公子こうし)” の例文
安く送らん事最々いと/\容易よういわざながら忠相ぬしつら/\かれを見るに貴介きかい公子こうし落胤らくいん似氣にげなく奸佞かんねい面に顯れ居ればこゝろゆるせぬ曲者くせものなりと夫が成立なりたちよりの事柄を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
菊植ゆるまがきまたはかわやの窓の竹格子たけごうしなぞの損じたるをみずから庭の竹藪より竹切来きりきたりて結びつくろふたわむれもまた家をそとなる白馬銀鞍はくばぎんあん公子こうしたちが知る所にあらざるべし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
くもくらし、くもくらし、曠野あらの徜徉さまよかり公子こうしが、けものてら炬火たいまつは、末枯うらがれ尾花をばな落葉おちばべにゆるにこそ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして朝飯がすむと孔生は少年の皇甫公子こうしに書物を教えたが、教科書として出してきた物はたいがい古い詩文で、文官試験の参考になるような当時の用にたつ学芸のものはなかった。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
公子こうしきうやぶるるや、召忽せうこつこれし、われ(一〇)幽囚いうしうせられてはづかしめく。鮑叔はうしゆくわれもつはぢしとさず。(一一)小節せうせつぢずして・功名こうめいの・天下てんかあらはれざるをづるをればなり
侍女五人、以前の一人を真先まっさきに、すらすらと従い出づ。いずれも洋装。第五の侍女、年最もわかし。二人は床の上、公子こうし背後うしろに。二人は床を下りて僧都の前に。第一の侍女はそのうしろに立つ。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すでにして鮑叔はうしゆく(四)せい公子こうし小白せうはくつかへ、管仲くわんちう公子こうしきうつかふ。小白せうはくつて桓公くわんこうるにおよんで、公子こうしきうし、管仲くわんちうとらはる。鮑叔はうしゆくつひ管仲くわんちう(五)すすむ。管仲くわんちうすでもちひられてまつりごとせいにんず。
これが、哥太寛こたいくわんふ、此家こゝ主人あるじたち夫婦ふうふ祕藏娘ひざうむすめで、今年ことし十八にる、哥鬱賢こうつけんうてね、しま第一だいいちうつくしいひとのものにつたの。和蘭陀オランダ公子こうし本望ほんまうでせう……じつそれのぞみだつたらしいから——
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)