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午過
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ひるす
ふりがな文庫
“
午過
(
ひるす
)” の例文
品川へ着いたのはもう
午過
(
ひるす
)
ぎ、平次はいきなり町内の外科へ飛込み、無理に頼み込んで、見世物小屋まで医者と一緒に行きました。
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ある時は、朝早くから訪れて
午過
(
ひるす
)
ぎまで目ざめぬ人を、雪の降る日の玄関わきの小座敷につくねんと、
火桶
(
ひおけ
)
もなく
待
(
まち
)
あかしていたこともあった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今でもはっきり覚えていますが、それは王氏の庭の
牡丹
(
ぼたん
)
が、
玉欄
(
ぎょくらん
)
の
外
(
そと
)
に咲き誇った、風のない初夏の
午過
(
ひるす
)
ぎです。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
太田は別に思案もないので、佐佐に同意して、
午過
(
ひるす
)
ぎに東町奉行稲垣をも出席させて、町年寄五人に桂屋太郎兵衛が子供を召し連れて
出
(
で
)
させることにした。
最後の一句
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
不動様のお
三日
(
さんにち
)
という
午過
(
ひるす
)
ぎなぞ参詣戻りの人々が
筑波根
(
つくばね
)
、
繭玉
(
まゆだま
)
、
成田山
(
なりたさん
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
、
泥細工
(
つちざいく
)
の
住吉踊
(
すみよしおどり
)
の人形なぞ
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
三日目
(
みつかめ
)
の
午過
(
ひるす
)
ぎ、やれ
粥
(
かゆ
)
を
煮
(
に
)
ろの、おかう/\を
細
(
こまか
)
くはやせの、と
云
(
い
)
ふ
病人
(
びやうにん
)
が、
何故
(
なぜ
)
か
一倍
(
いちばい
)
氣分
(
きぶん
)
が
惡
(
わる
)
いと、
午飯
(
おひる
)
も
食
(
た
)
べないから、
尚
(
な
)
ほ
打棄
(
うつちや
)
つては
置
(
お
)
かれない。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼女が来て二十日ほど経ったある宵のこと、
午過
(
ひるす
)
ぎから来ていた四五人の女客を送出して、蝙也が居間へ入ってみると、町が
悄然
(
しょうぜん
)
と窓際に坐って涙を拭いていた。
松林蝙也
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
津田は
纏
(
まと
)
まらない事をそれからそれへと考えた。そのうちいつか
午過
(
ひるす
)
ぎになってしまった。彼の頭は疲れていた。もう一つ事を長く思い続ける勇気がなくなった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
叔父にお庄と植木屋と、この三人が翌日に死んだ赤子を
谷中
(
やなか
)
の寺へ送って、
午過
(
ひるす
)
ぎに帰って来ると、母親は産婦に熱が出たと言って、心配そうに一同を待っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
三日程前の
午過
(
ひるす
)
ぎ、友人に頼まれた或る本を探すために、本郷通りの古本屋を一通り
漁
(
あさ
)
った私は、かなり眼の疲れを覚えながら、赤門前から三丁目の方へ向って歩いていた。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この日、彼は
午過
(
ひるす
)
ぎからわずかな従者を具して、城外へ出た。
身装
(
みなり
)
も軽装だし、常に左右におく重臣すら連れていない。けれど特に触れなくても、城門の将士にいたるまで
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冬近い冴えた日ざしが
午過
(
ひるす
)
ぎの河原町の長い、だが人気のない通り一杯に溢れてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
今宵はとおもはれし日の
午過
(
ひるす
)
ぎて、われは羅馬の
御館
(
みたち
)
に參りしに、檀那はチヲリに往き給ひし後なりき。歸りて見れば、母は息絶えたり。言ひ
畢
(
をは
)
りて、ピエトロは手もて面を
掩
(
おほ
)
ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その日の
午過
(
ひるす
)
ぎ頃、庸介の父は、その日の最後の患者であった中年の百姓女の右の乳の下の大きな
腫物
(
はれもの
)
を切開して、その跡を助手と看護婦とが二人がかりで
繃帯
(
ほうたい
)
をなし終えるのを見ると
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
いよいよ今日の
午過
(
ひるす
)
ぎにお暇を貰うことと極っていたので、主人らの昼飯が終って後ちに台所の片隅で自分の昼飯をもすませ、さて自分の膳として与えられたままに今日まで用いて来た古膳も
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
子犬の生れた騒ぎに、猫のミイやが居ないことを
午過
(
ひるす
)
ぎまで
気付
(
きづ
)
かなかった。「おや、ミイは?」と
細君
(
さいくん
)
が不安な顔をして
見廻
(
みま
)
わした時は、午後の一時近かった。
総
(
そう
)
がかりで家中探がす。居ない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
安政二年三月四日の
午過
(
ひるす
)
ぎに、不思議な人間が品川沖にあらわれた。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人も見えね
御嶽山道
(
みたけさんだう
)
の
風埃
(
かざぼこり
)
目にたちてしろき
午過
(
ひるす
)
ぎにけり
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
入谷へ行き着いたのは
午過
(
ひるす
)
ぎ、役人は歸つてしまつて、三輪の萬七とその子分のお
神樂
(
かぐら
)
の清吉が、
弔
(
とむら
)
ひ客を睨め廻すやうに入口の一と間に陣取つて居りました。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
饂飩
(
うどん
)
を煮る湯気が障子の破れから、吹いて、白く右へ
靡
(
なび
)
いた頃から、
午過
(
ひるす
)
ぎは雨かなとも思われた。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが秋の
午過
(
ひるす
)
ぎを、
揺々
(
ようよう
)
と、動くが如く、動かぬがごとく、いわゆる戦気満々に、
発向
(
はっこう
)
——の一令を待っているのが、武者のみか、馬までが、もどかしげに見えるのだった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行く秋の曇った
午過
(
ひるす
)
ぎは物の輪廓を没して、色彩ばかり浮立つ幻覚に唯だどんよりと静まり返っているのです。しかし折々落ち残った木の葉が、
忽然
(
こつぜん
)
として一度にはらはらと落ちます。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この蔀君が僕の内へ来たのは、川開きの前日の
午過
(
ひるす
)
ぎであった。あすの川開きに、両国を
跡
(
あと
)
に見て、川上へ上って、寺島で百物語の催しをしようと云うのだが、行って見ぬかと云う。主人は誰だ。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「全くいけませんでしたね。降っても構わずにやるというから、わたしもこれからちょいと行って見ようかと思っているんですがね。少し雲切れがしているから、
午過
(
ひるす
)
ぎからは明るくなるかと思いますが、なにしろ花時ですから不安心ですよ」
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
入谷へ行き着いたのは
午過
(
ひるす
)
ぎ、役人は帰ってしまって、三輪の万七とその子分のお
神楽
(
かぐら
)
の清吉が、
弔
(
とむら
)
い客を
睨
(
ね
)
め廻すように入口の一と間に陣取っておりました。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とにかくその賑やかなささら歌や笑い声の興もまだ尽きない
午過
(
ひるす
)
ぎ頃のことだった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高札
(
こうさつ
)
の立った日には、
午過
(
ひるす
)
ぎに母が来て、女房に太郎兵衛の運命のきまったことを話した。しかし女房は、母の恐れたほど驚きもせず、聞いてしまって、またいつもと同じ繰り
言
(
ごと
)
を言って泣いた。
最後の一句
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と、献じに来るものやら、
午過
(
ひるす
)
ぎては、休養どころか、門前市をなすばかりだった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わけて六月
朔日
(
ついたち
)
は近年にない暑さだった。朝から雲一つなく照りつづけ、
午過
(
ひるす
)
ぎてからは北の空の一方は雲の峰に
蔽
(
おお
)
われたが、なお暮れるまで
夕陽
(
ゆうひ
)
の熱と光は丹波の山河を
焦
(
や
)
いていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午過
(
ひるす
)
ぎの半日も、工事場は、そんな空気で暮れかけた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その日の
午過
(
ひるす
)
ぎである。まだ暑い盛り。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まず、
午過
(
ひるす
)
ぎまでには」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午
常用漢字
小2
部首:⼗
4画
過
常用漢字
小5
部首:⾡
12画
“午”で始まる語句
午
午後
午飯
午前
午餐
午睡
午頃
午砲
午食
午刻