謀叛人むほんにん)” の例文
お紋は、謀叛人むほんにんの娘と言ふ自分の素姓は言ひませんでしたが、高木銀次郎の怪しい事は、重三へも平次と同じやうに話して居たのです。
これ謀叛人むほんにんによくある相であります。ですから、いま小功を挙げて、これを味方にするも、後々、かならず叛くに違いありません。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ですから、石田三成に謀叛人むほんにんの名を着せようとも、小栗上野をその名で呼ぶには躊躇ちゅうちょしないわけにはゆかないはずです。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
連中が謀叛人むほんにんをやった時でしたが、不意にり手が踏みこむところで「残念、ワナにかかったか」と言うべきところを
その上に三唖が頻繁ひんぱんに出入したのが社外の異宗門だったので、終には謀叛人むほんにん扱いされて棄てられてしまった。
いやしくも新しいものは皆禁制、新しい事をするものは皆謀叛人むほんにんであった時代を想像して御覧なさい。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
もつとも俺は此のうち寄生蟲きせいちうだからな。」と自分をけなしつけても見て、「此の家から謂つたら、俺は確に謀叛人むほんにんだが、俺から謂つたら、此の家の空氣は俺に適しない、 ...
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「なんぼ、玉井が謀叛人むほんにんちゅうたって、命は惜しいにちがわんからなあ。うちの親分に楯ついて、組合作ったら、どげなことになるか、玉井が一番よう知っとろうだい」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
我々はみんな多少にしろ、もし平中になれるものなら、平中になつて見たいと云ふ、人知れない野心を持つてゐる。その為に平中は謀叛人むほんにんよりも、一層我々に憎まれるのだ。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
公暁は頼家の遺子であるが、実朝は父の敵であるとそそのかされて決行したものの、それはまた将軍弑逆しぎゃく謀叛人むほんにんという名儀でほろぼされた。清和源氏せいわげんじの正統はここに絶えた。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
諏訪 妾は、謀叛人むほんにんには容赦しない方ですよ。これからもずうっと厳しくします。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
とんと存ぜんな、降伏人どもは除族されとる、従ってあそこには貫属があろうわけはないぞ、はッはッは——自体そなたはどこから見えられた? 気狂いの、謀叛人むほんにんの、あの丸山作楽の
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
謀叛人むほんにんのように知らず知らず自分のまわりの少女たちにある感情的な教唆を与えていたのだが、自分自身ですらがどうしてこの大事な瀬戸ぎわを乗り抜けるのかは、少しもわからなかった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一旦嫁いだ女たちが後に謀叛人むほんにんの子なるが故に夫にうとまれ、落魄らくはくした結果であろうか、それとも関ヶ原の当時まだ結婚期に達していなかった妹たちだけが、漂泊の憂き目を見たのであろうか。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
謀叛人むほんにんが降つて湧いて、まる取詰とりつめたやうな騒動だ。将軍の住居すまいは大奥まで湧上わきあがつた。長袴ながばかますべる、上下かみしも蹴躓けつまずく、茶坊主ちゃぼうずは転ぶ、女中は泣く。追取刀おっとりがたなやり薙刀なぎなた。そのうち騎馬で乗出のりだした。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
紀州は蜜柑みかん謀叛人むほんにん本場ほんばである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「曹丞相を殺さんとなす謀叛人むほんにんども、そこをうごくな。すぐ訴人してこれへ相府の兵を迎えによこすであろう」と、大喝した。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲源一刀流から言えば危険なる謀叛人むほんにんで、それが同流の最も手筋てすじよき宇津木文之丞と組み合ったのだから、他流試合よりももっと皮肉な組合せで
曲者くせものは慶安謀叛人むほんにんの由比正雪、丸橋忠彌の一味だ。あの時お繩に洩れたのが江戸に潜入して、四年越し世の中を騷がすことばかり工夫してゐたのだよ」
「心得た。おれが、馬糧小屋まぐさごやをはじめ諸所へ火をつけて廻るから、おめえは、謀叛人むほんにんだ、裏切者だ、と呶鳴ってまわれ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曲者くせものは慶安謀叛人むほんにんの由比正雪、丸橋忠弥の一味だ。あの時お縄に洩れたのが江戸に潜入して、四年越し世の中を騒がすことばかり工夫していたのだよ」
そうでなきゃお前、あれだけの仕事ができるものかな、やにっこい大名じゃあトテモ高島の真似はできねえね。それだからお前、とうとう謀叛人むほんにんと見られちゃったのさ。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神田の明神へは、あれはたいら将門まさかど公をまつったもので、将門公が謀叛人むほんにんなどと伝えられているのは、甚だしいまちがいだ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
餘談にわたりますが、その後江戸名所圖繪づゑいた長谷川雪旦せつたんが、此處のお茶屋で風景を寫生して、謀叛人むほんにんと間違へられた——などといふ話の傳はつて居るところです。
あれは謀叛人むほんにんだ、徳川にとって獅子身中の虫なのだ。あれは最初から宗家に平らかならざることがあって、池田光政あたりと通謀して、天下を乗取ろうとした腹黒い奴である。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
従って宮廷のみだれは、あざむかず、民間に反映して、地方にふたたび黄巾賊の残党やら、新しい謀叛人むほんにん蜂起ほうきして、洛陽城下に天下の危機が聞えてきた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へツ、お察しの通りと言ひてえが、謀叛人むほんにんの妹に思ひをかけちや、笠の臺があぶねえ」
俺に人を隠匿かくまえというのか。そりゃ大方謀叛人むほんにんとか兇状持きょうじょうもちとか、ろくな奴じゃあるめえ。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そういうひらめきと、いや謀叛人むほんにんはあのきんか頭である。明智ほどな者が、かかることを仕出来しでかすからには、水も漏らさぬ用意の上であろう。所詮は覚悟のときか。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謀叛人むほんにんがこの屋敷へきりこんだというわけでもなく、また謀叛が発覚して御用の手が混み入ったというわけでもなく、ただ一発の弾丸が——それも無論、大砲のたまではなく小銃の弾丸が
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
謀叛人むほんにんの娘として、お紋は艱難辛苦を嘗めました。
所詮しょせん、美濃と尾張とは、ゆく末合戦の絶えない国、美濃の恩をめば、尾張へ弓を引かねばならず、尾張に住めば、信長様に敵対した謀叛人むほんにんの家来の果てよとあざけられます。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「親分、縄張内から謀叛人むほんにんが出たらどうします」
弓箭きゅうせんを帯し、兇兵を連れて、主人の車に迫るなど、謀叛人むほんにんのすることです。お退がりっ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「親分、繩張内から謀叛人むほんにんが出たらどうします」
限りに、石川伯耆守ほうきのかみを、かえちゅう謀叛人むほんにんと見ていうぞ。——主君の信をうけて、岡崎城の城代を勤める老臣が、大坂方へ寝返り打って立ち退くのを、たれが、目に見て、見のがそうや
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謀叛人むほんにんぢやなかつたのか」
「天下の大変をお訴えに出ました。丞相じょうしょうを殺そうとしている謀叛人むほんにんがあります」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どこだ」「何事か」「過失か、け火か」「喧嘩だろ」「いや、謀叛人むほんにんだ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きくいえば治安を乱す謀叛人むほんにんのひとり。捕まればしばくびは当りまえじゃろが
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやいや、中務を自害させ、そちをも、謀叛人むほんにんにいたしたは、皆、信長が不徳というものじゃ。——信長も以後はふかく反省しよう。そちたちも、に仕えるものなれば、ふた心など持つな。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謀叛人むほんにんッ。汝らのたくらみはもう明白だ。そこまで行く要はないッ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「知らん。なにをもって、このほうを謀叛人むほんにんというか」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(公方の謀叛人むほんにん
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
謀叛人むほんにんは」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)