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らつわん
ふりがな文庫
“
辣腕
(
らつわん
)” の例文
分けや丸、半玉と十余人の抱えの
稼
(
かせ
)
ぎからあがる一万もの月々の収入も身につかず、
辣腕
(
らつわん
)
を
揮
(
ふる
)
いつくした果てに、負債で首がまわらず
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
だがさすが大藩だけに、宇喜多家との交渉は黒田官兵衛の
辣腕
(
らつわん
)
をもって必死に働きかけても、まだ容易に、成功を見るには至らなかった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんな
辣腕
(
らつわん
)
と
質
(
たち
)
は
違
(
ちが
)
つても、
都合上
(
つがふじやう
)
、
勝手
(
かつて
)
よろしき
處
(
ところ
)
で
俥
(
くるま
)
を
替
(
か
)
へるのが
道中
(
だうちう
)
の
習慣
(
ならはし
)
で、
出發點
(
しゆつぱつてん
)
で、
通
(
とほ
)
し、と
極
(
き
)
めても、そんな
約束
(
やくそく
)
は
通
(
とほ
)
さない。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼らの衣裳道楽に呆れるよりも、宣教師と結托したミシン会社の
辣腕
(
らつわん
)
に呆れる方が本当なのかも知れないが、とにかく、驚くべきことである。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「するとつまり、
辣腕
(
らつわん
)
なんですな」保馬はそう云って調書を見まわした、「——だいぶ
出揃
(
でそろ
)
ったが、そろそろ役所のほうと突合せにかかるかな」
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
色の青い、小柄な中老人だが、
辣腕
(
らつわん
)
な商人として鳴りひびいた男である。金壺眼の奥に、
狡
(
ずる
)
そうな淀んだ光が沈んでいる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
馬鹿にするない
冗談
(
じょうだん
)
じゃねえという発憤の結果が怪物のように
辣腕
(
らつわん
)
な器械力と
豹変
(
ひょうへん
)
したのだと見れば
差支
(
さしつかえ
)
ないでしょう。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
友禅
縮緬
(
ちりめん
)
の
真赤
(
まつか
)
な襦袢一枚にこてこてとした厚化粧と
花簪
(
はなかんざし
)
に奇怪至極の装飾を
凝
(
こら
)
し、洋人、
馬来
(
マレイ
)
人、
印度
(
インド
)
人に対して
辣腕
(
らつわん
)
を
振
(
ふる
)
ふものとは思はれなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
前にちょっとふれたように、光明皇后は不比等と橘三千代とのあいだにお生れになったのだが、この橘三千代は天平の背後に躍った
稀代
(
きだい
)
の
辣腕
(
らつわん
)
家であった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
二葉亭の
伯父
(
おじ
)
で今なお名古屋に健在する後藤老人は西南の役に招集されて、後に内相として
辣腕
(
らつわん
)
を
揮
(
ふる
)
った
大浦兼武
(
おおうらかねたけ
)
(当時軍曹)の配下となって戦った人だが
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
又は
槓杆
(
てこ
)
でも動かぬ長尻の訪客を咄嗟の間に紙片のように掃き出して
終
(
しま
)
うという
辣腕
(
らつわん
)
家が時あってか出頭して、人天の眼を眩ぜしむるには驚かされるのである。
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
北部と南部と両方ともを奴隷にする、するどく
辣腕
(
らつわん
)
な親方がそんなに多くいるのに。南部の親方をいただくことはつらいことであるが、北部のそれをもつことは一層わるい。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
彼が職に
在
(
あ
)
る、
未
(
いま
)
だ二年に満たず、
然
(
しか
)
れどもその険胆
辣腕
(
らつわん
)
は、実に天下を震動せしめたり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
金座の御金改役後藤庄三郎の片腕と言われた利け者で、元は
吹屋町
(
ふきやちょう
)
の
手前吹
(
てまえぶき
)
をしておりましたが、後、後藤庄三郎の配下になって、その
辣腕
(
らつわん
)
を勘定奉行に認められていたのです。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これはいづれも数語の中に一事件の起る背景を描いた
辣腕
(
らつわん
)
を示してゐるものであります。
文芸鑑賞講座
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大戦当時のフランスの密偵局に、ドイツのスパイ団をむこうにまわして
智慧競
(
ちえくら
)
べを演じ、さんざん悩ました
辣腕
(
らつわん
)
家に「第二号」と称する
覆面
(
ふくめん
)
の士のあったことはあまりに有名だ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
いかに八重梅が
辣腕
(
らつわん
)
でも、そうそう成功するものか、などとおっしゃることもあって、実はご立腹でも何んでもないので、それはとにかく今度のご用は、大したことでもございません。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
辣腕
(
らつわん
)
と
剽悍
(
ひょうかん
)
との点においては近代これに
比肩
(
ひけん
)
する者無しと
嘆
(
たん
)
ぜられているひと。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こう云う文士はぜひとも上流社会と同じような物質的生活をしようとしている。そしてその目的を遂げるために、財界の老錬家のような
辣腕
(
らつわん
)
を
揮
(
ふる
)
って、巧みに自家の資産と芸能との
遣繰
(
やりくり
)
をしている。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
辣腕
(
らつわん
)
のきこえある松平左京之介が、二条城へ入れ代ったのは、ひッ腰の弱い
公卿
(
くげ
)
たちにとって、おそろしい
脅威
(
きょうい
)
であろう。まだいけない、機はほんとうに熟してはこない。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金座の
御金改役
(
おかねあらためやく
)
後藤庄三郎の片腕と言はれた利け者で、元は吹屋町で
手前吹
(
てまへぶき
)
をして居りましたが、後、御藤庄三郎の配下になつて、その
辣腕
(
らつわん
)
を勘定奉行に認められて居たのです。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
聞いて見ると、この歯医者の先生は、いまだかつて
歯痛
(
しつう
)
の経験がないのだそうである。それでなければ、とてもこんなに顔のゆがんでいる僕をつかまえて
辣腕
(
らつわん
)
をふるえる筈がない。
田端日記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
此
(
この
)
男忠実にして信用すべき案内者なり」と云ふ様な証明や「
但
(
ただ
)
し見掛によらぬ
辣腕
(
らつわん
)
ありと見え彼が妻は西洋人なり」と
冷
(
ひや
)
かしたものや、
山内愚仙
(
やまのうちぐせん
)
が
描
(
か
)
いて与へた彼の顔の
写生
(
スケツチ
)
や
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
私は叔父の財産を惜しいとも思わなければ、伊奈子の
辣腕
(
らつわん
)
を憎む気にもなれなかった。あの真赤に肥った、
脂肪
(
あぶら
)
光りに光っている叔父の財産が、小さな女の白い手で音もなくスッと奪い去られる。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
遣附
(
やッつ
)
けましたな、いや外交家だ。
辣腕
(
らつわん
)
辣腕。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「非常な
辣腕
(
らつわん
)
だ」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
才気
辣腕
(
らつわん
)
の臣をにわかに用いて、
軽率
(
けいそつ
)
に
旧
(
ふる
)
きを破り、新奇の政を
布
(
し
)
くは危うい
因
(
もと
)
を作ろう。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
外交記者中の
辣腕
(
らつわん
)
、早坂勇の声が、切れ切れに聴えます。
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「よいお
年齢
(
とし
)
をして、左様なことは口外なさるものではありませぬ。御房は
辣腕
(
らつわん
)
な政略家とかねて聞え及んでおるが、御家中においてまで政治のお道楽はなさらぬがよろしかろう」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実務家で
辣腕
(
らつわん
)
で、重く見られている人物だった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“辣腕”の意味
《名詞》
辣腕(らつわん)
物事を素早く、また的確にこなす能力があること。凄腕。
(出典:Wiktionary)
辣
常用漢字
中学
部首:⾟
14画
腕
常用漢字
中学
部首:⾁
12画
“辣腕”で始まる語句
辣腕家