ねぢ)” の例文
つけられて惡漢どもよし/\合點がつてん承知の濱と遂ひに懷劔を捻取もぎとりつゝ手どり足どり旋々くる/\まき強情しぶとひ婀魔あまめと引摺ひきずりねぢつけ駕籠へ入れんとするを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
遅れまい遅れまい、さう思ふのと、無暗むやみにこみ上げて来る荒々しい感情とで、幾は青くねぢれたやうになつて前にのめつた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
へいかしこまりました、書生しよせいさんのお世辞せじだよ、エヽ此手このてでは如何いかゞでげせう。ギイツと機械をねぢるとなかから世辞せじが出た。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
『これが水道ツて言ふんですよ。ござんすか。それでうすると水が幾何いくらでも出て来ます。』と、お吉は笑ひながら栓をねぢつた。途端に、水がゴウと出る。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……いはほそうは一まいづゝ、おごそかなる、神将しんしやうよろひであつた、つゝしんでおもふに、色気いろけある女人によにんにして、わる絹手巾きぬはんかちでもねぢらうものなら、たゞ飜々ほん/\してぶであらう。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
するとそれを感じたのか、お富は体をねぢるやうに、後ろにゐる新公の顔を見上げた。彼女の顔にはもう何時の間にか、さつきと少しも変らない、き活きした色が返つてゐた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
手にはドキドキするかまを持つて、汚ない布子のジンジン端折り、ねぢり鉢卷がそのまゝずつこけたやうに、煮締めた手拭を、緩く首に卷いて、恐ろしい無精髯、金壺眼で、狐面で、聲だけは朗々と
「えゝ……まけてけ、一番いちばん。」と、さらからねぢるやうに引摘ひつつかんで、べつ燒團子やきだんご五串いつくしへた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へいかしこまりました、待合まちあひさんのお世辞せじだよ、の二番目のたなにあるのが丁度ちやうどからう、うむ、よし/\、えゝ此手このてでは如何いかゞでげせう。ギイツと機械をねぢるとなかから世辞せじが出ました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
愈々いよいよ開業となつてからは、其店そこの大きい姿見が、村中の子供等の好奇心を刺戟したもので、お定もよく同年輩おないどしの遊び仲間と一緒に行つて、見た事もない白い瀬戸の把手とつてを上にねぢり下に捻り
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
聞ても無い/\と計り云は奇怪なり大方おほかたさけもあるに相違あるまじと云つゝ武士さふらひはづか/\と立寄たちよつ酒樽さかだる呑口のみくちますあてがひヤツと一トねぢり捻りければ酒はどく/\出しゆゑおのれこれほど澤山酒もあるものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それをとう/\つゝついてさしてると、さをのさきで、くる/\とつて、まだはげしくこゑしていてるのに、智恵ちゑのあるおぢさんのとりさしは、だまつて、鰌掴どぜうつかみにして、こしふくろなかねぢむで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)