娯樂ごらく)” の例文
新字:娯楽
娯樂ごらくものの講談かうだんに、近頃ちかごろ大立おほだてものの、岡引をかつぴきが、つけて、つて、さだめて、御用ごようと、ると、幽靈いうれいは……わかをんなとはたものの慾目よくめだ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼等かれらそとからの人目ひとめ雨戸あまどけて唯一ゆゐいつ娯樂ごらくとされてある寶引はうびきをしようといふのであつた。たゝみには八ほんこん寶引絲はうびきいとがざらりとされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私に分け與へられた娯樂ごらくは、たゞイライザとヂョウヂアァナの毎日のよそほひを見てゐることゝ、彼女等が薄いモスリンを着、赤い帶をしめ、髮を美しくちゞらせて
宗助そうすけにはこの累々るゐ/\たるくろいものが、こと/″\娯樂ごらくせきて、面白おもしろ半夜はんやつぶこと出來でき餘裕よゆうのあるひとらしくおもはれた。かれかほてもうらやましかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
君達きみたち娯樂ごらくともならばしたまへとうつくしきたましひぐ」といふあなたの歌をS誌上しじやうに見たその時の、なんともいふことの出來ないその心持こゝろもちを、私はまだまざ/\とおぼえてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
彼は私が娯樂ごらくを欲しがつてはゐない、仕事を望んでゐるのだ、私の現在の生活には餘りにり所がないので、何か一つの目的を求めてゐるのだと云ふのだつた。
たゞ彼等かれらすべてはわらつてなはふべきよるつとめをすて公然こうぜんしよ集合しふがふする機會きくわい見出みいだすことをもとめてる。集合しふがふすることがたゞち彼等かれら娯樂ごらくあたへるからである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自分じぶん氣晴きばらしや保養ほやうや、娯樂ごらくもしくは好尚かうしやういてゞすら、斯樣かやう節儉せつけんしなければならない境遇きやうぐうにある宗助そうすけが、小六ころくためつくさないのは、つくさないのではない、あたまつく餘裕よゆうのないのだとは
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼等かれらたゞ朋輩ほうばいともつてることよりほかに「まち」というてもべつ目的もくてきもなければ娯樂ごらくもないのである。れで彼等かれらすこしでもことなつた出來事できごと見逃みのがすことをあへてしないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)