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飯事
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ままごと
ふりがな文庫
“
飯事
(
ままごと
)” の例文
好者
(
すきもの
)
となってみると、お
雛様
(
ひなさま
)
の
飯事
(
ままごと
)
のようなことばっかりしていたんでは納まらない、そういう図々しいことをしてみたがるんです。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
葉は厚く光っており、夏の末に咲く花は
五味子
(
ごみし
)
のようで、熟した実は赤黒くて、形は
蒸菓子
(
むしがし
)
の
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
そっくりです。
飯事
(
ままごと
)
に遣います。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
飯事
(
ままごと
)
のように暮している新夫婦か、まだ夢のような恋をたのしんでいる情人同士のようであった。貞奴の声は柔かくあまく響いていた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
生命
(
いのち
)
を
軽
(
かろ
)
んずること
鴻毛
(
こうもう
)
のごとく、約を重んずること
鼎
(
かなえ
)
に似たり。とむずかしくいえばいうものの、何の事はがあせん、人殺しの
飯事
(
ままごと
)
だ。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
豹一とお駒の散歩は、赤井に言わせると、
飯事
(
ままごと
)
に過ぎなかった。つまり
豹一
(
あいつ
)
は臆病なのだと、簡単に赤井は判断を下した。
青春の逆説
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
わあッ、わあッと云う声を挙げて、廊下から食堂へ、食堂から応接間へと駈け込んで来たので、ローゼマリーと
飯事
(
ままごと
)
をしていた悦子がびっくりして
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は、国に居る時分は、お向うのお
芳
(
よっ
)
ちゃん——子供の時分に
能
(
よ
)
く
飯事
(
ままごと
)
をして遊んだ、あのお
芳
(
よっ
)
ちゃんが好きだった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
大きくなったら一緒にって、
田圃
(
たんぼ
)
の
積藁
(
つみわら
)
の蔭で、
飯事
(
ままごと
)
をしながら約束したこともあるが、大きくなると、お松の
阿魔
(
あま
)
、俺の見っともないのを嫌って逃げ出しやがった
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「日本が
興
(
おこ
)
るか
亡
(
ほろ
)
ぶかという非常時に、お
飯事
(
ままごと
)
みたいな
同棲生活
(
どうせいせいかつ
)
に、酔っている場合じゃないと、ね」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は玄関の前に
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて子供たちと
飯事
(
ままごと
)
をして遊んだ。一生のうち此様な幸福な事はないと思った。夕刊小説は出来がよくなかったが、色々な人が金を貰いに来た。
落合町山川記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
この夫唱婦和という子供の
飯事
(
ままごと
)
みたいな
手緩
(
てぬる
)
い生気のない家庭は作れまいかと存じます。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
台所で子供の
飯事
(
ままごと
)
のような真似をさせているだけなので、お玉は次第に話相手のない退屈を感じて、夕方になれば、早く檀那が来てくれれば
好
(
い
)
いと待つ心になって、それに気が附いて
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
三時の
茶菓子
(
おやつ
)
に、
安藤坂
(
あんどうざか
)
の
紅谷
(
べにや
)
の
最中
(
もなか
)
を食べてから、母上を相手に、
飯事
(
ままごと
)
の遊びをするかせぬ
中
(
うち
)
、障子に映る
黄
(
きいろ
)
い夕陽の影の見る見る消えて、
西風
(
にしかぜ
)
の音、樹木に響き、座敷の
床間
(
とこのま
)
の黒い壁が
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのころ習い初めた琴を
弾
(
ひ
)
くことさえ止められて、一人で人形を
抱
(
かか
)
えては、遊び相手を欲しがって常は
疳癪
(
かんしゃく
)
を恐れて避けている弟をもお祖母様の
傍
(
そば
)
に呼んで
飯事
(
ままごと
)
の
旦那
(
だんな
)
様にするのであったが
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
冷たい感触の漂う奥の仏室で、まだ五つになるかならずの彼女は姉の綾子(双児ではあったがお光は妹分にされていた、それは一生そうであった)と二人で紅椿の花で
飯事
(
ままごと
)
をして遊んでいた。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
稀に遊びに来ては
甘藷
(
いも
)
を洗ったり、
外竈
(
そとへっつい
)
を
焚
(
た
)
いて見たり、実地の
飯事
(
ままごと
)
を面白がったが、然し東京の
玄関
(
げんかん
)
から下駄ばきで尻からげ、やっとこさに荷物
脊負
(
せお
)
うて立出る田舎の叔父の姿を見送っては
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
これらの文豪に比べて遥に天分薄い日本の文人亜流——自分もその一人として——の文学三昧は小児の
飯事
(
ままごと
)
同様の遊戯であって、人生のための文学などとは片腹痛い心地がして堪えられなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
菊
(
きい
)
ちゃんは
飯事
(
ままごと
)
をしようといい出した。けれども乃公は
最早
(
もう
)
愛想が尽きたから、
可厭
(
いや
)
だといって断った。断っても聞分けがないから仕方がない。乃公が旦那様になって、菊ちゃんが奥さんになった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
小さい
飯事
(
ままごと
)
道具を一そろいそれも人形のわきに納められた。
悲しめる心
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
飯事
(
ままごと
)
のような結婚式を挙げました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
ステラ それぢや、
飯事
(
ままごと
)
ね……
チロルの秋(一幕)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
飯事
(
ままごと
)
に唖の子つくねんとして
立
(
たち
)
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
朝夕の涼しい時刻には庭の
青桐
(
あおぎり
)
や
栴檀
(
せんだん
)
の樹のあたりで、電車ごっこや木登りをして遊ぶのであるが、日中は家の中で、少女たちばかりの時は
飯事
(
ままごと
)
をし
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どんな御身分の方が、お慰みに、お
飯事
(
ままごと
)
をなさるんでも、それでは御不自由、これを持って行って差上げな、とそう言いましてね。(言いつつ、
古手拭
(
ふるてぬぐい
)
を
解
(
ほど
)
く)
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
光
(
みっ
)
ちゃんは
外歯
(
そっぱ
)
のお
出額
(
でこ
)
で河童のような
児
(
こ
)
だったけれど、お
芳
(
よっ
)
ちゃんは色白の鈴を張ったような眼で、
好児
(
いいこ
)
だった。私は
飯事
(
ままごと
)
でお
芳
(
よっ
)
ちゃんの旦那様になるのが大好だった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
怨んでいるとすれば、お関
母子
(
おやこ
)
でございましょう。あの幾松という男は子供のとき
飯事
(
ままごと
)
みたいな話でしょうが、夫婦約束までしたそうで、長いあいだお由良をつけ廻していましたよ。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
妬心
(
としん
)
の間の
諒解
(
りょうかい
)
と、愛の分割と集中とを自由に許される気持のうちに、夢のような、
飯事
(
ままごと
)
のような、また何ともいえない甘苦しい陶酔のうちに、それでも無事に日は進行して行きましたが
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私一人だけが若い娘たちの面前で、
飯事
(
ままごと
)
のようにお櫃を前にして赧くなっているのだ。クスクスという笑い声もきこえた。Kはさすがに笑いはしなかったが、うちいややわと顔をしかめている。
大阪発見
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それでなくて愛国をいうのは
畢竟
(
ひっきょう
)
大人の女の
飯事
(
ままごと
)
ではないか。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「エライことッて、若い女のひとと
飯事
(
ままごと
)
をすることなの」
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
子供が
戦争
(
いくさ
)
ごッこをやッたり、
飯事
(
ままごと
)
をやる、丁度そう云った心持だ。そりゃ私の技倆が不足な
故
(
せい
)
もあろうが、併しどんなに技倆が優れていたからって、
真実
(
ほんと
)
の事は書ける筈がないよ。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と、或る時貞之助は、悦子がお花と
飯事
(
ままごと
)
遊びをするのに、注射の針の使いふるしたのを持って来て、
芯
(
しん
)
が
藁
(
わら
)
で出来ている西洋人形の腕に注射しているのを、ふっと見かけたことがあった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
飯事
(
ままごと
)
をして遊んでいるのがありました。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
悦子がさっきからローゼマリーと二人で
蹲踞
(
うずく
)
まりながら、
飯事
(
ままごと
)
をしていた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“飯事(ままごと)”の解説
ままごと(飯事)とは、幼児の遊びの一種。おままごとともいう。分類上はごっこ遊びの一種と考えられており、身の回り人間によって営まれる家庭を模した遊びである。参加する人を、お父さん、お母さん、赤ちゃん、ペットなど家族に見立てた役を振り分ける。そして、家の炊事・食事・洗濯・買物・接客等を模倣する。
(出典:Wikipedia)
飯
常用漢字
小4
部首:⾷
12画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“飯事”で始まる語句
飯事遊
飯事世帯
飯事道具