“拂(はらひ)” の例文
新字:払
けれども米屋(こめや)の拂(はらひ)を、此(この)三十日(みそか)には何(ど)うしたものだらうといふ、苦(くる)しい世帶話(しよたいばなし)は、未(いま)だ甞(かつ)て一度(いちど)も彼等(かれら)の口(くち)には上(のぼ)らなかつた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
金方(かねかた)の役所へ廻(まは)し金方にて拂(はらひ)を渡す事なり今(いま)吉兵衞が差出たる書付(かきつけ)も役人が改(あらた)め添書(そへしよ)に右の通り認(したゝ)め調印(てういん)して渡(わたし)ける此勘定部屋と金方役所(かねかたやくしよ)とは其間三町を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その叔父(をぢ)は十年(じふねん)ばかり前(まへ)、七十一で故人(こじん)になつたが、尚(な)ほその以前(いぜん)……米(こめ)が兩(りやう)に六升(ろくしよう)でさへ、世(よ)の中(なか)が騷(さわ)がしいと言(い)つた、諸物價(しよぶつか)の安(やす)い時(とき)、月末(げつまつ)、豆府屋(とうふや)の拂(はらひ)が七圓(なゝゑん)を越(こ)した。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「わかつたよ、又角の酒屋の親爺に先月の拂(はらひ)のことでも當て擦(こす)られたんだらう」
又(また)今更(いまさら)考(かんが)へれば旅行(りよかう)に由(よ)りて、無慘々々(むざ/\)と惜(あた)ら千圓(ゑん)を費(つか)ひ棄(す)てたのは奈何(いか)にも殘念(ざんねん)。酒店(さかや)には麥酒(ビール)の拂(はらひ)が三十二圓(ゑん)も滯(とゞこほ)る、家賃(やちん)とても其通(そのとほ)り、ダリユシカは密(ひそか)に古服(ふるふく)やら、書物(しよもつ)などを賣(う)つてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「拂(はらひ)はもう皆(みんな)濟(す)んだのかい」と宗助(そうすけ)は立(た)ちながら御米(およね)に聞(き)いた。御米(およね)はまだ薪屋(まきや)が一軒(けん)殘(のこ)つてゐると答(こた)へた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
憎まぬ者なし紋太夫が惡事露顯(ろけん)の節(せつ)に扶持高(ふちたか)も住宅をも召上(めしあげ)られ大膳は門前拂(はらひ)となり據(よんど)ころなく水戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)