伏木ふしき)” の例文
伏木ふしきから汽船に乗りますと、富山の岩瀬、四日市、魚津、泊となって、それから糸魚川いといがわせき親不知おやしらず、五智を通って、直江津へ出るのであります。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これから転じてはバンチクという村もあり、伏木ふしきの港に行くと普通にはバンチャといっているが、チクとかチャとかは多分啼声なきごえに基いたあだ名のごときものであろう。
せばめられてひるヶ小島へ流罪るざいと成せられたれども終には石橋山に義兵をあげられし處其軍利なくして伏木ふしきの穴にかくれ給ひしを梶原が二心より危き御身を助り夫より御運を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伏木ふしきひてうつりの昨日きのふゆめ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
みちちがふが——はなしついでだ。わたし下街道しもかいだうを、たゞ一度いちどだけ、伏木ふしきから直江津なほえつまで汽船きせんわたつたことがある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はツ/\とやつして、漫々まん/\たるおほきなかはの——それは庄川しやうかはであらうとおもふ——はしで、がつかりしてよわつてところを、船頭せんどうなかば好意かういせられて、ながれくだりに伏木ふしきわたつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上野うへの汽車きしや最後さいご停車場ステエシヨンたつすれば、碓氷峠うすひたうげ馬車ばしやられ、ふたゝ汽車きしやにて直江津なほえつたつし、海路かいろ一文字いちもんじ伏木ふしきいたれば、腕車わんしやせん富山とやまおもむき、四十物町あへものちやうとほけて、町盡まちはづれもりくゞらば
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……いて、眞實ほんたうにはなさるまい、伏木ふしき汽船きせんが、兩會社りやうくわいしやはげしく競爭きやうさうして、乘客じようきやく爭奪さうだつ手段しゆだんのあまり、無賃銀むちんぎん、たゞでのせて、甲會社かふくわいしや手拭てぬぐひ一筋ひとすぢ乙會社おつくわいしや繪端書ゑはがき三枚さんまい景物けいぶつすとふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元来伏木ふしき直江津間の航路の三分の一は、はるかに能登半島の庇護ひごによりて、からくも内海うちうみ形成かたちつくれども、とまり以東は全く洋々たる外海そとうみにて、快晴の日は、佐渡島の糢糊もこたるを見るのみなれば、四面しめん淼茫びょうぼうとして
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ばか言え! 伏木ふしきまで行くか」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)