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御尤
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ごもっと
ふりがな文庫
“
御尤
(
ごもっと
)” の例文
だいたいあんまり本当のことを言われても
挨拶
(
あいさつ
)
のしようがないことと同じように、
御尤
(
ごもっと
)
もですという以外の幅も広さもないのである。
文章の一形式
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もでございます、なんとかして早くお帰し申すようにして上げたいと……でも当分は、おうちのつもりで御休息をなさいませ」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まことに
御尤
(
ごもっと
)
もではございますが、あなたは萩原様にお
恨
(
うらみ
)
がございましょうとも、
私共
(
わたくしども
)
夫婦は萩原様のお蔭で斯うやっているので
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『おことばは
御尤
(
ごもっと
)
もでござる。しかし、此方一存ではござらぬ。殿のお心をもって、殿の為さるであろうように、計らう迄のことでござる』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、閣下のお
腹立
(
はらだち
)
は、全く
御尤
(
ごもっと
)
もです。私からも、主人に反省を促すように、申します事でございます。それでは、これでお
暇
(
いとま
)
致します。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
「
御尤
(
ごもっと
)
も千万、だが、——平次殿に乗出して頂こうというわけではない。ほんの少しばかり、智恵を拝借すればよいのじゃ」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……これは一応、
御尤
(
ごもっと
)
も千万のように聞こえるが……しかし……私は失礼ながら、ここで一つ諸君にお尋ねしたい事がある。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「突然申上げては、びっくりなさるのも
御尤
(
ごもっと
)
もですが、決して冗談ではありません。幽霊はもういけどってしまったのです。これを御覧なさい」
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
代診が来て、これじゃ旅行は無理ですよ、医者として是非
止
(
と
)
めなくっちゃならないと説諭したが、
御尤
(
ごもっと
)
もだとも
不尤
(
ふもっと
)
もだとも答えるのが
厭
(
いや
)
だった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「よく聞伝えて来て下さいました。お年寄のおっしゃるのは
御尤
(
ごもっと
)
もです、お国にいた時には随分出たお薬ですから。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「それは一応
御尤
(
ごもっと
)
もです。御尤もではござんすが、手前共でも若い者まかせにはしないで、
吾々
(
われわれ
)
自身出ばるつもりなんで、何しろこの際の事ですから……」
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
御尤
(
ごもっと
)
もです。しかし、ほんとのことを言うと、その、あなたの健全な自由に価値するほどの、教養も、準備も、自信も、まだ私達には出来ていないのです。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もです。いえ、ただ大原という人の性格をよく知って置かねばならぬので、おたずねしただけです」
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もでございます。佐渡守様もあのように、仰せられますからは、残念ながら、そうなさるよりほかはございますまい。が、まず一応は、御一門衆へも……」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もでござります。お叱りは承知致しております。人様にも、誰にもいえぬ、奇怪な事がござりますゆえ、未だ、一言も申しませぬが、
貴下
(
あなた
)
へ、せめて——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「へっへ、
御尤
(
ごもっと
)
もで」望月は
伴
(
つ
)
れの人柄をもう読んだらしく苦しそうに扇子を使いながら
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
徐
(
おもむろ
)
に某国代表の御意見は
御尤
(
ごもっと
)
もであるが、しかし他方にはまたこういうこともあるから、御再考を願いたいというような、婉曲に
対手
(
あいて
)
の感情を害せぬように
叮嚀
(
ていねい
)
に争うのである。
国際聯盟とは如何なものか
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
いや、
御尤
(
ごもっと
)
もですが明日からは会社の方もお休みでしょうし、わざわざお宅へお伺いするほどの要件でもないのですから、御迷惑でも少しこの辺を散歩しながら話して戴きましょう。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
国からの補助を受けませんでも、私等は私等二人で出来るまでこの世に生きてみようと思います。先生に御心配を懸けるのは、まことに済みません。監督上、御心配なさるのも
御尤
(
ごもっと
)
もです。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
こう暑くなっては皆さん
方
(
がた
)
があるいは高い山に行かれたり、あるいは
涼
(
すず
)
しい
海辺
(
うみべ
)
に行かれたりしまして、そうしてこの悩ましい日を充実した生活の一部分として送ろうとなさるのも
御尤
(
ごもっと
)
もです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
苦労人
(
くろうと
)
が二人がかりで、妙子は品のいい処へ粋になって、またあるまじき
美麗
(
あでやか
)
さを、飽かず
視
(
なが
)
めて、小芳が
幾度
(
いくたび
)
も
恍惚
(
うっとり
)
気抜けのするようなのを、ああ、先生に瓜二つ、
御尤
(
ごもっと
)
もな次第だけれども
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世外侯
(
せがいこう
)
の額の筋がピカピカとすると、そりゃこそお
出
(
いで
)
なすったとばかりに、
並居
(
なみい
)
る人たちは恐れ入って平伏する。そして小声で、悪いようには計らわないから、
御尤
(
ごもっと
)
もと
頷
(
うな
)
ずいてしまえとすすめる。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
□「清子」と
仰云
(
おっしゃ
)
る方に申ます。何時ぞや下さいましたお手紙では、私にはまだはつきりとあなたの理解が出来ないと仰云つてお出になる点が分りません、お別れになつたのは
御尤
(
ごもっと
)
もな事に思へます。
編輯室より:(一九一六年二月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「お疑いは
御尤
(
ごもっと
)
もです」と丘はニコニコ笑って云った。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そりゃもう姉さんの腹を立たれたのは、
御尤
(
ごもっと
)
もです」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いかにも
御尤
(
ごもっと
)
もで。」とチチコフが肯いた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もでございます」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いや、
御尤
(
ごもっと
)
もです。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その不審は
御尤
(
ごもっと
)
も。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もです」
殺人迷路:08 (連作探偵小説第八回)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
御尤
(
ごもっと
)
もです。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
ものお説でございます、森林の美は木曾にまされるところなしとは、先生のお説のみならず、一般の定評のようでございます」
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小母
(
おば
)
さんお待ちなすって下さい、
姉
(
あね
)
さまが人さまの妾にはならないと云うのも
御尤
(
ごもっと
)
もな次第、と云って
貴方
(
あんた
)
に返す金はありやせんから、
何卒
(
どうぞ
)
私
(
わし
)
を
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「一応
御尤
(
ごもっと
)
もですが、私にはまだ
腑
(
ふ
)
に落ちないことがあります。ちょっと、お宅の間取りから、風呂場の様子、雇人の顔も見せて下さいませんか」
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
御疑いになるのも
御尤
(
ごもっと
)
もで御座います。本当は妾もまだその時の疑いが晴れませぬ。ですからこのように打ち明けてお話しをするので御座います。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「なるほど」というべきところを、わざと「なある」と引張ったり、「
御尤
(
ごもっと
)
も」の代りに、さも感服したらしい調子で、「いかさま」と答えたりした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あなた様のお気持は、決して無理ではない、
御尤
(
ごもっと
)
もです。兵部は
腸
(
はらわた
)
が掻きむしらるる程、御推察いたしまする。親子の情愛、そうなくてはならないところです。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この懐中鏡は私の死んだ姉の
形見
(
かたみ
)
です。その死んだ姉というのが、今云った北川すみ子なのですよ。びっくりなさるのは
御尤
(
ごもっと
)
もですが、実はこういう訳なんです」
モノグラム
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そう云う今日、この大都会の一隅でポオやホフマンの小説にでもありそうな、気味の悪い事件が起ったと云う事は、いくら私が事実だと申した所で、御信じになれないのは
御尤
(
ごもっと
)
もです。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
乳人
(
めのと
)
は滋幹に、若様がお母さまをお慕いになるのは
御尤
(
ごもっと
)
もですが、ほんとうにおいとおしいのはお父さまでございますよ、と云い、お父さまは淋しがっておいでゞすから、大切にして
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「大変
御尤
(
ごもっと
)
もな
仰
(
おお
)
せです。それではその用事とかを承わろうじゃありませんか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
も。直ぐ発令します、ワーナー団長」
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もです……」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
も——」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
侍の組打ちは勝つと
斯様
(
かよう
)
のものだと仕形をして見せたのだ、言い分はあるまいと言ったが、
御尤
(
ごもっと
)
も、一声もござりませぬと言いおった。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「親分、お腹立は
御尤
(
ごもっと
)
もですが、名前を申上げられないわけがございます。——何を隠しましょう、私は、地獄から参ったものでございます——が」
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
御尤
(
ごもっと
)
もでございますが、私の
宅
(
うち
)
の娘は年は二十五にもなり、
体格
(
なり
)
も大きいけれども、是迄屋敷奉公をして居りやしたから、世間の事を知らねえ娘で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アハハ。いかにも
御尤
(
ごもっと
)
もですな。それじゃこう願えますまいか。明朝なるべく早くがいいですな。何かしら絶対に間違いのない用事をこしらえてその娘を
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もです。勝気で意地っ張なところが
貴女
(
あなた
)
に似ているじゃありませんか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
イヤ、御分りがないのは
御尤
(
ごもっと
)
もです。私だって、最初は自分の頭がどうかしたのかと疑った程です。併し、私はもう半年もの間、その、私と寸分違わない怪物の為に悩まされているのです。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
尤
漢検準1級
部首:⼪
4画
“御尤”で始まる語句
御尤様