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ぢゆう
ふりがな文庫
“
中
(
ぢゆう
)” の例文
「いよ/\お別れが来ました。二三日
中
(
ぢゆう
)
に
貴方方
(
あなたがた
)
と別れなくつちやならんかも知れん。」軍曹は
狗
(
いぬ
)
のやうに悲しさうな眼つきをして言つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それには、動物的な凄味と、妙に鋭く冷たい超人間的な
威壓力
(
ゐあつりよく
)
とがあつた。そして更に
妖婆
(
えうば
)
の持つ無氣味さがそのからだ
中
(
ぢゆう
)
から發散してゐた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
法科大学教授大川
渉
(
わたる
)
君は居間の
真中
(
まんなか
)
へ
革包
(
かばん
)
を出して、そこら
中
(
ぢゆう
)
に書物やシヤツなどを取り散らして、何か考へては革包の中へしまひ込んでゐる。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
両
崖
(
がい
)
には幹の白い枝から
数尺
(
すうしやく
)
の
鬚
(
ひげ
)
を垂れた
榕樹
(
ようじゆ
)
や、
紅蜀葵
(
こうしよくき
)
に似た花を一年
中
(
ぢゆう
)
つけて居ると云ふ
樹
(
き
)
や、
紫色
(
ししよく
)
をした昼顔の一種
五瓜竜
(
ごくわりよう
)
などが目に
入
(
い
)
る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「おい、もう一
度
(
ど
)
家を
捜
(
さが
)
さう。
疲
(
つか
)
れついでだ。今日
中
(
ぢゆう
)
に
捜
(
さが
)
してしまつて、それからゆつくり落ちつかうぢやないか。」
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
この
中
(
ぢゆう
)
申し上げた
滋賀津彦
(
しがつひこ
)
は、やはり隼別でも御座りました。天若日子でも御座りました。
天
(
てん
)
の
日
(
ひ
)
に矢を射かける——併し極みなく美しいお人で御座りましたがよ。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「さうよ。そんな仕事に驚くやうぢや、手前たちはまだ甘えものだ。かう、よく聞けよ。ついこの
中
(
ぢゆう
)
も小仏峠で、
金飛脚
(
かねびきやく
)
が二人殺されたのは、誰の仕業だと思やがる。」
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこら
中
(
ぢゆう
)
夜具箪笥風呂敷包の投出されてゐる
間々
(
あひだ/\
)
に、砂ほこりを浴びた男や女や子供が寄りあつまり、中には怪我人の介抱をしたり、または平気で物を食べてゐるものもある。
にぎり飯
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
脊中
(
せなか
)
へ
荷
(
に
)
を
一杯
(
いつぱい
)
負
(
しよ
)
つて、
二十日
(
はつか
)
なり
三十日
(
さんじふにち
)
なり、
其所
(
そこ
)
等
(
ら
)
中
(
ぢゆう
)
回
(
まは
)
つて
歩
(
ある
)
いて、
略
(
ほゞ
)
賣
(
う
)
り
盡
(
つく
)
してしまふと
山
(
やま
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
て
坐禪
(
ざぜん
)
をする。それから
少時
(
しばらく
)
して
食
(
く
)
ふものがなくなると、
又
(
また
)
筆墨
(
ふですみ
)
を
脊
(
せ
)
に
載
(
の
)
せて
行商
(
ぎやうしやう
)
に
出
(
で
)
る。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこいら
中
(
ぢゆう
)
ギラギラしてたまんねえ。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夫人は庭から
紅
(
べに
)
と薄黄との
薔薇
(
ばら
)
を摘んで来て「二三日前の風と雨で花が皆
傷
(
いた
)
んで
仕舞
(
しま
)
ひました。
之
(
これ
)
でも庭
中
(
ぢゆう
)
での一番立派な花を切つた
積
(
つもり
)
ですが
斯
(
こ
)
んなに
見所
(
みどころ
)
がありません」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「いつか
中
(
ぢゆう
)
から一度言はう/\と思つてゐたが、君の
身装
(
みなり
)
は余りぢやないかね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私はふと、私のぼんやりしたその
空虚
(
くうきよ
)
な心のなかから、
急
(
きふ
)
に、かうしてゐてもはじまらない、今日
中
(
ぢゆう
)
に家を
見
(
み
)
つけなければ、と思ふあわたゞしい
気持
(
きも
)
ちが、
泡
(
あわ
)
のやうにぽつかりと浮き上つて来た。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
この
中
(
ぢゆう
)
の
市街
(
まち
)
の景気のいゝのもみんな自分の
故
(
せゐ
)
のやうに思はれて、通りがかりの市会議員も博多織の織元も、狗も、電信柱も、一緒に腰を
屈
(
かゞ
)
めて自分の前にお辞儀をして居るやうに思はれ出した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“中”の意味
《名詞》
【なか】 物の内側。
【チュウ】 大きいとも小さいとも言えない状態。
【チュウ】 成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
【チュウ】 大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
(出典:Wiktionary)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“中”を含む語句
家中
中央
夜中
女中
連中
日中
中心
懐中
中間
室中
山中
中風
市中
心中
最中
掌中
中止
途中
真中
中旬
...