ねがわ)” の例文
ねがわくはわが求むる所を得んことを……願くは神われをほろぼすをしとし御手みてを伸べて我を絶ち給わんことを」と彼はひたすらに死をねがう。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
あれは始末にかないものだ。ねがわくばもう少し遠慮をしてもらいたい。遠慮をしなければ事実は決して挙げさせない事にしたらよかろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ねがわくは何か峻烈しゅんれつなる刺激を与え、鞭撻べんたつ激励して彼等を努力せしめたならば、日本の生産力もまた必ず多大の増加を見る事は疑いをれまい。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
失主狗はなれいぬにて思ふに任せねど、心ばかりの薬礼なり。ねがわくは納め給へ」ト、彼の豆滓を差しいだせば。朱目も喜びてこれを納め。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
ねがわくはだ、きみ、どうぞ一つ充分じゅうぶんかれしんじて、療治りょうじせん一にしていただきたい。かれわたしにきっときみ引受ひきうけるとっていたよ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
折角の巨人、いたずらに、だだあ、がんまの娘をねろうて、鼻の下の長きことその脚のごとくならんとす。早地峰はやちねの高仙人、ねがわくはの葉のこんを緊一番せよ。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ねがわくば君が説に賛成するあらば、共にちてこれを図り、併せてわが民族の救援につき討論せんことを請う。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
惟皇これこうたる上帝じょうてい、宇宙の神聖、この宝香ほうこうを聞いて、ねがわくは降臨を賜え。——猶予ゆうよ未だ決せず、疑う所は神霊にただす。請う、皇愍こうびんを垂れて、すみやかに吉凶を示し給え。」
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ねがわくは国立公園になって、貯水池問題が首尾よく解消しても、有るが儘の姿で保護したいものである。
尾瀬の昔と今 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
吾々はとこしえに批評者を得ることあたわざるか、貴兄の意ねがわくは聞くことを得ん、妄言多罪
師を失いたる吾々 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ねがわくば新しい思想を尊び新しい活動を実現しようとする進歩主義の人人の驥尾きびに従い、胸の鼓動をそれらの人人の調子と一つにそろえて意義ある自分の生活を続けたいと思っている。
婦人と思想 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
ただただ以上述ぶる所の場合に、終始一行の骨折ほねおり心配は、如何ばかりなりしぞ、実に予が禿筆とくひつの書き尽し得べき所に非ず、ねがわくは有志の士は自ら寒中登岳してその労を察せられんことを。
士「宜しい、朝来ては困るからねがわくは夕景から来れば他へ出ずに待っているよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ねがわくは此方こちらの為めに断然公平を破って貰いたい。
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そしてここに十七章三節において「ねがわくはものしろを賜うてなんじみずから我の保証うけあいとなり給え、誰かほかにわが手をつ者あらんや」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「おれは、もっと、駛りたい。どうも、さっきの岩の腹を突いて曲がった時なんか実に愉快だった。ねがわくは船頭のさおを借りて、おれが、舟を廻したかった」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
関口からそれて飛ぶほたるを追ざまに垣根に忍んで、おれを吸ったやぶッ蚊が、あなたの蚊帳かやへとまった、と二の腕へ赤い毛糸を今でも結えているこの若い衆、ねがわくはそのおかえりを
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山「いえ金子は入りません、ねがわくはお乗替のりかえの馬を一頭頂戴致したい」
そして「汝らは皆無用の医師くすしなり、ねがわくは汝ら全く黙せよ、しかするは汝らの智慧ちえなるべし」とあざける。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
不愉快でないとおっしゃればそれまでです、またそんな不愉快は通りしているとおっしゃれば、それも結構であります。ねがわくは通り越してありたいと私はいのるのであります。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ねがわくはこの義務の束縛をまぬかれて早く自由になりたい、人からいられてやむをえずする仕事はできるだけ分量を圧搾あっさくして手軽に済ましたいという根性が常に胸のうちにつけまとっている。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ああ神よ余は教会をさってもなんじを去る能わざるなり、教会に捨てらるる不幸は不幸なるべけれども爾に捨てられざれば足れり、ねがわくは教会に捨てられしの故を以て余をして爾を離れざらしめよ。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)