母樣かあさま)” の例文
新字:母様
丁度自分が、お祖父樣ぢいさま父樣とうさま母樣かあさま姉樣ねえさま一所いつしよに、夕餐ゆうげ團欒まどゐ最中さなかに、此の聲が起るのだからたまらない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それでも母樣かあさまわたし何處どこへかくので御座ござりましやう、あれ彼處あすこむかひのくるままする、とてゆびさすをれば軒端のきばのもちのおほいなるくものかゝりて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
旦那だんなさまのおもひも、わたしおもひもおなじであるといふこと此子これそもそをしへてれたので、わたし此子これをばきしめて、ばう父樣とうさまものぢやあい、おまへ母樣かあさま一人ひとりのだよ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もんをしめてうちれずにかしてやらん、とふをめて、其樣そのやう意地いぢわるはおつしやるな、母樣かあさまがおきヽにならばるし、れでも姉樣ねえさまたちは自分じぶんばかり演藝會えんげいくわい花見はなみきて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よしかへらずとて彼地あしこはお前樣まへさまのおやしきゆゑ、成長おほきうなりたまふまでのお留守居るすゐいまもおまうしたけれどそれこそさびしく、やにりて母樣かあさまこひしかるべし、なに柔順おとなしう成長おほきうなりたまへと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鎌倉かまくらかばおかへりのきにまりたれば、のこりてさびしからんよりれも一處ともにゆき、れも此邸こヽかへるまじ、父樣とうさま母樣かあさまや、れをてヽも諸共もろともかんとばかり、令孃ひめしづかにさとして
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)