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まへさま
其昔し
大部屋あるきのお
人成しを一
念ばかりにて
彼の
御出世、
馬車に
乘つてのお
姿は
何のやうの
髭武者だとて
立派らしう
見えるでは
御座んせぬか、お
前樣も
男なりや
『
猫は
可厭!』と
鋭い
激した
聲で
鼠が
云ひました。『
若しお
前樣が
私だつたら
猫を
好くの?』
とお
前様お
聞かせ
申す
話は、これからぢやが、
最初に
申す
通り
路がいかにも
悪い、
宛然人が
通ひさうでない
上に、
恐いのは、
蛇で。
かしく
解けではあられぬ
春の
氷イヤ
僕こそが
結局なり
妹といふもの
味しらねどあらば
斯くまで
愛らしきか
笑顔ゆたかに
袖ひかへて
良さん
昨夕は
嬉しき
夢を
見たりお
前様が
学校を
谷川から
上つて
来さしつた
時、
手足も
顔も
人ぢやから、おらあ
魂消た
位、お
前様それでも
感心に
志が
堅固ぢやから
助かつたやうなものよ。
呼びたりとか
病の
元はお
前様と
云はるゝも
道理なり
知らざりし
我恨めしくもらさぬ
君も
恨めしく
今朝見舞ひしとき
痩せてゆるびし
指輪ぬき
取りてこれ
形見とも
見給はゞ
嬉しとて
心細げに
打ち
笑みたる
其心今少し
早く
知らば
斯くまでには
衰へさせじを