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雜木
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ざふき
櫟や
楢や
雜木や
凡てが
節制を
失つて
悉く
裏葉も
肌膚も
隱す
隙がなくざあつと
吹かれて
只騷いだ。
夜は
寂しさに
凡ての
梢が
相耳語きつゝ
餘計に
騷いだ。
月影は、
夕顏のをかしく
縋れる
四ツ
目垣一重隔てたる
裏山の
雜木の
中よりさして、
浴衣の
袖に
照添ふも
風情なり。
其場所が
全たく
僕の
氣に
入つたのである、
後背の
崕からは
雜木が
枝を
重ね
葉を
重ねて
被ひかゝり、
前は
可り
廣い
澱が
靜に
渦を
卷て
流れて
居る。
足場はわざ/\
作つた
樣に
思はれる
程、
具合が
可い。
日おもては
雜木にこもる霜の
氣の照りあたたかし春めきしかも
村落は
臺地に
在るのでお
品の
家の
後は
直に
斜に
田圃へずり
落ち
相な
林である。
楢や
雜木の
間に
短い
竹が
交つて
居る。
日にけに
雜木の
萌のかがやけば身はかいだるし胚芽米食ふ
夫と
共に
林の
雜木はまだ
持前の
騷ぎを
止めないで、
路傍の
梢がずつと
繞つてお
品の
上からそれを
覗かうとすると、
後からも/\
林の
梢が一
齊に
首を
出す。
霜と言へば
雜木の竝木
染みつくす田川の岸も目に
緊るなり