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おんまえ
ふりがな文庫
“
御前
(
おんまえ
)” の例文
言語や名称は時代によって意味が違って来る。「お
前
(
まえ
)
」という言葉は昔は至尊の
御前
(
おんまえ
)
に称するもので、先方に対する最敬語であった。
「特殊部落」と云う名称について
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
(
舌鼓
(
したつづみ
)
うつ)たったったっ、甘露甘露。きゃッきゃッきゃッ。はて、もう
御前
(
おんまえ
)
に近い。も一度馬柄杓でもあるまいし、猿にも及ぶまい。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幼きものを
御衣
(
みころも
)
の、もすその中に掻き抱き給うなる大慈大悲の
御前
(
おんまえ
)
、三千世界のいずれのところか菩薩捨身の地ならざるはなし、と教えられながらも
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
御前
(
おんまえ
)
様。……ぶしつけではございますが、
凡
(
ただ
)
の場合ではございませぬ。どうぞ、お
身装
(
みなり
)
など気づかいなく、早くここを開けて、お顔をかして下さいまし」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大帝の
御前
(
おんまえ
)
に祈をささげ終った二人は、
錨
(
いかり
)
の
印
(
マーク
)
のついた自動車を走らせて目黒の岡に向った。大佐がハンドルをにぎっている。自動車はとある森かげの小さい邸の前にとまった。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
▼ もっと見る
それは文字を白く染抜いた紫の旗で、外に記念の賞を添えまして、殿下の
御前
(
おんまえ
)
、群集の
喝采
(
かっさい
)
の
裡
(
なか
)
で、大佐から賜ったのでした。源の目は
嫉妬
(
しっと
)
の為に輝いて、口唇は
冷嘲
(
あざわら
)
ったように引
歪
(
ゆが
)
みました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この事件は、よほど頭を
緊
(
しっか
)
りさせて研究しないと、途中で飛んでもない錯覚に陥る
虞
(
おそ
)
れがあると云って警告しといたじゃないか……吾輩は姪の浜、浦山の祭神、
鶉
(
うず
)
の
尾
(
お
)
権現
(
ごんげん
)
の
御前
(
おんまえ
)
にかけて誓う。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「おお、お慈悲ぶかい聖母さま、あなた様はこんな
事件
(
こと
)
の起るっていうことを、決して決してお許しになりますまい……今にあなた様の
御前
(
おんまえ
)
に、御礼のお
祷
(
いの
)
りを捧げることの出来まするように……」
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
木立ちをくぐり藪の裾を巡り、宮家の
御首級
(
みしるし
)
の
御前
(
おんまえ
)
まで来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
御前
(
おんまえ
)
にござります……」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
神職 いずれ、森の中において、
忌
(
いま
)
わしく、汚らわしき事をいたしおるは
必定
(
ひつじょう
)
じゃ。さて、婦。……
今日
(
きょう
)
は昼から
籠
(
こも
)
ったか。
真直
(
まっすぐ
)
に言え、
御前
(
おんまえ
)
じゃぞ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わけて、従兄弟にあたる
金王丸
(
こんのうまる
)
は、
童
(
わらべ
)
の頃から六条のお
館
(
やかた
)
に仕え、義朝様が
御前
(
おんまえ
)
様の許へお通いなさる折は、いつもお供について行きなどいたしたものです
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(かつ面を脱ぐ)おっとあるわい。きゃッきゃッきゃッ。
仕丁
(
しちょう
)
めが酒を
私
(
わたくし
)
するとあっては、
御前
(
おんまえ
)
様、御機嫌むずかしかろう。猿が
業
(
わざ
)
と
御覧
(
ごろう
)
ずれば
仔細
(
しさい
)
ない。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自身、
御前
(
おんまえ
)
に
罷
(
まか
)
り出で、
篤
(
とく
)
とお詫びいたさねばなりませぬゆえ、もう一度お目通りのおゆるしを賜わるように、左右の方々へも、お
取做
(
とりな
)
しの儀願い入りまする
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御前
(
おんまえ
)
を
間
(
あわい
)
三
間
(
げん
)
ばかりを
隔
(
へだ
)
つて其の
御先払
(
おさきばらい
)
として、
袿
(
うちぎ
)
、
紅
(
くれない
)
の
袴
(
はかま
)
で、
裾
(
すそ
)
を長く
曳
(
ひ
)
いて、
静々
(
しずしず
)
と
唯
(
ただ
)
一人、
折
(
おり
)
から菊、
朱葉
(
もみじ
)
の
長廊下
(
ながろうか
)
を渡つて来たのは
藤
(
ふじ
)
の
局
(
つぼね
)
であつた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや今日、殿の
御前
(
おんまえ
)
で、いろいろ築城上のはなしが出た折、森どのがしきりと、天守閣の御説明を申しあげ、近く
安土
(
あづち
)
にお築きになる御城廓には、ぜひその天守を
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あ。これは
逸物
(
いちもつ
)
らしい。願わくば相国の
御前
(
おんまえ
)
で、ひと当て試し乗りに乗ってみたいものですな」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは、それは愛々しい、
仇気
(
あどけ
)
ない
微笑
(
ほほえみ
)
であったけれども、この時の教頭には、素直に言う事を
肯
(
き
)
いて、
御前
(
おんまえ
)
へ
侍
(
さぶら
)
わぬだけに、人の悪い、
与
(
くみ
)
し易からざるものがあるように思われた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「はいっ、はいっ。臣賀めは、
御前
(
おんまえ
)
でござります。お召は、なんの
御意
(
ぎょい
)
にござりましたか」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向うを、
墨染
(
すみぞめ
)
で一人
行
(
ゆ
)
く
若僧
(
にゃくそう
)
の姿が、
寂
(
さび
)
しく、しかも何となく
貴
(
とうと
)
く、正に、まさしく
彼処
(
かしこ
)
におわする……天女の
御前
(
おんまえ
)
へ、われらを導く、つつましく、謙譲なる、一個のお取次のように見えた。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ははッ、典膳めは
御前
(
おんまえ
)
にござります」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
御前
(
おんまえ
)
じゃ。」
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「はッ。——
御前
(
おんまえ
)
に」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“御前”の意味
《名詞》
前・面前の丁寧語。
貴人・住職などの尊敬語。
(出典:Wiktionary)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
“御前”で始まる語句
御前様
御前崎
御前体
御前立
御前橘
御前方
御前山
御前態
御前相伴衆
御前達