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棟割長屋
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むねわりながや
ふりがな文庫
“
棟割長屋
(
むねわりながや
)” の例文
だが、房枝には、こういう建てこんだ
棟割長屋
(
むねわりながや
)
が、ことの
外
(
ほか
)
なつかしかった。それは房枝が、まだ見ぬ両親の家を思い出したからだ。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
学校といえば
体裁
(
ていさい
)
がいいが、実は
貧民窟
(
ひんみんくつ
)
の
棟割長屋
(
むねわりながや
)
の六畳間だった。
煤
(
すす
)
けた薄暗い部屋には、破れた
腸
(
はらわた
)
を出した薄汚ない
畳
(
たたみ
)
が敷かれていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
かくの如き
溝泥臭
(
どぶどろくさ
)
い堀割と
腐
(
くさ
)
った木の橋と肥料船や
芥船
(
ごみぶね
)
や
棟割長屋
(
むねわりながや
)
なぞから成立つ陰惨な光景中に寺院の屋根を望み
木魚
(
もくぎょ
)
と鐘とを聞く
情趣
(
おもむき
)
は
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あっしンとこなんざ、
若旦那
(
わかだんな
)
においでを
願
(
ねが
)
うような、そんな
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
住居
(
すまい
)
じゃござんせん。
火口箱
(
ほくちばこ
)
みてえな、ちっぽけな
棟割長屋
(
むねわりながや
)
なんで。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
四谷の
菱屋
(
ひしや
)
横町に、安政のころ
豆店
(
まめだな
)
という
棟割長屋
(
むねわりながや
)
の一廓があった。近所は寺が多くて、樹に囲まれた町内にはいったいに御小役人が住んでいた。
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
尤
(
もっと
)
も彼等の貧困は
棟割長屋
(
むねわりながや
)
に雑居する下流階級の貧困ではなかった。が、体裁を繕う為により苦痛を受けなければならぬ中流下層階級の貧困だった。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
御前
(
ごぜん
)
のお目にとまった、
謡
(
うたい
)
のままの山雀は、瓢箪を宿とする。こちとらの雀は、
棟割長屋
(
むねわりながや
)
で、
樋竹
(
といだけ
)
の
相借家
(
あいじゃくや
)
だ。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又「届けるって
九尺弐間
(
くしゃくにけん
)
の
棟割長屋
(
むねわりながや
)
へ君の
御尊来
(
ごそんらい
)
は恐入るから、僕が貰いに来ても
宜
(
よろ
)
しい」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
同
(
おな
)
じ
新開
(
しんかい
)
の
町
(
まち
)
はづれに八百
屋
(
や
)
と
髮結床
(
かみゆひどこ
)
が
庇合
(
ひあはひ
)
のやうな
細露路
(
ほそろぢ
)
、
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
る
日
(
ひ
)
は
傘
(
かさ
)
もさゝれぬ
窮屈
(
きうくつ
)
さに、
足
(
あし
)
もととては
處々
(
ところ/″\
)
に
溝板
(
どぶいた
)
の
落
(
おと
)
し
穴
(
あな
)
あやふげなるを
中
(
なか
)
にして、
兩側
(
りようがは
)
に
立
(
た
)
てたる
棟割長屋
(
むねわりながや
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
裏町の
棟割長屋
(
むねわりながや
)
の一軒を——一軒といったって、たった二
間
(
ま
)
の汚ねえ汚ねえ家だったが、それでも小屋の親分から、
別離
(
わかれ
)
に
貰
(
もら
)
った二分か三分の銭があったので、そこを借りることは出来たのさ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
容貌
(
きりやう
)
が能く音羽小町と
綽名
(
あだな
)
にさるゝ程にてあれば
氏
(
うぢ
)
なくて玉の輿に乘る
果報
(
くわはう
)
愛度
(
めでたく
)
其日
消光
(
くらし
)
の賣卜者の娘が大家の
嫁
(
よめ
)
に成なら親父殿まで浮び上り
左團扇
(
ひだりうちは
)
に成で有らうと然ぬだに口やかましきは
棟割長屋
(
むねわりながや
)
の
習慣
(
ならひ
)
とて老婆も
嚊
(
かゝ
)
も小娘もみな路次口に
立集
(
たちつど
)
ひ
姦
(
かしまし
)
と讀むじだらくの
口唇
(
くちびる
)
翻
(
かへ
)
す
餞舌
(
おちやつぴい
)
塒
(
ねぐら
)
求
(
もと
)
むる小雀の
群立騷
(
むらだちさわ
)
ぐ如くなり斯くとは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
上
(
あが
)
って見ると、
九尺二間
(
くしゃくにけん
)
の
棟割長屋
(
むねわりながや
)
ゆえ、戸棚もなく、
傍
(
かたえ
)
の方へ
襤褸夜具
(
ぼろやぐ
)
を積み上げ、
此方
(
こちら
)
に建ってあります
二枚折
(
にまいおり
)
の
屏風
(
びょうぶ
)
は、破れて取れた
蝶番
(
ちょうつがい
)
の所を
紙捻
(
かんぜより
)
で結びてありますから
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一體
(
いつたい
)
三間
(
みま
)
ばかりの
棟割長屋
(
むねわりながや
)
に、
八疊
(
はちでふ
)
も、
京間
(
きやうま
)
で
廣々
(
ひろ/″\
)
として、
柱
(
はしら
)
に
唐草彫
(
からくさぼり
)
の
釘
(
くぎ
)
かくしなどがあらうと
言
(
い
)
ふ、
書院
(
しよゐん
)
づくりの
一座敷
(
ひとざしき
)
を、
無理
(
むり
)
に
附着
(
つきつ
)
けて、
屋賃
(
やちん
)
をお
邸
(
やしき
)
なみにしたのであるから、
天井
(
てんじやう
)
は
高
(
たか
)
いが
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
棟
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
割
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
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棟割長家