トップ
>
鍾愛
>
しょうあい
ふりがな文庫
“
鍾愛
(
しょうあい
)” の例文
ところが、その後、同じお腹に生れた第二の皇子を
鍾愛
(
しょうあい
)
のあまり、いわれもなく、後深草を十七歳で退位させ、第二皇子十一歳を立てて
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男
(
なん
)
を
坪太郎
(
つぼたろう
)
と名づけ、
鍾愛
(
しょうあい
)
此上無かりしが、此
男子
(
なんし
)
、生得
商売
(
あきない
)
の道を好まず、
稚
(
いとけな
)
き時より宇治
黄檗
(
おうばく
)
の道人、
隠元
(
いんげん
)
禅師に参じて学才人に超えたり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二人がはいってきた時テナルディエの上さんは、
鍾愛
(
しょうあい
)
の情に満ちたわざと小言を言うような調子で言った、「ああお前たちもここに来たのかえ!」
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
尤も一と頃
倫敦
(
ロンドン
)
の社交夫人間にカメレオンを
鍾愛
(
しょうあい
)
する流行があったというが、カメレオンの
名代
(
みょうだい
)
ならYにも勤まる。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
子供たちを勝手に生成するままに放任しておいて、ただ彼らが善良でありことに幸福でさえあればいいとしていた。子供たちを
鍾愛
(
しょうあい
)
していたのである。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
ショパンは姉二人の次に生まれた唯一の男の子として、全家族の
鍾愛
(
しょうあい
)
のうちに育ったが、一人っ児らしい
蒲柳
(
ほりゅう
)
の質で、子供時分から病気がちであった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それ故、自分の
鍾愛
(
しょうあい
)
の者に、自由に接近し愛撫し得る、位置にある者すべてに、彼女は病的な嫉妬を感じた。激情が心を荒れまわって、誰彼の区別なく罵った。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ことに妙子様は
才媛
(
さいえん
)
で、お母様のご
鍾愛
(
しょうあい
)
をほしいままにしている。お部屋もお母様のおとなりだった。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
鍾愛
(
しょうあい
)
の、美しい孫姫さんが、
御方
(
おかた
)
(姫の住居—離れたお部屋)に乳母たちにかしずかれていた。
旧聞日本橋:25 渡りきらぬ橋
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
兄さんの温厚なのに似ず才気
煥発
(
かんぱつ
)
した方で、何か失行のあった時、名家の子弟であったためか、新聞に書立てられて、その方を
鍾愛
(
しょうあい
)
なさる母上がひどく苦になさった時など
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そして老エフィゲニウスが眼に入れても痛くないほどに
鍾愛
(
しょうあい
)
している一人娘のロゼリイスは、芝生に坐って私のために鵞ペンを削りながら、絶えず涼しい微笑みを送ってくれ
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼の
鍾愛
(
しょうあい
)
する美少年に
懸想
(
けそう
)
した上野介が、ひそかにこれをゆずりうけたいといって所望したのをあっさりはねつけたことにふかい意趣がこもっていたということになっているが
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
二代目の天鼓もまたその声
霊妙
(
れいみょう
)
にして
迦陵頻迦
(
かりょうびんが
)
を
欺
(
あざむ
)
きければ日夕籠を
座右
(
ざゆう
)
に置きて
鍾愛
(
しょうあい
)
すること大方ならず、常に門弟
等
(
ら
)
をしてこの鳥の啼く音に耳を
傾
(
かたむ
)
けしめ、しかる後に
諭
(
さと
)
して
曰
(
いわ
)
く
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
兄は思索に遠ざかる事のできない読書家として、たいていは
書斎裡
(
しょさいり
)
の人であったので、いくら腹のうちでこの少女を
鍾愛
(
しょうあい
)
しても、鍾愛の報酬たる親しみの程度ははなはだ
稀薄
(
きはく
)
なものであった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
千代は絶えなんとする渋江氏の血統を僅に
繋
(
つな
)
ぐべき子で、あまつさえ
聡慧
(
そうけい
)
なので、父母はこれを
一粒種
(
ひとつぶだね
)
と称して
鍾愛
(
しょうあい
)
していると、十九歳になった安永六年の五月三日に、辞世の歌を詠んで死んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
馬良と孔明とは、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりがあったので、その遺族はみな引き取って
懇
(
ねんご
)
ろに世話していたが、とりわけ馬謖の才器を彼はいたく
鍾愛
(
しょうあい
)
していた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女が二人の幸福を
息子
(
むすこ
)
の犠牲にしてることを、知っていた。彼女はリオネロの
欺瞞
(
ぎまん
)
に欺かれてはいないが、それでもやはりリオネロを
鍾愛
(
しょうあい
)
してるということを知っていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
リストリエは、花の名を
綽名
(
あだな
)
としているダーリアという女を
鍾愛
(
しょうあい
)
していた。ファムイュは、ジョゼフィーヌをつづめてゼフィーヌと呼ぶ女をこの上ない者と思い込んでいた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
自分とは
従兄妹
(
いとこ
)
の間柄なる本妻の
綾野
(
あやの
)
を嫌い、とうとう一年経たないうちに、
柳橋
(
やなぎばし
)
芸者のお勝を、奉公人名義で
妾
(
めかけ
)
にいれ、それを
鍾愛
(
しょうあい
)
するの余り、本妻の綾野を
瘋狂
(
ふうきょう
)
と称して
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これらのお覚えめでたい
鍾愛
(
しょうあい
)
の親臣中にあって、ひとり養子の勝豊のみは、養父からも
忌
(
い
)
まれていたし、佐久間兄弟からも
冷
(
ひや
)
やかに
視
(
み
)
られていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしコゼットがいなかったならば、二人の子供はいかに
鍾愛
(
しょうあい
)
せられようともきっとまたすべてを受けたであろう。しかしその他人の子は、彼女らの代わりに打擲を受けてやった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ランジェー夫妻は、娘を
鍾愛
(
しょうあい
)
しながらも、自分一身の安逸を少しも犠牲にしたがらなかった。一日の大半は娘を一人放っておいた。それで娘は、夢想する時間に少しも不足を覚えなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
煩悩な父親は、その愛娘へも、人なみ以上な
鍾愛
(
しょうあい
)
をかけている。——子の幸福を、自分の行く末以上に案じている。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何物も見えないが、しかし
鍾愛
(
しょうあい
)
せられてるのを感ずる。それは実に暗黒の楽園である。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
眼の中へ入れても痛くないほど
鍾愛
(
しょうあい
)
して、上泉伊勢守から自身が受けた
新陰
(
しんかげ
)
の相伝、三巻の
奥旨
(
おうし
)
、一巻の絵目録など、すべてこれを生前に授けたと聴く
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はコゼットを
鍾愛
(
しょうあい
)
し、コゼットを所有し、そしてコゼットは純潔に光り輝いていた。それでもう彼には充分だった。この上いかなる説明を要しようぞ。コゼットは光輝そのものであった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
加うるに、どういうものか、老公の
鍾愛
(
しょうあい
)
はいまもむかしも変らない。まったく、むかしといっていいほど、それはかれの幼少から今日にいたるものであった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
石舟斎が、掌上の
珠
(
たま
)
のように、眼にも入れたいほど、
鍾愛
(
しょうあい
)
して
措
(
お
)
かなかったのは、孫の兵庫
利厳
(
としとし
)
だった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が
鍾愛
(
しょうあい
)
して措かない
糸垂
(
しだ
)
れ桜の巨木は、わけても、この庭の王妃のように咲き誇っていたが、常とちがって、今朝は、内蔵助の眸に、その白い花の一つ一つが
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日頃、信長が
鍾愛
(
しょうあい
)
していた
乙御前
(
おとごぜ
)
の釜が宝蔵から出されてあった。秀吉はそれを拝領して長浜へ帰ると
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頼朝が、自ら、
龍胆黒
(
りんどうぐろ
)
と名づけて、ここの
厩
(
うまや
)
に飼い、
厩舎人
(
うまやとねり
)
の
鬼藤次
(
きとうじ
)
という小者を付けて、
鍾愛
(
しょうあい
)
措
(
お
)
かない黒鹿毛は、都にも
稀
(
まれ
)
な逸物だといわれているものであった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日ごろからそういっていた謙信は、永禄元年の和睦——甲越の一時的な和議のできた年に——とうとうこの
鍾愛
(
しょうあい
)
して措かない大事な家来を三河の徳川
蔵人元康
(
くらんどもとやす
)
へ遣ってしまった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、いずれが武蔵の最も
鍾愛
(
しょうあい
)
した物か、下り松の試合の折にはどの刀を使用したか、巌流島では何を差していたかなどという問題になると、これはまったくわからない考証になる。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(いずれ、
由緒
(
よし
)
ある若武者か、氏のよい
公達
(
きんだち
)
かが
鍾愛
(
しょうあい
)
したものにちがいない)
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
鍾愛
(
しょうあい
)
の
乙御前
(
おとごぜ
)
の釜を与えた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“鍾愛”の意味
《名詞》
鍾愛(しょうあい)
非常に可愛がること。寵愛すること。
(出典:Wiktionary)
鍾
漢検準1級
部首:⾦
17画
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
“鍾”で始まる語句
鍾馗
鍾
鍾繇
鍾乳洞
鍾会
鍾乳石
鍾馗様
鍾進
鍾巻
鍾紳