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きやうけん
季節は
雨に
濕つた
土へ
稀にかつと
暑い
日の
光が
投げられて、
日歸りの
空が
強健な
百姓の
肌膚にさへぞく/\と
空氣の
冷かさを
感ぜしめて
如何なる
事業に
從ふとも、
體力此に
伴ふて
強健ならずば、
意の
如く
活動する
能はず、
又所期の十一だも
達する
能はざるは、
世上に
其例を
多く
見る
處なり。
〔譯〕聖人は
強健病無き人の如し。賢人は
攝生病を
愼む人の如し。常人は
虚羸病多き人の如し。
池上權藏は
此日から
生れ
更りました、
元より
強健な
體躯を
持て
居て
元氣も
盛な
男ではありましたが、
放蕩に
放蕩を
重ねて
親讓の
田地は
殆ど
消えて
無くなり、
家、
屋敷まで
人手に
渡りかけたので
それでも
彼の
強健な
鍛練された
腕は
定められた一
人分の
仕事を
果すのは
日が
稍傾いてからでも
強ち
難事ではないのであつた。
其の
間彼は
只の一
度でも
軟かな
飯を
快よく
嚥み
下したことがない、
勞働者の
多く
貪らねばならぬ
強健なる
胃は
到底軟な
物に
堪へ
得る
處ではない。