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前様
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まへさま
とお
前様お
聞かせ
申す
話は、これからぢやが、
最初に
申す
通り
路がいかにも
悪い、
宛然人が
通ひさうでない
上に、
恐いのは、
蛇で。
かしく
解けではあられぬ
春の
氷イヤ
僕こそが
結局なり
妹といふもの
味しらねどあらば
斯くまで
愛らしきか
笑顔ゆたかに
袖ひかへて
良さん
昨夕は
嬉しき
夢を
見たりお
前様が
学校を
谷川から
上つて
来さしつた
時、
手足も
顔も
人ぢやから、おらあ
魂消た
位、お
前様それでも
感心に
志が
堅固ぢやから
助かつたやうなものよ。
呼びたりとか
病の
元はお
前様と
云はるゝも
道理なり
知らざりし
我恨めしくもらさぬ
君も
恨めしく
今朝見舞ひしとき
痩せてゆるびし
指輪ぬき
取りてこれ
形見とも
見給はゞ
嬉しとて
心細げに
打ち
笑みたる
其心今少し
早く
知らば
斯くまでには
衰へさせじを
(
嬢様勘違ひさつしやるな、これはお
前様ではないぞ、
何でもはじめから
其処な
御坊様に
目をつけたつけよ、
畜生俗縁があるだツぺいわさ。)
ありし
雛遊びの
心あらたまらず
改まりし
姿かたち
気にとめんとせねばとまりもせで
良さん
千代ちやんと
他愛もなき
談笑に
果ては
引き
出す
喧嘩の
糸口最早来玉ふな
何しに
来んお
前様こそのいひじらけに
見合さぬ
顔も
僅か
二日目昨日は
私が
悪るかりし
此後は