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非道
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ふりがな文庫
“
非道
(
ひど
)” の例文
うっかり素人下宿に泊って
非道
(
ひど
)
い眼に会った学生、又はうっかり腰弁さんを下宿さして散々な眼に会った未亡人なぞがいくらもある。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
「なってもいゝけれど、此の間見たいに
非道
(
ひど
)
い乱暴をしっこなしですよ。坊ちゃんは縄で縛ったり、鼻糞をくッつけたりするんだもの」
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何
(
いづ
)
れにしても同氏が現文壇の批評家として名のある人である事と、且つ
非道
(
ひど
)
い誤譯をする人だといふ以外には殆ど何も知る處が無かつた。
貝殻追放:012 向不見の強味
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
一度
籤
(
くじ
)
を引き
損
(
そく
)
なったが最後、もう浮ぶ瀬はないという
非道
(
ひど
)
い目に会うからではなくって、どっちに転んでも大した影響が起らないため
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
老人は近代戦争の兵器と人間との全面的衝突の恐るべき事を説いて「戦争に軍略と云うものがなくなった」と云う事を
非道
(
ひど
)
く慨歎して居た。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「処が男の眼にはどこかいいところがあるんでしょう。この女には随分悩まされて
非道
(
ひど
)
いめにあった人が沢山あるんですよ」
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
『何うして黙っている? お前は
非道
(
ひど
)
い奴だ。俺を一体何と思っている? 殺して了うぞ。』と、恐ろしい権幕で言うから
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
やい、しっかりしろ。と励ませば、八蔵はようように、
脾腹
(
ひばら
)
を抱えて起上り、「あ
痛
(
いつ
)
、あ痛。……おお痛え、痛え、畜生
非道
(
ひど
)
いことをしやあがる。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『嫌悪感——というもんは
非道
(
ひど
)
いもんだな、鱗粉が触っただけで、皮膚が
潰瘍
(
かいよう
)
する
許
(
ばかり
)
か、心臓麻痺まで起すんですね』
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
するとお父さんが
突然
(
いきなり
)
上って来て、乃公の首筋を捉えて、蔵へ連れて行って表から鍵をかけてしまった。音なしく勉強しているものを、
非道
(
ひど
)
い事をする。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
友達が連れて帰ってくれたのだったが、その友達の話によると随分
非道
(
ひど
)
かったということで、自分はその時の母の気持を思って見るたびいつも
黯然
(
あんぜん
)
となった。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「
私
(
わたくし
)
は知りませんが隣り屋敷の家来が塀へ
上
(
のぼ
)
って見たら
彼
(
あ
)
の男だと云う話ですが、
非道
(
ひど
)
い奴ですなア」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの方の目を別段変つた目だとは、これ迄思つたことはございませんでしたが、今日に限つて何だか
非道
(
ひど
)
く光つて恐ろしい目のやうに存ぜられましたのでございます。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
貴方
(
あなた
)
はもう忘れておしまいなされたか。貴方はわたしを
非道
(
ひど
)
い目にお
逢
(
あわ
)
せなさいました。ほんにほんに非道いめに。だが、世の中の事は何でも苦痛に終らぬ事は無い。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
そうしたら、電車に別れて、あの辺特有の、今ならば霜解けの
非道
(
ひど
)
い、
鋪装
(
ペイヴ
)
してない歩道
傍
(
わき
)
の土を踏まなければなりません。ベニイの家は、その近くから始まっています。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
美伃 お父さん! お父さん! それは
非道
(
ひど
)
いわ。あんまりだわ。妾の母さんは……。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「
憎
(
にく
)
い奴、
非道
(
ひど
)
い奴!——こんなむごたらしい殺し方をしたのは、何処の何者だッ」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし
締
(
しまり
)
はよさそうゆえ、絵草紙屋の前に立っても、パックリ
開
(
あ
)
くなどという
気遣
(
きづか
)
いは有るまいが、とにかく顋が
尖
(
とが
)
って頬骨が
露
(
あらわ
)
れ、
非道
(
ひど
)
く
癯
(
やつ
)
れている
故
(
せい
)
か顔の造作がとげとげしていて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何んでも書物を
蠹害
(
とがい
)
するという事をシミが一手に引受けているのは可愛想だと私は
聊
(
いいささ
)
かシミに同情している。ただもうシミ一つを目の敵のように言うのはチト
非道
(
ひど
)
過ぎはしないかと思う。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
彼は益々
強慾
(
がうよく
)
になり貸金の回収手段の
非道
(
ひど
)
さは随分泣かされてゐる人間も多く、家作も次々に建てたが、最近手を出した製氷所が失敗して、
癲癇
(
てんかん
)
になつたのも積悪の報だらう、と云ふ噂を聞いた。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
私はむつとして「なんといふ、
非道
(
ひど
)
いこと。いくら子供だつて」
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ものの三十分も待たされて、どうも
非道
(
ひど
)
い目に会った。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
忠太郎 そ、そりゃ
非道
(
ひど
)
いやおッかさん。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「あの曲馬団長のバード・ストーンは私の両親を苛め殺したのです。直接に手を当てて殺す以上に
非道
(
ひど
)
い眼に会わして殺したのです」
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そうして長居をすればするほど、だんだん
非道
(
ひど
)
く冷かされそうなので、心の内では、この一段落がついたら、早く切り上げて帰ろうと思った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
君は、僕のおかげで、飛んだ
非道
(
ひど
)
いめに会ったんだ。僕は今日終日、悠然と眠らせておいて上げようと思ってたんだが。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
先づ、どうして學校をやめる氣になつたのかと口を切つて、いろいろ話をしてゐるうちに、相手は
非道
(
ひど
)
く眞劍になつて、此の頃の心の惱みを物語つた。
貝殻追放:016 女人崇拝
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
(春先からの徴候が
非道
(
ひど
)
くなり、自分はこの頃病的に不活溌な気持を持てあましていたのだった。)
路上
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
ただ「御縁無之」とばかりで何の理由も示さないのは、人を遠くから呼びつけて置きながら
非道
(
ひど
)
いと云うことは別にしても、菅野家へ対して失礼ではないであろうか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
素早く僕は宛名に眼を通し出したが、急いでるのと、何しろどれもこれも
非道
(
ひど
)
い悪筆のうえに、おまけに
得態
(
えたい
)
の知れない外国語がおもなので、名前だけでも容易に読めない。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
この手紙を読み終って、あたしは
悲歎
(
ひたん
)
に暮れた。なんという
非道
(
ひど
)
いことをする悪漢だろう。銀行の金を盗み、番人を殺した上に、松永の美しい顔面を
惨
(
むご
)
たらしく破壊して逃げるとは!
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うむ、そうさ。だが処もあろうのにここは
非道
(
ひど
)
いや、もうおいら達あ、姉御が世話を
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「他に細君があった! それはまた
非道
(
ひど
)
い処へ行ったものだねえ。欺されたの?」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
菊
(
きい
)
ちゃんのお蔭で空気銃は買えなくなる。遠眼鏡は
破約
(
ふい
)
になる。背中は未だぴりぴりする。真正に
非道
(
ひど
)
い目にあった。それで忠公は少しも叱られやしない。何処までも運の
好
(
い
)
い野郎だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それに今日に限つて、いま妻が
鵇色
(
ときいろ
)
の長襦袢を脱いで、
余所
(
よそ
)
行の白
縮緬
(
ちりめん
)
の腰巻を取るなと想像する。そして細君の白い肌を想像する。
此
(
この
)
想像が
非道
(
ひど
)
く不愉快であるので、
一寸
(
ちよつと
)
顔を
蹙
(
しか
)
める。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それだのに、今出て行って貰うなんて
非道
(
ひど
)
いわ。そんなこと出来ないわ。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「あらあらあんな
虚言
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
いて……
非道
(
ひど
)
い人だこと!……」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「アッ。君はあの時の孝行娘さんかえ。これあ驚いた。そういえばどこやらに面影が残っている。
非道
(
ひど
)
いお婆さんになったもんだね」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ただ無言のうちに
愛想
(
あいそう
)
を尽かした。そうして親身の兄や姉に対して愛想を尽かす事が、彼らに取って一番
非道
(
ひど
)
い刑罰に違なかろうと判断した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あんな
非道
(
ひど
)
い恐しい目に会ったのも、巡査やホテルの人達の前で赤恥を掻いたのも、皆貴方の無責任から来たことです。
耳香水
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
それも、約束どおり働かなかったり、或いは逆に、蒸気が上り過ぎて室内が温室のようになったりして、とかく、この
瑞西
(
スイツル
)
のホテルのステイムには
非道
(
ひど
)
い目に会うことが多い。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
不意を
啖
(
くら
)
って
眼
(
まなこ
)
眩
(
くら
)
み「
痛
(
いてえ
)
。」と傷を
圧
(
おさ
)
えしが、血を
視
(
み
)
て、「えッ
非道
(
ひど
)
いことを。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫の方は一層疲れかた
非道
(
ひど
)
うて、事務所い行たかて頭役に立てしませんさかい、自分は休みたいのんですが、あんまり休むと「姉ちゃんの傍にばっかりいてたがる」いわれますよって
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
気がついてみると、それはいつも自分がMの停留所へ歩いてゆく道へつながって行くところなのであった。小心翼々と言ったようなその瞬間までの自分の歩き振りが
非道
(
ひど
)
く滑稽に思えた。
路上
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
それだのに、今出て行って貰うなんて
非道
(
ひど
)
いわ。そんなこと出来ないわ。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
乃公の家へ来て
非道
(
ひど
)
い目に遇い続けだ。気絶をさせられたり、杖を折られたり、帽子を忠公に持って行かれたり、どうも散々な事ばかりだ。それでも
性
(
しょう
)
も
懲
(
こり
)
もなくやって来る。
真正
(
ほんとう
)
に無神経な男だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
僕はそれまで
蕎麦
(
そば
)
屋や牛肉屋には行ったことがあるが、お父様に連れられて、飯を食いに王子の扇屋に這入った外、御料理という看板の掛かっている家へ這入ったことがないのだから、
非道
(
ひど
)
く驚いた。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
けれども其の人間も随分
非道
(
ひど
)
いねえ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「
呀
(
あ
)
ッ、こりゃ
非道
(
ひど
)
い!」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「これは
非道
(
ひど
)
い。」
貝殻追放:012 向不見の強味
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
非
常用漢字
小5
部首:⾮
8画
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
“非道”で始まる語句
非道工面