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可懷
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なつか
ふりがな文庫
“
可懷
(
なつか
)” の例文
新字:
可懐
人間界
(
にんげんかい
)
ではないものを……と、
唯
(
たつ
)
た
今
(
いま
)
、
亭主
(
ていしゆ
)
に
死
(
し
)
なれたやうな
聲
(
こゑ
)
をして、
優
(
やさ
)
しい
女房
(
にようばう
)
は
涙
(
なみだ
)
ぐむ。
思
(
おも
)
ひがけない、
可懷
(
なつか
)
しさに
胸
(
むね
)
も
迫
(
せま
)
つたらう。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その赤い色がいかにも
可懷
(
なつか
)
しく、ふら/\と私は立ち寄つた。思ひがけぬ時刻の客に老爺は驚いて小屋から出て來た。
比叡山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
何故といふに、田舍に居る身内のものから遠く離れた私には、左樣いふ草餅の
香氣
(
にほひ
)
などを嗅ぐほど
可懷
(
なつか
)
しい思をさせるものが有りませんでしたから。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
茹栗
(
ゆでぐり
)
、
燒栗
(
やきぐり
)
、
可懷
(
なつか
)
し。
酸漿
(
ほうづき
)
は
然
(
さ
)
ることなれど、
丹波栗
(
たんばぐり
)
と
聞
(
き
)
けば、
里
(
さと
)
遠
(
とほ
)
く、
山
(
やま
)
遙
(
はるか
)
に、
仙境
(
せんきやう
)
の
土産
(
みやげ
)
の
如
(
ごと
)
く
幼心
(
をさなごころ
)
に
思
(
おも
)
ひしが。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今は早や凝つた形の雲とては見わけもつかず、一樣に露けく
潤
(
うる
)
んだ
皐月
(
さつき
)
の空の朧ろの果てが、言ふやうもなく
可懷
(
なつか
)
しい。次いでやや暫くの間、死んだやうな沈默がこの室内に續いてゐた。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
▼ もっと見る
却
(
かへ
)
つて、
日
(
ひ
)
を
經
(
ふ
)
るに
從
(
したが
)
つて、
物語
(
ものがたり
)
を
聞
(
き
)
きさした
如
(
ごと
)
く、
床
(
ゆか
)
しく、
可懷
(
なつか
)
しく、
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みるやうに
成
(
な
)
つたのである。……
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
消
(
け
)
さじと
圍
(
かこ
)
ふ
魂棚
(
たまだな
)
の
可懷
(
なつか
)
しき
面影
(
おもかげ
)
に、はら/\と
小雨
(
こさめ
)
降添
(
ふりそ
)
ふ
袖
(
そで
)
のあはれも、やがて
堪
(
た
)
へ
難
(
がた
)
き
日盛
(
ひざかり
)
や、
人間
(
にんげん
)
は
汗
(
あせ
)
に
成
(
な
)
り、
蒟蒻
(
こんにやく
)
は
砂
(
すな
)
に
成
(
な
)
り、
蠅
(
はへ
)
の
音
(
おと
)
は
礫
(
つぶて
)
と
成
(
な
)
る。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
四萬六千日
(
しまんろくせんにち
)
は
八月
(
はちぐわつ
)
なり。さしもの
暑
(
あつ
)
さも、
此
(
こ
)
の
夜
(
よ
)
のころ、
觀音
(
くわんのん
)
の
山
(
やま
)
より
涼
(
すゞ
)
しき
風
(
かぜ
)
そよ/\と
訪
(
おと
)
づるゝ、
可懷
(
なつか
)
し。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眞夏
(
まなつ
)
、
日盛
(
ひざか
)
りの
炎天
(
えんてん
)
を、
門天心太
(
もんてんこゝろぷと
)
と
賣
(
う
)
る
聲
(
こゑ
)
きはめてよし。
靜
(
しづか
)
にして、あはれに、
可懷
(
なつか
)
し。
荷
(
に
)
も
涼
(
すゞ
)
しく、
松
(
まつ
)
の
青葉
(
あをば
)
を
天秤
(
てんびん
)
にかけて
荷
(
にな
)
ふ。いゝ
聲
(
こゑ
)
にて、
長
(
なが
)
く
引
(
ひ
)
いて
靜
(
しづか
)
に
呼
(
よ
)
び
來
(
きた
)
る。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
思
(
おも
)
へばそれも
可懷
(
なつか
)
しい……
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
懷
部首:⼼
19画
“可”で始まる語句
可
可笑
可愛
可憐
可哀
可恐
可厭
可怪
可成
可惜