麁朶そだ)” の例文
又「打ったで済むか、ことに面部の此のきず縫うた処がほころびたら何うもならん、亭主の横面を麁朶そだで打つてえ事が有るか、ふてえ奴じゃアおのれ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれしばら自失じしつしたやうにして麁朶そだ周圍しうゐやみしつけられようとしてわづかいきほひをたもつたときかれはすつとあがつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
第一この塔婆だって、束にして、麁朶そだ枯葉かれっぱと一所に、位牌堂うらの壁際に突込んであったなかから、(信女)をあてに引抜いて来たッてね、下足の若いしゅが言っていました。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
釣魚の場、投網の場もまた多くはこれら砂洲の上にあり。海苔を収むるがために「ひゞ」と称して麁朶そだを海中に柵立するところも、またこの砂洲の上もしくはその附近の地なり。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
差出さしいだせばお三婆は圍爐裡ゐろりはたに火をたきたりしが是をきいて大きに悦びよくも/\此大雪をいとは深切しんせつにも持來り給へりと麁朶そだをりくべて寶澤をも爐端ろばたへ坐らせ元よりすきの酒なればすぐかん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじ時々とき/″\んだ麁朶そだ理由わけもなくつてることをつて不快ふくわいかんいどいてはこつそりとつぶやきつゝおつぎにあたるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それその麁朶そだべてな、ぱッ/\ともやしな……さア召上りまし、此方こっちが柔かなのでございますから、さア御比丘様
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれほとんどうごかぬやうにしててゝけばすつとふかしづんでしまつたやうにめてへぽちり/\と麁朶そだしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
新「なに、此畜生め、オイ頭のはげてるとこつと、手が粘って変な心持がするから、棒か何かえか、其処そこ麁朶そだがあらア、其の麁朶を取ってくんな」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆ア比丘尼じゃアから厭で/\ならん、お前がうんと云うてくれゝば、惠梅に別れて、私は此処こゝの家へ這入って働き男になり、うしうまいたり、山で麁朶そだをこなし
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
折角の思召おぼしめしですから戴いて置きましょう、日が暮れると雨の降る時は寒うございます、じきに本郷山が側ですから山冷やまびえがしますから、もっと其の麁朶そだをおべなさいまし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんと心得違いしたか富五郎、無闇にお隅の手を取ってひげだらけの顔を押付ける処へ、母が帰って来て、此のていを見て驚きましたから、そばにある麁朶そだを取って突然いきなりポンとった。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
米エ積んだり麁朶そだア積んだりして大概たえげえ信州から草津沢渡さわたりあたりを引廻して、四万の方へいて行くだが、その牛がけえって来る、牛を見ると馬てえものは馬鹿に怖がるで、崖へ駈込んだりしやす
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)