)” の例文
その後中也は娘のことなどく色すらも見せず、要するに彼は娘に惚れていたのではなく、私と友達になりたがっていたのであり
二十七歳 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
喬木きょうぼく風にあたる。何しろ、御勲功の赫々かっかくたるほど、人のっかみもしかたがあるまい。わけて特に、君寵くんちょう義貞に厚しともあれば……」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あっしが三河屋のお三輪さんと心安くなったのをいて、九月いっぱいにぜひ祝言するようにと、何としても聴かなかったのです。
そこで、ねえ宇津木さん、だれでも惚れた以上は、きっとくんですね、あれから仏頂寺が嫉き手に廻ったのを、あなた御存じ?
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
人差指はその家婦かみさんだ。干鱈ひだらのやうに乾涸ひからびた男まさり、あさつぱらから女中をちどほしだ、けるのだらう、徳利は手を離さない、好きだから。
五本の指 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
表はけ気味な皮肉を言って出てゆくのであった。まだ十七になったばかりのお玉さんは、何か言いたいような可憐な寂しい目をして送っていた。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「あのね、今さきお杉さんが首になったのよ。お神さんがきもち焼いて、ほりだしてしまったの。あの子可哀想に、しくしく泣いて出ていったわ。」
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
池田 (そっと森を小突いて)それを税所が、めでたく中原の鹿を射て、この春いよいよ華燭かしょくの典を挙げた時には、なあ森、白状するが、少々けたなあ。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あたしがファッション・モデルになったことが、けて嫉けて、しようがないもんだから、横須賀のむかしの仲間が、大勢でインネンをつけにくるんだ」
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
二人の間は別に思合つた譯でなく、末の約束など眞面目にした事も無いが、どうかして寢つかれぬ夜などは、今頃丑さんが女と寢てゐるかと、いて見た事のないでもない。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は、女のいわゆる、気味を悪がり悪がりほじってはいていた時分に、聞きらしたことやまた自分といっしょになってからの女の心持の——その一部分をこうして聞いた。
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
お二人を見付け出したのはリードお孃さんなんですよ。けたんですわ、きつと。
女を捨てる事を草履を穿き換へる位にしか思つてない人でも、その草履を独身者ひとりものの哲学者が、つい足に突つ掛けるのを見ると、急にまた惜しくなつて、けてけて溜らなくなるらしい。
さういふ人たちのふしだらな真似まねを、一方では苦々にが/\しく思ひながら、一方では、実のところ、まあ、けるとでも申しますんですか……。御免遊ばせ、こんな言葉使ひをいたしまして……。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
僕はくわけじゃないがね、面白くないね。もう小山の話はよそうじゃないか。談一度小山のことに及んでから、なんだか僕は君と下手な掛合い万才でもやっているような気がしてきたよ。
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
あれは梅干ばゝあと云ふのぢやから、最早もうくのうのと云ふ年ぢや無いわい、安心しちよるがい、——其れよりも世の中に野暮やぼなは、其方そちの伯父ぢや、昔時むかしは壮士ぢやらうが、浪人ぢやらうが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「ハハハハハいてやがら……」
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「またいてるんだよ」
鉄の処女 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
けるから」
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
あつしが三河屋のお三輪さんと心易くなつたのをいて、九月一杯に是非祝言するやうにと、何としても聽かなかつたのです。
つまらなくかれるのも嫌だから言ってしまおう、長者町の道庵という剽軽ひょうきんなお医者さんへ預けることにしてしまったんだ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あるとも。わしは、女人の愛には、そうかないつもりだが、良い家臣を他家へ取られたら、非常に嫉妬するだろう」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あんなに参っているとは、思わなかったよ。女同士だもの、眼いろでわからあね。けてくるよ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
二人の間は別に思合つた訳でなく、末の約束など真面目にした事も無いが、怎かして寝つかれぬ夜などは、今頃丑さんが誰と寝てゐるかと、いて見た事のないでもない。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「無礼なことを云う奴だ。殿づとめするのをきおるか、たわけ。」
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
夫婦の間でそれを見つけられた時は、相当にかれてもやむを得ないという意味で、お内儀さんが、ちょっと嫉いてみた程度のものでありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もう次の間で飲み初め、けてくるのか、すこぶるご機嫌がななめである。戴宗たいそうも大杯で仰飲あおるし、柴進さいしんも負けてない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな山で女の声が立つ奇異な生なましい感じ、袴野はすてには答えずに、彼女にちかづくと手を引いて、その肩をいだいた。余りきすぎるわよ、仕事にも出掛けないであたしに附き切りじゃないの。
けてもくる。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一番あの女軽業のお角という女を焚附たきつけてかしてやろう、そうしてがんりきの胸倉むなぐら取捉とっつかまえて、やいのやいのをきめさして、動きの取れねえようにしておけば
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
くような筋じゃない。何処の者かしらと思って、今、その男の脱いで行った合羽を見たら、裏に伝馬てんま役所と黒印がしてあるじゃないか。ホホホホ、伝馬の牢番か何からしいんだよ』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泊り泊りの宿を重ねてとりが鳴くあずまの空と来やがる、くなそねむな、おや抜きゃがったな、抜いたな、お抜きなすったな、あいてッ、あ痛ッ、斬ったな、うぬ、斬りゃがったな
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その点で、武夫文妻ぶふぶんさいは、松に添えて菊を描いたような画趣がしゅともいいましょうか、めでたいおちぎりです。……羨望せんぼうにたえません。連中がああして、いているのも、理由のないことではありませんよ。
嬉しそうに歩いているところを見せつけられたからけてたまらねえので、そんな悪戯いたずらをして腹癒はらいせをしてみたんだ、早く言えば百、お前が色男すぎるから調戯からかわれたんだ
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いてばかりいるんだから、ほんとに、嫌になっちゃう!」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けてたまらない婿さんが、或る夜、そのあとを尾行して行って見ると、寺の墓地へ行った。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そうくな。おぬしにも、やがていい嫁が見つかろう」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ故にがんりきとお角とが仲よくして歩くところを見るとけて仕方がありませんでした。
っかみだ、世間の口は」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたとわたしの仲をしょっちゅういていたのです、ゆうべも、その恨みを言いにわたしの枕許まくらもとへ参りました、そうしていやらしい身ぶりをしては、お楽しみだの、うまくやってやがらあだの
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「わかった、お前は、わたしが出世したから、それでくんだろう」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
がんりきの百蔵をひとかたならずかせたものです。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
少しけるような口ぶりでもあります。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「こいつは、ちっとばかりける」
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)