したがっ)” の例文
旧字:
多方面でなく奥がなくしたがって重みがないという話だ、それであるから歌の選などをするにはなるたけは趣味多方面に渡らねばならぬ。
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そもそも私の酒癖しゅへきは、年齢の次第に成長するにしたがっのみ覚え、飲慣れたとうでなくして、うまれたまゝ物心ものごころの出来た時から自然に数寄すきでした。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
列車が軌道レールなき土地を進行するは明らかに不可能なり。したがっ吾人ごじんは、この「事実らしからぬこと」を次の三引込線に帰せんとするものなり。
ただ景樹時代には貫之時代よりも進歩してゐる点があるといふ事は相違なければ、したがって景樹に貫之よりも善き歌が出来るといふも自然の事と存候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
有楽座ゆうらくざ始め諸処の演奏会は無論芝居へも意気な場所へも近頃はとんと顔出し致さずしたがって貴兄の御近況も承る機会なくこの事のみ遺憾にたえ申さず候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
したがってある国が世界のため、人道のために如何なる貢献をなしたかは、その国を重くしその威厳を増す理由となる。
真の愛国心 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
婦人ぶじんのために心思しんしを奪われ残余の生を無益の悲哀のうちに送るは情は情なるべけれどもこれ真正の勇気にあらず、基督教は情性を過敏ならしむるが故に悲哀を感ぜしむるまたしたがって強し
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
岩角に触れて怒号する音轟々ごうごうとして、一月中僅かに二、三日を除くのほか昼夜止むことなし、したがって飲料につべき氷雪の収拾等の外出容易ならず、加うるに門口かどぐちの戸氷結して、容易たやすく開くこと能わず
大阪において私共が亡父の不幸で母にしたがって故郷の中津なかつに帰りましたとき、家の普請ふしんをするとか何とか云うに、勝手向かってむき勿論もちろん不如意ふにょいですから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ただ景樹時代には貫之時代よりも進歩して居る点があるということは相違なければしたがって景樹に貫之よりも善き歌が出来るというも自然のことと存候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
したがって前数氏の人々などには随分冷酷な注告をせられたこともあったらしい、鼠骨君などからは、この断酒注告につきての不平を聞かせられたこともある
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
されば東洋人はあるいは風月にしたしみ、あるいは詩歌管絃かんげんたのしみに従いて、人生の憂苦をその時だけ忘れるをもって「慰め」と思っている。したがってなお低級なる「慰め」の道も起り得るのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
したがって聯盟に関する出来事は、その歴史以前のことより我輩が出発した十月末までのことは大概知っているはずである。この関係に基き、聯盟の目的、事業等に就きやや詳細に説明してみたい。
さて、この立国立政府の公道を行わんとするに当り、平時にありてはしたる艱難かんなんもなしといえども、時勢じせい変遷へんせんしたがって国の盛衰せいすいなきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
先生はしきりと面白がって一人興懐にけるというようなことが常に珍らしくなかった、したがってたわいもないことにも児供こどもらしく興に乗って浮かれるようなことがあった
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
喜憂栄辱は常に心事にしたがって変化するものにして、そのおおいに変ずるにいたっては、昨日のえいとして喜びしものも、今日はじょくとしてこれをうれうることあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それであるから始めから友人交際であった人達よりはその偉らさを感じたことが強かったようです、したがって崇敬の度が普通以上でしたろう、であるから僕の子規論などは往々人の意表にでて
子規と和歌 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
子女たるものは、父母の訓誨にしたがっ孜々しし勉励、成長の後、独立自尊の男女として世に立つの素養を成すきものなり。
修身要領 (新字旧仮名) / 福沢諭吉慶應義塾(著)
この事情にしたがっ維新いしんの際に至り、ますます下士族の権力をたくましうすることあらば、或は人物を黜陟ちゅっちょくし或は禄制ろくせいを変革し、なおはなはだしきは所謂いわゆる要路の因循吏いんじゅんりを殺して
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ただその徳川が開国であると云うのは、外国交際のしょうあたって居るから余儀なく渋々しぶしぶ開国論にしたがって居たけの話で、一幕まくっ正味しょうみ楽屋がくやを見たらば大変な攘夷藩だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
婚姻はもとより当人の意にしたがって適不適もあり、また後日生計の見込もなき者といてこんすべきには非ざれども、先入するところ、主となりて、良偶りょうぐうを失うの例も少なからず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)