仰付おおせつ)” の例文
向象賢はその劈頭へきとう第一に、ず国相具志川按司の跡役に就いて大和に伺ったら、自分に仰付おおせつけられたということを書いています。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
事の真偽しんぎは知らぬが、明治の初年ごろに西郷さいごうはじめ維新の豪傑連ごうけつれんがはじめて御陪食ごばいしょく仰付おおせつけられたことがあったという。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
女房子供のお供を仰付おおせつかり折角の安息日を骨折損にくたびれて、一日の奉仕を終り、例に依って僕愛用の青バスに、僕の一小隊を乗せて万世橋へと向った。
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
その神尾様がこちらを失敗しくじったものだから、甲府詰を仰付おおせつかったのだ。お旗本で甲府詰になるのはよくよくで、もう二度と浮ぶ瀬がないようなものだ。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
長らく病んで居ります処の親を一人残して入牢仰付おおせつけられたは如何にも筆へ対して手前気の毒な思いを致しました
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おれは公儀へ召されることになるそうだ。それが近い事で公方様くぼうさまの喪が済み次第仰付おおせつけられるだろうということだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
不束ふつつかながら行末は儒者ともあいなり家名を揚げたき心願にて有之候処、十五歳の春、父上は殿様御帰国のみぎり御供廻おともまわり仰付おおせつけられそのまま御国詰おくにづめになされ候に
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこんとこだけは良心がり切れちゃってトテモ人間わざとは思えないくらい大胆巧妙になっておいでになるんですから、お相手を仰付おおせつけられた本屋は叶いませんや。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仰付おおせつけられたのだ。なんでもおれはきょうからはこうって寝ていなくてはならないのだそうだ。まあ、これが己の死ぬる寝床なのだから、その積りでいてもらおうか。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
暫時ざんじのことならば拝借仰付おおせつけられてもかろうと云うような曖昧な答をしたから、その笞を聞くやいなやすぐにその次の元締役もとじめやくの奉行の処に行て、今御家老ごかろう志摩殿に斯う云う話をした所が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
はて不思議な事と処分に困って居りますと、時のお月番右京殿より、「浪島文治郎こと業平文治儀はとくと取調ぶる仔細あり、評定所ひょうじょうしょおいて再吟味仰付おおせつくる」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あの化物屋敷で、明日から一升ずつ、上等のお酒の御用を仰付おおせつかりました」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
およそ人間の交際は売言葉に買言葉で、藩の方から数代すだい御奉公を仰付おおせつけられて難有ありがた仕合しあわせであろうとひどく恩にせれば、失敬ながら此方こっちにも言葉がある、数代すだい家来になって正直に勤めたぞ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
わたくしは今日こんにち父の跡を襲いで、留守居役を仰付おおせつけられました。今までとは違った心掛こころがけがなくてはならぬ役目と存ぜられます。実はそれに用立ようだつお講釈が承わりたさに、御足労を願いました。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
奈良原翁が晴れの九州入をする時に、当時二十五か六で、文学青年から禅宗坊主に転向していたばかりの筆者は、思いがけなく到翁の侍従役を仰付おおせつけられて、共々に新橋駅(今の汐留駅)に来た。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
諏訪部三十郎は病気で御出役が無かったのだが公辺こうへんのお首尾が悪く、百日の間閉門仰付おおせつけられますると云う騒ぎ、座光寺源三郎は勿論深見の家も改易に相成りまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「してその拝見を仰付おおせつけられる品は?」
取敢とりあえず文治には乱暴者として揚屋入あがりやいり仰付おおせつけ、其のの者は当分仮牢留置とめおきを申付けられました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
千「そんな事とは存じませんもの、貴方あなたはお手紙で御用を仰付おおせつけられましたのでございますか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
左膳の娘はななる者が、奥向おくむきへ御奉公中、せん殿様のお手が付き懐妊の身となりしが、其の頃お上通かみどおりのお腹様はらさま嫉妬深しっとふかく、お花をにくみ、ついとがなき左膳親子は放逐ほうちく仰付おおせつけられ
何うしても斬首ざんしゅの刑に行わるべきであったのが、何ういう事か三宅へ遠島を仰付おおせつけられましたが、大層改悛かいしゅんの効があらわれ、のちしゃになって、此の三次郎は兄玄道の徒弟となり
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勿体なくも平林殿の後役を不肖ふしょう文治に仰付おおせつけられました、一同左様心得ませえ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
織江からきたる十五日御登城の節お通り掛けお目見え仰付おおせつけらるゝ旨、かつ上屋敷に於てお長家ながやを下し置かるゝ旨をもあわせて達しましたので、大藏は有難きよしのおうけをして拝領の長家へさがりました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これから災難で此の罪が友之助に係りまして、たちまちにお役所へ引かれますのを見て、文治郎みずから名告なのって出て、徒罪とざい仰付おおせつけられ、遂に小笠原島へ漂着致し、七ヶ年の間、無人島むにんとうに居りまして
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)