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卒爾
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そつじ
ふりがな文庫
“
卒爾
(
そつじ
)” の例文
「
卒爾
(
そつじ
)
ながらお尋ね致す」言葉の様子が違って来た。「武田家の家人で土屋姓、土屋惣蔵昌恒殿のもしやお身内ではござらぬかな?」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今ここに、
書肆
(
しよし
)
から望まれるに
其
(
それ
)
等の見聞記を集めて読み返して見ると、すべて
卒爾
(
そつじ
)
に書いた
杜撰
(
づざん
)
無用の文字のみであるのに赤面する。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「わああああ。こりゃ
卒爾
(
そつじ
)
を申した。ごめん、ごめん。……お呼びとめしたのは御辺じゃおざらぬ。高氏ちがいじゃ、高氏ちがいじゃ」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はなはだ
卒爾
(
そつじ
)
なお尋ねにござりまするが、
切支丹伴天連
(
きりしたんばてれん
)
の魔法を防ぐには、どうしたらよろしいのでござりましょうか」
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
貫一は覚えず足を踏止めて、その
瞪
(
みは
)
れる
眼
(
まなこ
)
を花に注ぎつ。宮ははやここに居たりとやうに、彼は
卒爾
(
そつじ
)
の感に
衝
(
つか
)
れたるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
一藩の仕置をつかさどる譜代の重役が、
卒爾
(
そつじ
)
なざまで逃げるようにこそこそと退散するのを、主水は遺憾に思っていた。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
寂心が来て
卒爾
(
そつじ
)
の戯れをしたことが分って、源信はふたたび水を現じて、寂心に其中へ投げ入れたものを除去させた。源信はもとの如くになった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「何として帝は、あのやうに十字の印を切らせられるぞ。」と、
卒爾
(
そつじ
)
ながら尋ねて見た所がその侍の答へたは
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今や、仏国の経過せざるべからざる危機の叢中において
卒爾
(
そつじ
)
として問う者あり。曰くたれかかくのごとき
困阨
(
こんやく
)
をば作出したるか。吾人はたれを罰すべきか。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「もし、お女中、
卒爾
(
そつじ
)
ながらお身たちは、治部殿の
御首
(
みしるし
)
を拝んでおいでなされたのでござりましょうな」
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
えゝ
卒爾
(
そつじ
)
ながら手前は此の
隣席
(
りんせき
)
に食事を致して、只今帰ろうと存じて
居
(
お
)
ると、何か御家来の少しの不調法を
廉
(
かど
)
に取りまして、
暴々
(
あら/\
)
しき事を申掛け、御迷惑の御様子
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
卒爾
(
そつじ
)
に見ていると判りませんが、こまかく気をつけると、湖心から風上へ揺り戻る浪のはためきで渚の結氷は二寸三寸ずつ壊れて欠けて、湖心へ向け散って行きます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
卒爾
(
そつじ
)
ながらと
途
(
みち
)
を訊いたのがこの親切なヴァン・ポウル氏で、翌日氏は、どこか会社の近処の食料品店で見つけたが、これは日本人の飲料であろう、よろしく召上れと名刺をつけて
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「左様にござる、で、
卒爾
(
そつじ
)
ながらそのお槍の拝借をお願い致す儀でござる」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「八橋の跡を見にまいった者だが、
卒爾
(
そつじ
)
ながら暫く休ませて頂けまいか」
日本婦道記:墨丸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
ながら灯びは民家にあるものより大きくはございませんか。」
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
われわれなどの、あるときは
晨起
(
はやおき
)
し、あるときは朝寝し、あるいは
忽然
(
こつぜん
)
として怒り、あるいは
卒爾
(
そつじ
)
として喜び、気ままに規則を犯し、勝手に約束を破るものとは、実に天地の相違ではありませぬか。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
ながら
伺
(
うかが
)
いますが、あなたは水原紀代子さんですか」
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
お秀は驚ろかされた人のように、
卒爾
(
そつじ
)
な質問をかけた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
ながら、おたずね申す」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あいや、
卒爾
(
そつじ
)
でござるが——」と、並木の下で、ばったりと会った
範綱
(
のりつな
)
と
宗業
(
むねなり
)
の兄弟に、すこし息をきって、唐突に、たずねた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
にものを言わるる
勿
(
な
)
。もう
宜
(
よ
)
い。何と仰せられてもそれがしはそれがし。互に言募れば止まりどころを失う。それがしは御相手になり申せぬ。」
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
唐突で、ごめいわくでもありましょうが、
卒爾
(
そつじ
)
ながら
仲人
(
ちゅうにん
)
をおねがいいたします。文を探して、池の汀まで、お連れくださるわけにはまいりませんでしょうか
西林図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
のお尋ねではございますが、もしやあなたは噂に高いはだか武兵衛様ではござりませぬか?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし後の方の理由からとしたならこれは
卒爾
(
そつじ
)
には済まされんことだ。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今却りて
浮萍
(
うきくさ
)
の底に沈める泥中の光に
値
(
あ
)
へる
卒爾
(
そつじ
)
の
歓極
(
よろこびきは
)
まれればなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
ながら、これは何をかいたものですか」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
最前の
卒爾
(
そつじ
)
をふかく詫びて、おことばのままを主人光秀に伝えたところ、却って、医家の仁はさもあるべきだと、非常な御感銘であったとも告げ——
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木沢
氏
(
うじ
)
、あの通りにござる。
卒爾
(
そつじ
)
に物を申し出したる
咎
(
とが
)
、又過言にも聞えかねぬ申しごと、若い者の無邪気の事でござる。あやまり入った上は
御
(
お
)
免
(
ゆる
)
し遣わされい。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
のお尋ねではござりますが、もしやお屋敷の召使中にお菊と宣るものござりましょうか?」
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「将軍、
卒爾
(
そつじ
)
なことを口走り給うな。もし、そのようなことが外へ洩れたら、お身のみか、三族を亡ぼされますぞ」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
卒爾
(
そつじ
)
の一句を漏らしたが、後はしばらく無言になった。眼は半眼になって終った。然しまだ苦んだ顔にはならぬ、碁の手でも
按
(
あん
)
ずるような沈んだのみの顔であった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「いかにもお呼び止め申した。
甚
(
はなは
)
だ
卒爾
(
そつじ
)
ではござりますが、ここまでお戻りくださるまいか」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いや、ここの
御山
(
みやま
)
が、そういう尊い戦の
址
(
あと
)
とは、はじめて承知しました。知らぬことといいながら、先ほどは、
卒爾
(
そつじ
)
なおたずねを致しおゆるし下さい」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
景隆は長身にして
眉目疎秀
(
びもくそしゅう
)
、
雍容都雅
(
ようようとが
)
、
顧盻偉然
(
こべんいぜん
)
、
卒爾
(
そつじ
)
に之を望めば大人物の如くなりしかば、
屡
(
しばしば
)
出
(
い
)
でゝ軍を
湖広
(
ここう
)
陝西
(
せんせい
)
河南
(
かなん
)
に練り、
左軍都督府事
(
さぐんととくふじ
)
となりたるほかには、
為
(
な
)
すところも無く
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
ながら物を訊く。日本橋の方へはどう参るな?」
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「……ウウむ。何とも、
卒爾
(
そつじ
)
いたしました。しかし、事のついでに、御姓名だけ、伺わせていただきたい」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
ながらおたずね致す」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
卒爾
(
そつじ
)
でござるが、ご修行者とお見受けしてお願い申す、かく自流ばかりでは一同上達も致しませぬ。ご無心ながら皆の者へ一手ずつのご指南を仰ぎたいものでござる」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
此方
(
このほう
)
は、清十郎の叔父にあたる者でござる。おてまえ様の儀は、かねて、清十郎からも、頼母しき
御仁
(
ごじん
)
なりと承っておりました。どういう行き違いか、門弟どもの
卒爾
(
そつじ
)
は、この老人に免じて勘弁して下さるよう」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄徳は、
卒爾
(
そつじ
)
を謝して
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“卒爾”の意味
《名詞》
卒爾(そつじ)
にわかであること。突然であること。率爾。
(出典:Wiktionary)
卒
常用漢字
小4
部首:⼗
8画
爾
漢検準1級
部首:⽘
14画
“卒”で始まる語句
卒
卒塔婆
卒業
卒然
卒倒
卒中
卒都婆
卒伍
卒塔婆小町
卒去