)” の例文
「だから、はじめから、言ってるじゃねえか。説教なんか、まっぴらだって言ったじゃないか。って置いてくれたっていいんだ。」
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ここまで深入りして来た以上カンジンカナメの点をったらかしたまま、後へ退く事は、学者としての良心が第一、許さないだろう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ましてここの家をっとくはずはありません。役署の捕手頭とりてがしら趙能ちょうのう趙得ちょうとくのふたりが、たえず部下に巡邏じゅんらの目を光らせているんです
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いっそったらかしておくか。彼女が外に立って、いつまでもドンドン叩いていたら? そんなことはまずまず出来ないことだ。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「癖になる! この頃は屋根がめげたって、壁が落ちたってうたらかしじゃせに、壁の穴から猫が這い入って来るんじゃ。」
老夫婦 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「その病気の出ているときにはっとくよりしようがねえんだ。いまにお梅どんが来るだろうから、うっちゃっとくがいい」
夜の蝶 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「まアいゝ、お前は眼で殺す方だ、——兎も角、それだけワザをするのをつてもおけまい、一度のぞいて樣子を見て置かう」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「もうお前、あの事はどうでもいゝからつて綱浦館の主人にもさう言つて置いたんだし、うるさいからつて置くのさ。」
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
(なにをいうとるか。あんたほどの女を、誰がっとくものか。男はうようよ、惚れ手は山ほど、黒い紐、赤い紐、青い紐、紐だらけじゃろうよ)
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「焚いて好けれや、わたへが焚くし 定はん、つといて。……それよりお前は奧さんとこへ附いてんと、またよんべみたいなことがあるよつて。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
結婚したらってしまうつもりやないのんか?——そない思たら、だんだん疑がいも濃うなって来るのんですけど、そいから四、五日たった或る日
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
鍛冶倉はお豊をっておいて、そこに投げ出してあった細引ほそびきを拾い取ると片手に持って、金蔵を膝の下に組み敷く。
わるいことはわないから、そこにったらかしときなさい。そいではやほか子達こたちおよぎでもおしえたほうがいいよ。
其處には青い草が短く伸びて、肥料も遣らずにツたらかしてある薔薇と宮城野萩の鉢うえとが七八ななやつ並んで、薔薇には、小さい花が二三輪淋しく咲いてゐた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「だがね、ひどい風だとか雨だとか云つて、僕がこのやさしい仕事をつて置くとしたら、僕が行かうとしてゐる將來に對して、そんな怠慢が何の準備になるだらう?」
「大丈夫だ。盗まれるようなものは何もありゃしないんだから、っといてくれ。面倒だから、——だがな、こうめちゃめちゃに掻き廻されちゃ、後片附が大変だなあ」
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
すると昌さんは何を思ひ出したのか、急に綱をおつり出して小屋の中へ入つた。民さんが、「何してるつ」と叫ぶが、なかなか出て來ない。昌さんはやうやく出て來た。
南方 (旧字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
蝋燭も多少の用意があるうえに、石油も二升ばかり買い入れて、久しく物置の隅にかしておいたランプが役に立った。これでまず差当り安心することが出来たというものだ。
震災日誌 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
終戦後しゅうせんごその工場は解散となり、それからは荒れるままにっておかれ、今日となった。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
患者の応対でへとへとになって、頭がぼうっとしてくると、私は何もかもったらかして、いっさんにここへ駆けつけます。そして一、二時間、こんなことをして気を紛らすんです。
幾日もったらかしてあった七つになる長女の髪をいゝ加減に束ねてやって、彼は手をひいて、三人は夜の賑かな人通りのはげしい街の方へと歩いて行った。彼はひどく疲労を感じていた。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
思ひ上つてゐたドオデエには第二の言葉の意味がどうしても解らなかつたので、変な顔をして電報をそのまゝ卓子テーブルの上にり出した。皆はどれ/\と覗きこむやうにして電報の文字を拾つた。
っときなされ」と戸田老人が低く云った。大野順平も笑って云った。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
黙ってって置くと、いかにも気の強そうな、男を男とおもわぬ風の女としか見えない、——たとえば墨汁ぼくじゅうをたっぷりつけた大きな筆で勇ましく書いた肉太の「女」というような字を思わせる
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
っといて飲んで歩くのやないかちゅうて心配しながら行った。
恭三の父 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
ルピック氏——っとけ。ひとりでに死ぬよ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
若人よ空高く帽をり上げよ
ひるを過ぎても、墨江は帰らなかった。これはっておけないと賛五郎は考え出し、大小を落すと着流しのまま、家の露地ろじから出て行った。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
政府はまず人の頭痛の種を蒔く教員をったらかしたが、あとではあっても無くてもいいような役人どもをったらかした。
端午節 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「もうおれのことなんぞったらかしか、そうだろうな」と菅田平野は独り言を云った、「——それならこっちは、ひとつ」
日日平安 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
……しかもその人情の止むを得ないところを、そのままにしてったらかしておくと、そんな精神病的傾向が当り前の事のように思えて来る。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そらどや知らんけど、あてがあの人ったらかして姉ちゃんと逃げるのんやないかいうで、常時じょうじ心配しててんし。」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もっとも俺は、下品な育ちだから、って置かれても、実を結ぶのさ。軽蔑し給うな。これでも奥さんのお気に入りなんだからね。この実は、俺の力瘤ちからこぶさ。
失敗園 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そんな恐ろしい人間を、つては置けないが、容易ならぬ智惠者で、どうしても尻尾をつかませない。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
しかし自分の家族のことも、氣を附けなくてはならないので、ほんの時々しかやしきに來ることが出來なかつた。思つた通り、病室はつたらかしで看護婦もゐなかつた。
っとけや。珍しゅうもない。花見に喧嘩はつきもの、景物の一つたい。喧嘩のない花見は、花見のうちに入らん。そんなことより、おれが歌うけ、芸者衆、三味線をひけ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
幾日もつたらかしてあつた七つになる長女の髮をいゝ加減に束ねてやつて、彼は手をひいて、三人は夜の賑かな人通りのはげしい街の方へと歩いて行つた。彼はひどく疲勞を感じてゐた。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
「なるほど、あいつはっておいたら、えらいことをしかねない」
「野口さん、何うする積りやな。こんなりつても置けまい。」
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
一年半もっといて不意にやってきた。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
殺した。っておいても、人道のない美濃は亡ぶにきまっているが、それが何日いつ来るかだ? ——。こんどは、義龍のばんだが、その時期は?
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな事を深く穿鑿せんさくする暇も無いままにったらかしておいたものですが……そうそう……それから品夫はコンナ事も附け加えて話しましたよ。
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼はもう理窟も何もったらかしで彼女を校長がわりにして鬱憤を晴らすつもりでいるらしいから手がつけられない。で、彼女はなんにも言わない。
端午節 (新字新仮名) / 魯迅(著)
正してあんた知ったこッちゃないッといてと威丈高いたけだかになって云ったわてほんまにせてやってるねんで
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「どなったわけじゃねえ」若者は手酌で四五杯、続けさまにあおった、「っといてくれってんだよ」
秋の駕籠 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
つて置け。——誰が先に氣が附くか、誰が持つて行くか、少し氣長に見張つて居てくれ」
キヌ坊は、もう二年も前に、高門たかかどの武十旦那の三男坊に貰われて嫁った。おれは、女子のことは、マン坊のほかに考えたことはなあ。郵便局もなにも、からかして、村を出たんじゃ。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
って置いてくれたって、いいじゃないか。僕はね、さえき五一郎って言うんだよ。数学は、あまり得意じゃないんだ。怪談が、一ばん好きだ。でもね、おばけの出方には、十三とおりしか無いんだ。
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
私が生きてゐる限りは、あなたをみじめにつては置きませんわ。
「……さ、棄てとけ、ツとけ。……ぢや。」
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)