“三筋(みすぢ)” の例文
二筋(ふたすぢ)三筋(みすぢ)、後毛(をくれげ)のふりかゝる顔(かほ)を上(あ)げて、青年(わかもの)の顔(かほ)を凝(じつ)と視(なが)めて、睫毛(まつげ)の蔭(かげ)に花(はな)の雫(しづく)、衝(つ)と光(ひか)つて、はら/\と玉(たま)の涙(なみだ)を落(おと)す。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「おゝ痛(いて)えまあ」と顏(かほ)を蹙(しか)めて引(ひ)かれる儘(まゝ)に首(くび)を傾(かたぶ)けていつた。亂(みだ)れた髮(かみ)の三筋(みすぢ)四筋(よすぢ)が手拭(てぬぐひ)と共(とも)に強(つよ)く引(ひ)かれたのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
左の手に蝋燭(ろふそく)を持つて兄の背後(うしろ)に廻(まは)つたが、三筋(みすぢ)の麻縄(あさなは)で後手に縛(しば)つて柱(はしら)に括(くヽ)り附けた手首(てくび)は血が滲(にじ)んで居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
其葉(は)には、放肆(ほうし)な白(しろ)い縞(しま)が、三筋(みすぢ)か四筋(よすぢ)、長(なが)く乱(みだ)れてゐた。代助が見るたびに、擬宝珠(ぎぼしゆ)の葉(は)は延(の)びて行く様に思はれた。さうして、それと共に白(しろ)い縞(しま)も、自由に拘束なく、延(の)びる様な気がした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三筋(みすぢ)ある岐(わか)れ路(みち)の中程(なかほど)なりき。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
曙(あけぼの)は知(し)らず、黄昏(たそがれ)に此(こ)の森(もり)の中(なか)辿(たど)ることありしが、幹(みき)に葉(は)に茜(あかね)さす夕日(ゆふひ)三筋(みすぢ)四筋(よすぢ)、梢(こずゑ)には羅(うすもの)の靄(もや)を籠(こ)めて、茄子畑(なすばたけ)の根(ね)は暗(くら)く、其(そ)の花(はな)も小(ちひ)さき實(み)となりつ。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこで女中(ぢよちう)をして近所(きんじよ)で燒芋(やきいも)を買(か)はせ、堆(うづたか)く盆(ぼん)に載(の)せて、傍(かたはら)へあの名筆(めいひつ)を以(もつ)て、曰(いは)く「御浮氣(おんうはき)どめ」プンと香(にほ)つて、三筋(みすぢ)ばかり蒸氣(けむ)の立(た)つ處(ところ)を、あちら樣(さま)から、おつかひもの、と持(も)つて出(で)た。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)