本堂ほんどう)” の例文
と、こまってべそをかきました。するうち、ふとなにおもいついたとみえて、いきなりお重箱じゅうばこをかかえて、本堂ほんどうして行きました。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
平生へいぜいは、あまりおまいりにゆくひともなく、すずめが、本堂ほんどう屋根やねや、またかねつきどうのまわりで、かしましくいているばかりです。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ワーッというときの声は、もう山門ちかくまで聞えてきた。寺内は、本堂ほんどうといわず、廻廊かいろうといわずうろたえさわぐ人々の声でたちまち修羅しゅらとなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしは、ちょっといって、さがしてくるでな。おまえは、本堂ほんどうのえんの下へ、わらをどっさり、入れといてくれ。」
のら犬 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ばんになりますと、二人はおにの人形をかついで、盗賊とうぞく古寺ふるでらへ行きました。それからさるは人形の中にはいって、一人でのそのそ本堂ほんどうにやってゆきました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
すると夜中の一時ごろであろうか。本堂ほんどうの方の廊下ろうかを歩く大きな足音がきこえて来た。その足音は少なくも八本か十本ぐらいの足でみならす音であった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
本堂ほんどう如來によらいさまおどろきて臺座だいざよりころ落給おちたまはんかとあやぶまるゝやうなり、御新造ごしんぞはいまだ四十のうへいくらもさで、色白いろしろかみうすく、丸髷まるまげちいさくひてぐるしからぬまでのひとがら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
本堂ほんどうの中には蝋燭そうそくが明るくともっていましたが、盗賊とうぞくどもはさけぱらって、そこにごろごろねむっていました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
本堂ほんどうから、すこしはなれたところに、かねつきどうがありました。境内けいだいには、がたくさんしげっていました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて寺の本堂ほんどうへついた。大きな屋根はち、広い回廊かいろうかたむきかけ、太い柱はゆがみ、見るから怪物の住みそうなありさまに、勘太郎も始めはうす気味悪くなった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
といって、本堂ほんどうまつってある勝軍地蔵しょうぐんじぞう勝敵毘沙門天しょうてきびしゃもんてんのおぞうまえに行ってみますと、どうでしょう。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ところへ、朱門あかもんをぬけて、本堂ほんどう階段かいだんからバラバラとけあがってきたのは早足はやあし燕作えんさく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
盗賊とうぞくどもははらを立てて、人形の首をきぬき、手足をもぎ取って、本堂ほんどうすみっこにてていたのです。それを見てさるは、おにの人形の中からどなりつけました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
といいながら、和尚おしょうさんは本堂ほんどうへ行ってみますと、なるほど重箱じゅうばこがうやうやしく、御本尊ごほんぞんまえがっていましたが、あけてみると、中はきれいにからになっていました。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ごましおねずみはさっそく本堂ほんどうがって、和尚おしょうさんのお居間いままでそっとしのんでいって
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるばんねずみ仲間なかまのこらずおてら本堂ほんどうえんの下にあつまって、会議かいぎひらきました。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
本堂ほんどう御本尊ごほんぞんさまのまえげてきました。」
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)