)” の例文
よろこばるゝといへどもおや因果いんぐわむく片輪かたわむすめ見世物みせものの如くよろこばるゝのいひにあらねば、決して/\心配しんぱいすべきにあらす。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
このときの御成も単に遊覧のためで、隅田のながれを前にして、晩春初夏の風景をでるだけのことであったらしい。
鐘ヶ淵 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼はこの造園法をでて、この庭には宏壮な趣があり、上品で高雅であり、旧家の家風に似つかわしいと考えていた。
今度こんどは石をにしきつゝんでくらをさ容易よういにはそとに出さず、時々出してたのしむ時は先づかうたいしつきよめるほどにして居た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いつもは、木下家の家臣としてでござったが、こよいは、一半兵衛重治として、妹のゆうと共に、月をでつつ、浮々と、お立ち寄り申したのでござる。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はこの松林をたゞ庭としてでようなどと云ふ考からは遠く離れてゐた、彼は誰にもそんな事は口外したことはないが、心の中ではかう思うてゐるのである
(新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
かつては、九重の奥深く、にぎやかに春の花をでて遊んだこともあった人たちが、都を遠く離れた屋島の浜で、秋の月を眺める気持はどんなであったろう。
わしはお前の信仰をづる餘り、普賢菩薩の使者となって兜率天から降りて来たものだ。お前の信仰が行くすえ長く揺がないように、此の水晶の数珠を与える。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
小松殿は其功をで給ひ、時頼を瀧口の侍に取立て、數多あまたの侍の中に殊に恩顧を給はりける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
将軍某駒場の狩の帰るさに、その光の晴夜の星のごとくなるをでたという話が残っている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
自己のすべてが神に適い、神はいたくこれをでてすべてにおいて己の味方であるとなす。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
それが判り切った嫌さに、ひとりもので甘藷をかじって、炬燵へあたっている仕儀だ。狐の化けた女というなら、その実体のない美しさにでて、一晩位は相手になってつき合う積りだが。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そのお饒舌のてがらでゝ連れられて行つてやつたら角から二軒目の宿屋へ案内した。二階の障子を明け離してごゞ島の翠色みどりが延ばす手に染みつきそうな海を眺めながら七十五銭の昼飯を食つた。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
夜干よぼしに敷いた網の中を、ひらひらと拾ったが、朝景色をずるよしして、四辺あたりを見ながら、その苫船とまぶねに立寄って苫の上に片手をかけたまま、船の方を顧みると、千鳥はかぬが友呼びつらん。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
立上りゐやする熊が月の輪の白きをでて芋を與へし
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
こゝろ自由まゝなる人間は、とはにづらむ大海おほうみを。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
などかはおそるる、こをでずや。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
が、長崎渡りの珍菓としてでられた軽焼があまねく世間に広がったは疱瘡ほうそう痲疹はしかの流行が原因していた。
なんじの熱心にでて以後はわらわが教えて取らせん、汝余暇よかあらば常に妾を師と頼みて稽古を励むべしと云い
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、手ずから各〻へ杯をやり、また一族の輩にも、何かと、ものを分け与えた。その間に、円心は
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
意表をく知らせである。宮は狼狽ろうばいした。才覚すぐれたとはいえ、月をで虫にく風雅の道に今まで過して来た宮である。危急の際の身の処置に、殆んどなすところなく呆然ぼうぜんとするばかりであった。
こゝろ自由ままなる人間は、とはにづらむ大海を。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
われからでむ忍冬すひかづら——
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
色にでにし紅薔薇こうさうび、日にけに花は散りはてゝ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
色にでにし紅薔薇こうそうび、日にけに花は散りはてゝ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)