薄茶うすちや)” の例文
なんなりともかなひたるを、あくまでしよくすべし」と強附しひつけ/\、御菓子おんくわし濃茶こいちや薄茶うすちや、などを籠中かごのなかところせまきまでたまはりつ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「若旦那も御承知の上で御座います。勇次郎樣は御酒を召上らないので、時々薄茶うすちやを欲しいと仰しやいます」
また折々をり/\のおかたのおともをいたして、大坂おほさか有名いうめい藤田様ふぢたさま御別荘ごべつさうまゐりまして、お座敷ざしき拝見はいけんしたり、御懐石ごくわいせき頂戴ちやうだいしたあと薄茶うすちやいたゞいたりして、誠に此上このうへもない結構けつこうな事でございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ここに散る桜は白し玉葱の薄茶うすちやの皮ゆ青芽あをめのぞけり
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
薄茶うすちやに、雪に、しらたま
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
とゝさま二の御懇意ごこんいとてはづかしき手前てまへ薄茶うすちやぷくまゐらせそめしが中々なか/\物思ものおもひにて帛紗ふくささばきのしづこゝろなくりぬるなりさてもお姿すがたものがたき御氣象ごきしようとやいま若者わかものめづらしとて父樣とゝさまのおあそばすごとわがことならねどおもあかみて其坐そのざにも得堪えたへねどしたはしさのかずまさりぬりながら和女そなたにすらふははじめてはぬこゝろ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
談話はなし聽人きゝてみな婦人ふじんで、綺麗きれいひと大分だいぶえた、とたちのであるから、羊羹やうかんいちご念入ねんいりむらさき袱紗ふくさ薄茶うすちや饗應もてなしまであつたが——辛抱しんばうをなさい——さけふものは全然まるでない。が、かねての覺悟かくごである。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)