“おつかぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
蔽被28.6%
覆被28.6%
押被14.3%
押覆7.1%
蔽覆7.1%
被蔽7.1%
負被7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青白い顔をした女が可厭いやあな眼付をして、真白な猫を抱いてゐたらう? 卓子ていぶるの上にはひろげた手紙があつて、女の頭へ蔽被おつかぶさる様に鉢植の匂ひあらせいとうが咲いてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
二階の八畳間に、火鉢がたつた一個ひとつ幾何いくら炭をつぎして、青い焔の舌を断間しきりなく吐く程火をおこしても、寒さがそびらから覆被おつかぶさる様で、襟元は絶えず氷の様な手で撫でられる様な気持がした。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
もんまでわづか三四けん左手ゆんでほこらまへ一坪ひとつぼばかり花壇くわだんにして、松葉牡丹まつばぼたん鬼百合おにゆり夏菊なつぎくなど雜植まぜうゑしげつたなかに、向日葵ひまはりはなたかはすごと押被おつかぶさつて、何時いつにかほしかくれた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのまゝ押開おしあけると、ふすまいたがなんとなくたてつけに粘氣ねばりけがあるやうにおもつた。此處こゝではかぜすゞしからうと、それたのみうしてつぎたのだが矢張やつぱり蒸暑むしあつい、押覆おつかぶさつたやうで呼吸苦いきぐるしい。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たかく、あしんで、ぬまきしはなれると、足代あじろ突立つゝたつて見送みおくつた坊主ばうずかげは、背後うしろから蔽覆おつかぶさるごとく、おほひなるかたちつてえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
祖父ぢい樣は被蔽おつかぶせて、「それなら、もう止せ、止せ! 幾ら捕へて來たツて、螢といふ奴は、露を吸ツてきてゐる蟲だから、あすの朝日が出ると、みんな消えてしまうのだ。」
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
久兵衛がかこひ置し女なれば此二人の者出なば如何に強惡がうあくなる久兵衞にても最早もはやちんずる事能うまじと思はれたり然れ共久兵衛は兎角とかくおのれいのちはなき者と思ひしゆゑ百兩の一件は是非々々文右衛門に負被おつかぶとも抱込だきこんで殺す了簡れうけんなりる程に藤助並びに妹お民の二人は家主六兵衛差添にて罷りいで白洲へ平伏なすにぞ久兵衛是は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)