恰好かつこう)” の例文
たちなんかとはなしてゐると三人の位置いちひき玉にかんがへられたり、三つならんだちや碗の姿すがたおも白いおし玉の恰好かつこうに見※たりする。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
みなみよう恰好かつこうをした人間にんげんで、それは今日こんにちみなみアフリカの土人どじんブッシュマンなどが非常ひじようてゐるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ふるいお馴染なじみださうで御座いますが、あの恰好かつこうは、商売人ではなし、万更の素人しろうとでもないやうな、貴方も余程よつぽど不思議な物をお好み遊ばすでは御座いませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この高山かうざんは、風景ふうけいきわめてうるはしく、吾等われらたつしたるいたゞきは、三方さんぽう巖石がんせき削立せうりつして、自然しぜん殿堂でんどうかたちをなし、かゝる紀念塔きねんたふつるには恰好かつこう地形ちけいだから、つひ此處こゝ鐵車てつしやとゞめた。
それから約束通り門野かどのさがしにした。すや否や、門野はすぐ恰好かつこうなのを見付けてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一本の木草すら無いといふその島には恰好かつこうの土産であらうと私はそれを澤山買つて行つた。先づ靈岸島から汽船で下田まで行き、其處で彼も吾も好物の酒を買つて第二の手土産とした。
樹木とその葉:03 島三題 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
色こそせたれ黒のフロックコート端然と着なしたる、四十恰好かつこうの浅黒き紳士は莞爾くわんじとして此方こなたちかづきたる、れ交際家として牧師社会に其名を知られたる、永阪教会の長谷川なにがしなり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
急にはつといやな予感がした。暗がりの中で腑抜ふぬけたやうになつてぼんやり坐つてゐると、それからどのくらゐ時がつたらうか、母子四人が乞食のやうな恰好かつこうでしよんぼり帰つて来た。
聴雨 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
よく肥えた、眼のクル/\した、おどけた恰好かつこうの男の子が突つ立ちました。
掃除当番 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
それは女の心を転じさすには恰好かつこうの調子の詞であつた。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
その蓮華れんげ模樣もよう中央ちゆうおうほう非常ひじようおほきいかたちのものもあり、花瓣かべん恰好かつこうたいそううつくしく、蔓草つるくさかたち非常ひじようによく出來でき、そのりかたもつよ立派りつぱであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
瓢箪ひようたんのやうな恰好かつこうのお煙管で、さうして羅宇らうもとちよつと紙の巻いてございました」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『クロマニヨン』じんは、頭腦ずのうおほきく恰好かつこうとゝのうてをり、けっして野蠻人やばんじんといふことの出來できない體格たいかくぬしでありますからこそ、かようなものがつくられたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)