こがね)” の例文
さる人はかしこくとも、さるわざは賢からじ。こがね六三ななのたからのつかさなり。土にうもれては霊泉れいせんたたへ、不浄を除き、たへなるこゑかくせり。
こがねよ! しろがねよ! 金よ! 銀よ! よしよし思うさま泣くがよい! わしがその中地の下からきっと掘り出してやるからの!
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しろがねひもは永久に解けたのではなく、またこがねさらは償いがたいほど砕けたのでもない(6)のだ。だがいったいそのあいだ霊魂はどこにあったのか?
「日蓮は日本国東夷東条、安房の国海辺の旃陀羅せんだらが子なり。いたづらにちん身を法華経の御故おんゆゑに捨てまゐらせん事、あに石をこがねにかふるにあらずや」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仏に仕ふる自分みづからは禽にも獣にも慚しや、たとへば来ん世にはこがねの光を身より放つとも嬉しからじ、思へば御仏に事ふるは本は身を助からんの心のみにて
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
玉のいしだたみ暖かにして、落花自ずから繽紛ひんぷんたり、朱楼紫殿玉の欄干こがねこじりにししろがねを柱とせり、その壮観奇麗いまだかつて目にも見ず、耳にも聞かざりしところなり。
中に識神を宿して糞嚢にこがねを包めるに比し、はては自ら上行菩薩を以てまでも任じておられるのである。
切り裂かれた疵口きずぐちからは怨めしそうに臓腑ぞうふい出して、その上には敵の余類か、こがねづくり、薄金うすがねよろいをつけたはえ将軍が陣取ッている。はや乾いた眼の玉の池の中にはうじ大将が勢揃せいぞろえ。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
こがねかんむり差し上げて、銀の椅子に召されたら
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
耳朶ほたれに懸けしこがね
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
ひめみちこがね
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
こがねが地の下で泣いている』『地の下からこがねの匂いがする』と……そこで私はある日のこと丑松を連れて二人きりで鉱山やまの中を彷徨さまよい歩きました。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「易の占いしてこがね取り出だしたること」と題して『宇治拾遺』に出た話は、旅人が大きな荒れ家に宿を求むると、内には女一人しかないらしく、快くとめてくれた。
四三管仲くわんちゆう四四ここのたび諸侯をあはせて、身は四五倍臣やつこながら富貴は列国の君にまされり。四六范蠡はんれい四七子貢しこう四八白圭はつけいともがら四九たからひさぎ利をうて、巨万ここだくこがねみなす。
北平の按察使あんさつし僉事せんじ湯宗とうそう按察使あんさつし陳瑛ちんえいが燕のこがねを受けて燕の為に謀ることをがいするあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
心も又身に対すればこそ月こがねにもたとふれ。
夜あけて物食いに出掛けると、かの女が君は出で行くわけにゆかぬ、留まれ、と言った。何故と問うと、わがこがねを千両君に貸しあるから返したのち出でゆけ、と言った。
一三庁上ひとまなる所に許多あまたこがねならべて、心をなぐさむる事、世の人の月花にあそぶにまされり。人みな左内が行跡ふるまひをあやしみて、吝嗇りんしよく一四野情やじやうの人なりとて、つまはじきをしてにくみけり。
鏡にむかひては髪の乱れたるをぢ、こがねを懐にすれば慾のたかぶるを致す習ひ、善くも悪くも其境に因り其機に随ひて凡夫の思惟しゆゐは転ずるなれば、たゞ後の世を思ふものは眼に仏菩薩の尊容を仰ぎ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
こがねよ、しろがねよ、金よ、銀よ! 泣くなよ泣くなよ掘り出してやるからな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
また聖武天皇が一夜会いたまえる女にこがね千両賜いしを、女死に臨み遺言して、墓に埋めしめた妄執で、蛇となって苦を受け、金を守る、ところを吉備大臣きびのおとどかの霊に逢いて仔細を知り