智恵ちゑ)” の例文
旧字:智惠
「お前さんは、方々旅してあるいてるから、ずゐぶん、面白いことにもであつただらうね。そして智恵ちゑも多さうだね」
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
つりをする、あみつ、とりをさす、みんなひと智恵ちゑで、にもらない、わからないから、つられて、されて、たべられてしまふのだトかういふことだった。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みづうつつきうばはんとする山猿やまざるよ、無芸むげい無能むのうしよくもたれ総身そうみ智恵ちゑまはりかぬるをとこよ、よつうをもとくさうつへびをどろ狼狽うろたへものよ、白粉おしろいせて成仏じやうぶつせんことねが艶治郎ゑんぢらう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
知らぬものは真の文雅ぶんがとおもひ、とひよるさへも多ければ、たちま諸国しよこくにもそのの名をかほらせ、枝葉えだはさかえ、それのみか、根堅ねがた名園めいゑんのこして年々ねん/\繁昌はんじやう、なみ/\の智恵ちゑ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
勇気ばかりでなく、智恵ちゑもすぐれてゐるニナール姫は、そんなぶないことをする代りに、別に安全な方法を考へ出して、アルライや、馬賊たちのすることをこつそりと見てゐました。
ラマ塔の秘密 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ふ所にお心をけて蓄音器ちくおんきからういふ発明はつめいをなさるとふは、当家こちら御主人ごしゆじんそれだけの学問がくもんもなければならず、お智恵ちゑもなければけんことぢやが、うも結構けつこう御商法ごしやうはふですな
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
けて退く人を弱しと思ふなよ智恵ちゑの力の強きゆゑなり
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
だの、くさだのだと、かぜくとうごくんだけれど、きのこだから、あの、きのこだからゆつさりとしもしませぬ。これが智恵ちゑがあつてつりをする人間にんげんで、些少ちつとうごかない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「大きいうへに、のんきで、そしてまたとても智恵ちゑがあります。むかし、鳥と獣との戦争の時、うらぎりをして、どちらからも仲間はづれにされたといふ、あんな卑怯ひけふなのぢやありません」
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
負けて智恵ちゑちからつよさにはたれも感心するぞ韓信かんしん
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
また智恵ちゑがあるつてくちかれないからとりとくらべツこすりや、五分ごぶ五分のがある、それはとりさしで。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ところで、わたしが一つ、面白い話をきかせてあげよう。秘密な話だよ。それから、お前さんも少し智恵ちゑをしぼつて、わたしがこゝから逃げだせるやうな方法を、いつしよに考へてくれないかね」
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
智恵ちゑのないこゑをしながら、無暗むやみひとんで、雪枝ゆきえ山路やまみちかけづりまはつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)