとも決して御氣遣ひに及ばずとて
押返しければ
靱負は
首を
町では、警察の
無能を
非難する声が、日ましにふえて来た。
貴方が
若し
私が一
般の
無智や、
無能や、
愚鈍を
何れ
程に
厭ふて
居るかと
知つて
下すつたならば、
又如何なる
喜を
以て
しかも
平生の
自分より
遙かに
無力無能な
赤子であると、
更に
自分を
認めざるを
得なくなつた。
彼に
取つては
新らしい
發見であつた。
同時に
自尊心を
根絶する
程の
發見であつた。