若々わかわか)” の例文
その日にやけた年とったかおには、いつにない若々わかわかしい元気がうかんでいました。かれひたいあせをにじましながら、つよい調子ちょうしでいいました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
けれど、若々わかわかしいにわとりよろこばしそうなごえくと、ほしは、すべてのながよるあいだ物憂ものうかったことなどをわすれてしまいます。
ものぐさなきつね (新字新仮名) / 小川未明(著)
肉色の薔薇ばらの花、慈悲の女神めがみのやうに肉色の薔薇ばらの花、若々わかわかしてゐて味の無いおまへの肌の悲みに、この口をさはらせておくれ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ははほうでもわたくし諸磯もろいそ佗住居わびずまいにくすぼりかえっていたときくらべて、あまりに若々わかわかしく、あまりに元気げんきらしいのをて、自分じぶんことのようにこころからよろこんでくれました。
此処は西欝々うつうつとした杉山すぎやまと、東若々わかわかとした雑木山ぞうきやまみどりかこまれた田圃で、はるか北手きたてに甲州街道が見えるが、豆人とうじん寸馬すんば遠く人生行路じんせいこうろを見る様で、かえってあたりのしずけさをえる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いかにも若々わかわかしく、元気で、そのくせ、考え深そうな眼付きをしている。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それよりもおどろいたのは、かがみうつった自分じぶん姿すがたでありました。頭髪とうはつは、半分はんぶんしろく、かおにはじわがって、当年とうねん若々わかわかしさが、まったくせてしまったことです。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
つまり橘姫たちばなひめしょうはすべてをきみささげつくした、にも若々わかわかしいはなの一しょうなのでございました。
晩桜おそざくらと云っても、普賢ふげん豊麗ほうれいでなく、墨染すみぞめ欝金うこんの奇をてらうでもなく、若々わかわかしく清々すがすがしい美しい一重ひとえの桜である。次郎さんのたましいが花に咲いたら、取りも直さず此花が其れなのであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
承知しょうちいたしました。みっちり修行しゅぎょうんで、むかしよりも若々わかわかしくなっておにかけます……。』