有馬ありま)” の例文
また神田とか八田とかいう地名は昔からいくらもありそうな地名であるが、摂津有馬ありまあい村大字下相野しもあいのの同地名はその由来が少々違う。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大阪を立とうという兄の意見に賛成した自分は、有馬ありまなら涼しくって兄の頭によかろうと思った。自分はこの有名な温泉をまだ知らなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大橋おおはしさんの言う通りにこの三百五十五両を半価にせよとか百両にせよとかえば、時節柄有馬ありま家では承知するであろう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「箕面はあかんねん、こなひだの水ですつくりやられてしもてん。それより僕、久し振りで有馬ありまへ行つてみたいねんけど、どうや、賛成せエへんか。」
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
有馬ありま温泉町ゆまちは暮れかけている。池之坊橘右衛門きつえもん湯宿やどへ、いま、ふたりの武士がそっと入った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、諭吉ゆきちは、しば新銭座しんせんざ有馬ありまというとのさまの土地とちって、じゅくをたてたのでした。
「うん、東京にいるのがいやになって、旅に出ていた。実は神戸こうべの辺をブラブラしていたというわけさ。あっちの方は六甲ろっこうといい、有馬ありまといい、舞子まいこ明石あかしといい、全くいいところだネ」
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ここはやまじゃ、有馬ありまの温泉ならそう往っても好いが、海岸はあべこべだよ」
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いつでしたか、緒方氏が有馬ありま土産だといって、筆の柄を絹糸で美しく飾ったのを下すったのが、ひどくうれしかったことを忘れません。そんなわけで、自然家庭の御様子なども知りました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
追い追いと同勢を増し、長州、肥後、有馬ありまの加勢もあったということである。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
めぐ有馬ありまの温泉より神戸へ出て須磨明石を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
有馬ありま行。午後零時三十分出帆。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
本郷三丁目の『有馬ありまの湯』。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
始め松平まつだひら左近將監酒井さかゐ讃岐守戸田とだ山城守水野みづの和泉守若年寄わかどしよりには水野みづの壹岐守本多ほんだ伊豫守太田おほた備中守松平左京太夫御側御用人には石川いしかは近江守寺社じしや奉行には黒田くろだ豐前守小出こいで信濃守土岐とき丹後守井上ゐのうへ河内守大目附おほめつけには松平相摸守奧津おきつ能登守上田うへだ周防守有馬ありま出羽守町奉行には大岡越前守諏訪すは美濃守御勘定ごかんぢやう奉行には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
摂津せっつ有馬ありまの温泉には、人が近くへ寄って大声で悪口をいうと、忽ち湧き上るという小さな湯口があって、これを後妻湯うわなりのゆと呼んでおりました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
事変の当日、約束の金を渡すソコでもって慶応三年、すなわち王政維新の前年の冬、しば新銭座しんせんざ有馬ありま家(大名)の中屋敷が四百坪ばかりあるその屋敷を私が買いました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
こうして全軍が、右に淀川を見、左に能勢のせ有馬ありま地方の山々を見ながら、北進して行くうちにも、なお二十人、三十人の郎党や家の子をひきいて来る地方郷党の小部隊の参加もひきもきらぬ程だった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ば後になし歸ると聞しとらもんも歸らぬ旅にゆくそらの西の久保より赤羽あかばねの川は三としらかべ有馬ありま長家も打過て六堂ならねどふだつじ脇目わきめふらず急ぎしか此程高輪たかなわよりの出火にて愛宕下通りあたらし橋邊まで一圓に燒原やけはらとなり四邊あたり曠々くわう/\として物凄ものすごく雨は次第に降募ふりつのり目先も知ぬしんやみ漸々やう/\にして歩行あゆみける折しもひゞかね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ところが摂津せっつ有馬ありまの湯の山では、豊臣秀吉がやはり杖をもって温泉を出したという話になっております。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
武家屋敷でも代金をもって売買勝手次第とうことになって、新銭座しんせんざ有馬ありまの中屋敷が売物になると人の話をきいて、同じ新銭座住居の木村摂津守きむらせっつのかみの用人大橋栄次おおはしえいじと云う人に周旋を頼んで
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
有馬ありま
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有馬ありま有野ありの唐櫃からと神社に伝わっているネングイというものなどは、正月二日の鬼打神事おにうちしんじの一部で、はじめに的射まといの式があってそれの終った後、弓を地上においてその弓弦ゆみづるの前と後とに
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
摂津有馬ありま郡山口村大字船坂字大フクラ
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)