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ふりがな文庫
“
負
(
しょ
)” の例文
そしてその誤りを
負
(
しょ
)
い込んでも一向それに目醒めない不覚を憐れに感ずる。何んとならばカキツバタは断じて燕子花ではないからである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
自己が自己に自然な因果を発展させながら、その因果の重みを
脊中
(
せなか
)
に
負
(
しょ
)
って、高い絶壁の端まで押し出された様な心持であった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秤を腰に差して麻袋を
負
(
しょ
)
ったような人達は、
諏訪
(
すわ
)
、松本あたりからこの町へ入込んで来る。
旅舎
(
やどや
)
は一時
繭買
(
まゆかい
)
の群で満たされる。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
またおろしたり
負
(
しょ
)
ったりするのが手がるだったことで、連尺という名はもう知らない土地でも、この両手を通す紐だけはよく採用していた。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
母は二三日前まで床に
臥
(
つ
)
いていたが、この日は朝のうちは天気がよかったので、買物をするため、豆を少し
許
(
ばかり
)
負
(
しょ
)
って町へ行った。町へ行く時
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
あんな
素性
(
わけ
)
も分らねえ者を無闇に
引張込
(
ひっぱりこ
)
んでしまって何うするだ、医者様の薬礼まで己が
負
(
しょ
)
わなければなんねえ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或は一歩
毎
(
ごと
)
に跪いて宮殿へ礼拝を行う者、又は背中に茨を
負
(
しょ
)
って膝頭だけで歩く者、そうかと思うと、宮殿の
周囲
(
まわり
)
を十歩すすんでは八歩返えり、六歩あるいては五歩退き
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
バルメラ男爵は恐る恐る窺ってみると、一人の番人が立って銃を
負
(
しょ
)
っている。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
しばらく
昏睡
(
こんすい
)
状患で横たわっていたが、見知りの村の衆に発見され、
報告
(
しらせ
)
によって弟や
甥
(
おい
)
が
駈
(
か
)
けつけ、
負
(
しょ
)
って弟の家まで運んで来たのだったが、顔も石にひどく
擦
(
こす
)
られたと見え、
𩪼骨
(
けんこつ
)
から
頬
(
ほお
)
へかけて
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
苞
(
つと
)
にくるんだ土民の衣裳やら
草鞋
(
わらじ
)
などであった。牛若の衣裳はすべて脱がせ、代りにそれを着せて、
汚
(
むさ
)
いぼろ
布
(
きれ
)
で顔をつつんだ。背には
背荷
(
せお
)
い
梯子
(
ばしご
)
とよぶ物を
負
(
しょ
)
わせて、短い山刀を腰にさして与えた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男は真綿帽子を冠り、
藁靴
(
わらぐつ
)
を
穿
(
は
)
き、女は紺色染の真綿を
亀
(
かめ
)
の甲のように背中に
負
(
しょ
)
って家の内でも
手拭
(
てぬぐい
)
を冠る。それがこの辺で眼につく風俗だ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大ていはそっくり入れ物に入れてくることがまた一つであったが、その
負
(
しょ
)
い
方
(
かた
)
だけは改良した連雀も同じで、
竹籠
(
たけかご
)
の左右に幅のひろい
裂織
(
さきおり
)
の
紐
(
ひも
)
をむすびつけ
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
中に
筆墨
(
ふですみ
)
を
商
(
あきな
)
う男がいた。背中へ荷をいっぱい
負
(
しょ
)
って、
二十日
(
はつか
)
なり
三十日
(
さんじゅうにち
)
なり、そこら中回って歩いて、ほぼ売り尽してしまうと山へ帰って来て坐禅をする。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この二種は日本松樹の二大代表者で実に我邦山野の景色はこの二樹が
負
(
しょ
)
って立っていると唱道しても決して過言ではあるまい。総体アカマツは山地に多くクロマツは海辺に多い。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
禿げた
小丘
(
こおか
)
を
背後
(
うしろ
)
に
負
(
しょ
)
って古びた工場が建っていた。工場の持主のコックニー博士が行方不明になってからまだ三月しか経っていないのに工場は既に廃屋同然恐ろしい程に荒れていた。
物凄き人喰い花の怪
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
行商
(
ぎょうしょう
)
に
歩
(
ある
)
く、三ちゃんのおばさんが、
町
(
まち
)
からの
帰
(
かえ
)
りとみえて、
大
(
おお
)
きな
荷
(
に
)
を
負
(
しょ
)
って、
原
(
はら
)
を
通
(
とお
)
りかかりましたが、三
人
(
にん
)
が、おんばこで
相撲
(
すもう
)
を
取
(
と
)
っているのを
見
(
み
)
ると、にっこり
笑
(
わら
)
って
立
(
た
)
ち
止
(
ど
)
まりました。
草原の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「たしか、橋本の番頭さんが薬を
負
(
しょ
)
って
吾家
(
うち
)
へ
被入
(
いらし
)
って、あの時豊世さんのお嫁さんに
被入
(
いら
)
しったことを伺いましたっけ」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大
(
おお
)
きな
荷
(
に
)
を
負
(
しょ
)
ったおばさんは、こういい
残
(
のこ
)
していってしまいました。
草原の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
知らない旅客、荷を
負
(
しょ
)
った
商人
(
あきんど
)
、
草鞋掛
(
わらじがけ
)
に紋附羽織を着た男などが
此方
(
こちら
)
を
覗
(
のぞ
)
き込んでは日のあたった往来を通り過ぎた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
御一人で小諸を
負
(
しょ
)
って御立ちなさる程の旦那様でも、奥様の心一つを御自由に成さることは出来ません。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この人達の働くあたりから岡つづきに上って行くとこう
平坦
(
たいら
)
な松林の中へ出た。刈草を
負
(
しょ
)
った男が林の間の細道を帰って行った。日は
泄
(
も
)
れて、湿った草の上に
映
(
あた
)
っていた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人が褒めそやすなら源は火の中へでも飛込んで見せる。それだのに悩み萎れた自分の妻を馬に乗せて出掛るとなると、さあ、重荷を
負
(
しょ
)
ったような
苦痛
(
くるしみ
)
ばかりしか感じません。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“負”の意味
《名詞》
(フ)実数で零(無)より小さい数。
(フ)悪い状態。否定的な状態。厭わしい状態。
(出典:Wiktionary)
負
常用漢字
小3
部首:⾙
9画
“負”を含む語句
背負
脊負
負傷
勝負
負惜
手負
負債
負傷者
請負
気負
引背負
背負梯子
贔負
負目
背負上
背負籠
背負子
御負
背負投
負嫌
...