新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
大火についで農兵の調練、それにこのたびのすさまじい恐怖——小さな天地の動揺はようやく静まらず、人心恟々として真相に迷うの雲が深い。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東山時代における一縉紳の生活 (新字新仮名) / 原勝郎(著)
「おかやがまいりましたろうか」「此処へは来ないが」靱負はおかやという言葉に恟々として出ていった
日本婦道記:二十三年 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
三成、行長、恵瓊の三名主謀して毛利浮田島津らを語らひ家康討伐の準備とゝのへる趣き、上方の人心ために恟々たり、とある。如水は一読、面色にはかに凜然、左右をかへりみて高らかに叫ぶ。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東山時代における一縉紳の生活 (新字新仮名) / 原勝郎(著)
だから、この騒動は、動揺だけはずいぶん烈しく、いまだに附近の人心は恟々としているのですが——当事者は、加害被害ともに跡かたもなくなっている。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
慶安三年六月二日、天草の乱しずまってより、わずかに十二年を経たばかり、将軍家光存命ながら、狂乱の噂府内にもれ、物情騒然人心恟々、天下乱を思う折柄であった。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぼくはまだ恟々たるものを胸に残しているので、「お父さんは?」と家の中を見廻し「……お父さんは何処へ行ったの」と、何度も訊ねた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝―― (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生れて以来、叱られるなどという感情を夢にも経験したことのない主君に対して、大御所の激しい叱責がどんな効果を及ぼすかを、彼らは恟々として考えねばならなかった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いつか一度、いらしったことがあるそうですが、私はお取次ぎいたしませんでした。九月中に、一、二度お電話がかかりましたことは、存じております。」女中は、まだ恟々としていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新・平家物語:02 ちげぐさの巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地理的には東南に孫権、北方に曹操があって、たえず恟々と守備にばかり気をつかわなければならない。ただ一方、門戸のあるのが西蜀であった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法皇、上皇のお寝小屋でも、恟々と何かおささやきが洩れ、ひとしくどこの寝小屋もよくお眠りではなかったらしい。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)