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へんてこ
ふりがな文庫
“
変梃
(
へんてこ
)” の例文
旧字:
變梃
先発宿
定
(
き
)
めの佐十さんが
南摩
(
なんま
)
ホテルで拒絶され、釜屋で門前払いを食い、ようやくにして佐野屋という
変梃
(
へんてこ
)
な家の二階と決まる。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
その代り
変梃
(
へんてこ
)
な爺さんが、一羽新しく加わったね。何んでもいいや、一網打尽、引っ捕えて鳥小屋へ入れてやろう! さあさあ
皆
(
みんな
)
お始めよ
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それに、あの迷亭って男はよっぽどな
酔興人
(
すいきょうじん
)
ですね。役にも立たない
嘘
(
うそ
)
八百を並べ立てて。
私
(
わた
)
しゃあんな
変梃
(
へんてこ
)
な人にゃ初めて逢いましたよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
でも無理に、五日市や八王子で、
変梃
(
へんてこ
)
なお
道化
(
どうけ
)
を三、四日売ってみましたが、予期どおりな悪評で、さんざんなていたらく。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頗
(
すこぶ
)
る
変梃
(
へんてこ
)
な話であるが、これは大杉を窮地に
陥
(
おとしい
)
れて自暴自棄させないための生活の便宜を与える高等政策であったろう。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
何の必要があって、そんな
変梃
(
へんてこ
)
な死に方をするのかすら見当の付けようがない。
唯
(
ただ
)
御苦労と云うより外はないであろう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして彼は元気な
朴訥
(
ぼくとつ
)
さをもって、また地勢についての賢明な叙述——(その叙事詩的な物語の中に
変梃
(
へんてこ
)
に
插入
(
そうにゅう
)
される)
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ところが、喜劇に笑いこけていた見物達は、
将
(
まさ
)
に第二幕目の
緞帳
(
どんちょう
)
が上ろうとする時、実に
変梃
(
へんてこ
)
な出来事にぶつかった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どんなに言葉のうけ交しが
変梃
(
へんてこ
)
なかたちにならうとも、向方も不思議に思はないのが私は、面白かつた。
環魚洞風景
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
エ?
左様
(
さう
)
々々、君はまだ御存じなかつたんだ。罷めましたよ、
遂々
(
たうたう
)
。何でも校長といふ奴と、——僕も二三度見て知つてますが、
鯰髯
(
なまづひげ
)
の随分
変梃
(
へんてこ
)
な
高麗人
(
かうらいじん
)
でネ。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
地上全体に大爆発を起こして人類といういじ/\した生物だけでも絶滅するんだがね——それにしても人類がなくなればまた何か
変梃
(
へんてこ
)
なものが出て来るかも知れないね。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
そうしてそれが、砂の中から浮んでいる私の顔を、とても
変梃
(
へんてこ
)
にさせていそうだった。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一足飛びに
上手
(
じょうず
)
になって、
初手
(
しょて
)
から立派に踊りが出来ればとにかく、こんなことを毎晩見せられたり、やがては自分もこんな腰附き手附きをして
変梃
(
へんてこ
)
極まる仕草をしなければならんとは
幕末維新懐古談:20 遊芸には縁のなかったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
途端に
惑
(
まど
)
わされて印もつけて来なかったような
変梃
(
へんてこ
)
な馬を買ってしまう。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
真紀
変梃
(
へんてこ
)
な所はあなたの感じが出てるんだろう、きっと。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
だが、その幽霊紳士は僕には確かに
変梃
(
へんてこ
)
に思われるな。
見えざる人
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
彼
(
か
)
の舶来の舞踏など、余程高尚な積りでおるかは知らぬが、その
変梃
(
へんてこ
)
な足取、その
淫猥
(
いや
)
らしき腰は、盆踊りより数倍も馬鹿気たものである。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
いやいや、不思議はそれに
止
(
とど
)
まらぬ。もっともっと
変梃
(
へんてこ
)
なことがあった。もう不思議という言葉では足らぬ。不可能事だ。あり
得
(
う
)
べからざることだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……え、何んだって山影さん? ああその人なら表て通りの、三丁目の辺でグルグルと、
変梃
(
へんてこ
)
な女に取り巻かれているよ。うんそうだ真っ黒の女に。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また妙に眼の光る町人も、物騒な棒を持ってあるく
変梃
(
へんてこ
)
な餓鬼も、いつのまにか寝床をもぬけの殻として、風を食らッて出立してしまったふうです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美妙斎や紅葉の書斎のゴタクサ書籍を積重ねた中に
変梃
(
へんてこ
)
な画や
翫弄物
(
おもちゃ
)
を
列
(
なら
)
べたと反して、余りに簡単過ぎていた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
数年来彼は毎朝、くだらない文学新聞の
淫猥
(
いんわい
)
な
頽廃
(
たいはい
)
的な小説を
耽読
(
たんどく
)
していた。そのために頭が
変梃
(
へんてこ
)
になっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
退
(
の
)
っ
引
(
ぴ
)
きならない先口をみんな断っておしまいになったというお話で御座いましたが……ところが旦那方の前でげすが、西洋人の惚れ方ってえものはヨッポド
変梃
(
へんてこ
)
でネ。
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
霞みを
喰
(
くら
)
いながら、
変梃
(
へんてこ
)
な身振りで面白そうにロココ風の「
四人組の踊り
(
カドリール
)
」を踊っていた。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
比田は
変梃
(
へんてこ
)
な事ばかりいった。しかし頼んだ事は一も二もなく引き受けてくれた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
色と匂いと音楽と、……雑沓と歓楽との場であって、大概
変梃
(
へんてこ
)
な田舎者でも、ここではたいして目立たなかった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どうも君の話は
変梃
(
へんてこ
)
だぜ。箱なんて何もないじゃないか。それに箱の中で歌を歌ったなんて、人殺しの最中にそんな馬鹿馬鹿しい真似をする奴があるもんか」
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
このおもしろみ読書の面白味にもあらず談理のおもしろみにもあらで一種
変梃
(
へんてこ
)
なおもしろみに候、小生
惟
(
おも
)
ふに学者の楽しむ所は理のおもしろみ、詩人の楽しむ所は情のおもしろみ
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかも、それがあの窓に限って念入りに、ベタベタと重なり合って附いているのだから
変梃
(
へんてこ
)
だよ。よっぽど特別な……或る極めて稀な場合を想像した仮説以外には、説明の附けようがないのだ
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その言葉に従えば、クリストフは天才であり、非凡な男であって、珍妙な音楽を作り、ことに
変梃
(
へんてこ
)
な音楽談をなし、機才にあふれており——そのうえ好男子で、きれいな口と素敵な歯とをもっていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
凡
(
すべ
)
て
変梃
(
へんてこ
)
な文句ばかりだね」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お前は芸で食っている、ところが俺というものは、先祖の武功というような、
変梃
(
へんてこ
)
なもので食っている。こいつは問題にならないな。お前の方が身分がいい」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
という、
変梃
(
へんてこ
)
な
捨科白
(
すてぜりふ
)
を残しながら三人は、無理に肩を
聳
(
そびやか
)
して出て行った。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
三唖も
旋毛
(
つむじ
)
の少々曲った
変梃
(
へんてこ
)
な男だから
嫌気
(
いやき
)
がさして
復
(
ま
)
た暫らく足を遠のくと、今度は他の家へはマメに出掛けるくせに社のものの方へはまるきり
鼬
(
いたち
)
の道てのは
余
(
あん
)
まり義理を知らなさ過ぎるぜと
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
変梃
(
へんてこ
)
だなア」と呟いたとたん、行手の林の
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
から、二点、十点、二十点、三十点ばかりの松火の光が、雪を桃色に染めながら一列にタラタラと現われた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
奇妙な
風体
(
ふうてい
)
をして——例えば洋服の上に羽織を引掛けて肩から
瓢箪
(
ひょうたん
)
を
提
(
さ
)
げるというような
変梃
(
へんてこ
)
な
扮装
(
なり
)
をして
田舎
(
いなか
)
の
達磨茶屋
(
だるまぢゃや
)
を遊び廻ったり、
印袢纏
(
しるしばんてん
)
に
弥蔵
(
やぞう
)
をきめ込んで職人の仲間へ入って見たり
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こんな
家
(
うち
)
が世の中にあろうとは私は夢にも思い付かなかった。何もかも夢の中の出来事のように
変梃
(
へんてこ
)
なことばかりでありながらその一つ一つが夢以上に気味わるく、恐ろしく、嬉しく、悲しかった。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おやおやこいつは
変梃
(
へんてこ
)
だぞ。妙な風向きになったものだ。叔父貴としては珍らしい。ははあわかった、手段だな。いわせて置いてとっちめる。ううんこいつに相違ない。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ピヤノを買ったのも音楽好きよりは珍らし物好きの愚慢病であった。が、日本の洋楽が椿岳や彦太楼尾張屋の楼主から開拓されたというは明治の音楽史研究者の余り知らない
頗
(
すこぶ
)
る
変梃
(
へんてこ
)
な秘史である。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
三平は
変梃
(
へんてこ
)
な身ぶりで礼を返した。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
それがな、本当に
変梃
(
へんてこ
)
だったよ。おれが後苑を歩いていると、素的な別嬪が手招きしたものさ。でおれは
従
(
つ
)
いて行った。すると大奥と天主台の間に厳封をした井戸があろう。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おやおや
変梃
(
へんてこ
)
に疑ぐるね。まあ
精々
(
せいぜい
)
かんぐるがいい。今にアッと云わせてやらあ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
全く今日の君の様子は、
変梃
(
へんてこ
)
と云わざるを得なかったよ。蛮的の君がお
洒落
(
しゃれ
)
をする。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
変梃
(
へんてこ
)
な蝶をなくしたことぐらいで、気が変わるとは解せないよ。もっとも研究材料で、大事なものには相違あるまいがな……まあまあそれはそれとして、お前さんと逢えたのは有難い。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「さらわれた先をいわないというのが、何より
変梃
(
へんてこ
)
で見当がつかない」
染吉の朱盆
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
変梃
(
へんてこ
)
な名だなあ、茗荷悪尉だなんて」甚太郎はまたも
哄笑
(
こうしょう
)
した。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おい、お銀、どうしたものだろう。少し
変梃
(
へんてこ
)
じゃなかろうかな」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おや
変梃
(
へんてこ
)
に笑やあがったな」甚太郎は黐棹を取り直した。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どう考えても
変梃
(
へんてこ
)
な名だ。おっとこいつア何んだろう」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おお初公、変じゃないか、どう考えても
変梃
(
へんてこ
)
だよ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
変
常用漢字
小4
部首:⼡
9画
梃
漢検1級
部首:⽊
11画
“変梃”で始まる語句
変梃来