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ばくちうち
ふりがな文庫
“
博奕打
(
ばくちうち
)” の例文
「もう一人の男は、鐵之助といふ遊び人で、松前鐵之助と違つて、
股旅
(
またたび
)
の鐵之助といふちよいと苦み走つた、好い男の小
博奕打
(
ばくちうち
)
で」
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
着物を取ったんは泥坊と違うて
博奕打
(
ばくちうち
)
やいうのんです、それがだんだん聞いてみますと、ほんまに悪いことは
出来
(
でけ
)
へんもんで
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「それよか、旦那あ、なぜ一本ですむ物を二本差して、
窮屈
(
きゅうくつ
)
がっているよりも、さらりと、
博奕打
(
ばくちうち
)
にでもならないのか、わしゃあ、ふしぎ……」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
儒者の
荻生惣右衛門
(
をぎふそうゑもん
)
の隣りに、俳人宝井其角が棲んでゐたやうに、この社会主義者の隣りに
博奕打
(
ばくちうち
)
が一
人
(
にん
)
住まつてゐた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
雪嶺さんの子分——子分というと何だか
博奕打
(
ばくちうち
)
のようでおかしいが、——まあ同人といったようなものでしょう、どうしても取り消せというのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
清河が集めた浪士と申したところが、やはり浪士・浪人の区別はないので、百姓もあれば神主もあり、
博奕打
(
ばくちうち
)
もある。小泥坊さえあったのであります。
話に聞いた近藤勇
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
博奕打
(
ばくちうち
)
が相手の
懐合
(
ふところあ
)
いを勘定したり、
掏摸
(
すり
)
やインチキ師が「感付かれたな」と感付いたり、
馬道
(
うまみち
)
あたりの俥屋が
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
勝負事の好きなものは
博奕打
(
ばくちうち
)
になる。おべんちゃらの巧い奴は
旅商人
(
たびあきんど
)
になる。碁打ちになる、俳諧師になる。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一体フランス人は
博奕打
(
ばくちうち
)
と酒飲ばかりだ。とう/\博奕に負けて悪魔に王様の首を取られた。
センツアマニ
(新字旧仮名)
/
マクシム・ゴーリキー
(著)
勘六は
博奕打
(
ばくちうち
)
だといっていた。東京深川のなにがし組で、かつてはあにい分だったという。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
上方者
(
かみがたもん
)
なんです、京都のみぞろというところに生れた奴なんです、が若い時分から
博奕打
(
ばくちうち
)
の仲間入りをして諸方を流れて歩いた揚句に、本来やくざじゃあるが
小才
(
こさい
)
の
利
(
き
)
く奴でして
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芸者、芸人、
鳶者
(
とびのもの
)
、芝居の
出方
(
でかた
)
、
博奕打
(
ばくちうち
)
、皆近世に関係のない名ばかりである。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
立退て江戸に
滯留中
(
たうりうちう
)
鈴が森にて
十七屋
(
となつや
)
の金飛脚を殺し金子五百兩
奪
(
うば
)
ひ取しが惡事の
仕納
(
しをさ
)
めなりと咄しければ三五郎聞て
眉
(
まゆ
)
をひそめ夫は
博奕打
(
ばくちうち
)
や盜賊を殺して
取
(
とる
)
金
(
かね
)
は同じ罪でも罪は
輕
(
かる
)
し唯の者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「嘘は無え。盗つ人の尻押しにや、こりや
博奕打
(
ばくちうち
)
が持つて来いだ。」
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
へえ天国に入れてもらいます……ばか……おやじが
博奕打
(
ばくちうち
)
の酒喰らいで、お袋の腹の中が
梅毒
(
かさ
)
腐れで……俺の眼を見てくれ……
沢庵
(
たくあん
)
と
味噌汁
(
みそしる
)
だけで育ち上った人間……が僣越ならけだものでもいい。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と赤羽君は
博奕打
(
ばくちうち
)
の真似をした。大喝采だった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
七草や腕の
利
(
き
)
きたる
博奕打
(
ばくちうち
)
同
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
孤児
(
みなしご
)
になって、茶屋奉公に売られたり、
博奕打
(
ばくちうち
)
の女房になってみたり、
神風楼
(
しんぷうろう
)
の
花魁
(
おいらん
)
にまで身を落しても、これだけは肌身に着けていたんです。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水茶屋の
茶汲女
(
ちゃくみおんな
)
で年を喰って、酔っ払いも武家も、御用聞も
博奕打
(
ばくちうち
)
も、物の数とも思わぬ
面魂
(
つらだましい
)
です。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その隣りの
博奕打
(
ばくちうち
)
が、大勢同類を寄せて、互に
血眼
(
ちまなこ
)
を
擦
(
こす
)
り合っている最中に、ねんね子で赤ん坊を
負
(
おぶ
)
ったかみさんが、勝負で夢中になっている亭主を
迎
(
むかえ
)
に来る事がある。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
野次馬に覗かれないように表の板戸を
卸
(
おろ
)
しかけていた
博奕打
(
ばくちうち
)
の藤六という宿屋の
親仁
(
おやじ
)
がヒョコリと頭を下げて通してくれた。こっちも頭を下げながら出会い
頭
(
がしら
)
に問うた。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
勘六は
博奕打
(
ばくちうち
)
だといっていた。東京深川のなにがし組で、かつてはあにい分だったという。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
殺し金百兩盜みたる者ある由噂仕つるにより扨は勘太郎が
仕業
(
しわざ
)
なるか
但
(
たゞし
)
外に
喧嘩
(
けんくわ
)
でも致したるかと思ふに
中裁
(
なかなほり
)
の沙汰もなく
博奕打
(
ばくちうち
)
の喧嘩なれば是非沙汰の
有
(
ある
)
筈
(
はず
)
なるに一向何の
咄
(
はなし
)
もないは
彌々
(
いよ/\
)
以て女隱居を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
鹿沼
(
かぬま
)
の、
博奕打
(
ばくちうち
)
、玉田屋の
酉兵衛
(
とりべえ
)
は、この一夏で、日光の
出開帳
(
でかいちょう
)
から上げた寺銭の大部分を、今、連れてゆく、孫のようなお八重の身代金に、投げだしたといわれていた。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先代総七は実弟の勝造を
蛇蝎
(
だかつ
)
のごとく嫌っていたのは隠れもない事実で、その娘のお勇では改めて養子を容れる世話もあり、
博奕打
(
ばくちうち
)
の勝造が出しゃ張っては、店の信用にも拘わるので
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この庄兵衛と、
盃
(
さかずき
)
を飲み分けた弟分で、「
鼻猪之
(
はないの
)
」と云われる
博奕打
(
ばくちうち
)
がいた。
無頼は討たず
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
して居たりける
爰
(
こゝ
)
に
又
(
また
)
慈恩寺村にて
大博奕
(
おほばくち
)
の
土場
(
どば
)
が出來鴻の巣なる鎌倉屋金兵衞と云ふ
名稱
(
なうて
)
の
博奕打
(
ばくちうち
)
が來りて大いに
卻含
(
はづみ
)
金兵衞は五百兩ばかり
勝
(
かち
)
し折柄自分の村方に
急用
(
きふよう
)
出來せしにより
急
(
いそ
)
ぎ
歸村
(
きそん
)
せよと飛脚の來りける故
仲間
(
なかま
)
に
斯
(
かく
)
と
告
(
つげ
)
て
振舞
(
ふるまひ
)
などを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
祖先傳來の浪人で
箸
(
はし
)
にも棒にも掛らぬ手合があり、
押借
(
おしがり
)
、
強請
(
ゆすり
)
、喧嘩口論を渡世にする者も、
博奕打
(
ばくちうち
)
や裕福な町人の用心棒になつて生涯をブラブラと暮して了ふ者も少なくはなかつたのです。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
博奕打
(
ばくちうち
)
のね」と芳村は云った、「あなたなどは知らないだろうが、
賭場
(
とば
)
のたつときとか、
博徒
(
ばくと
)
どうしの争いなどに、この刀を役立てるというわけです、人間の
屑
(
くず
)
でなければやらない仕事ですがね、 ...
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
博
常用漢字
小4
部首:⼗
12画
奕
漢検1級
部首:⼤
9画
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
“博奕”で始まる語句
博奕
博奕場
博奕史
博奕宿
博奕兇状
博奕尾
博奕仲間
博奕友達
博奕根性
博奕流行