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箙
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えびら
ふりがな文庫
“
箙
(
えびら
)” の例文
義仲と共にあった今井四郎兼平、しばし敵陣を睨むと、やおら背の
箙
(
えびら
)
より
鏑矢
(
かぶらや
)
を取り出し、その中に火を入れて弓につがえた。
現代語訳 平家物語:08 第八巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それに花やかな
弓小手
(
ゆごて
)
、太刀を佩き短刀を差して頭に
綾藺笠
(
あやいがさ
)
、腰には夏毛の
行縢
(
むかばき
)
、背には
逆顔
(
さかづら
)
の
箙
(
えびら
)
、手には覚えの弓、太く
逞
(
たくま
)
しい馬を
曳
(
ひ
)
かせて
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
男
(
をとこ
)
は、——いえ、
太刀
(
たち
)
も
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
れば、
弓矢
(
ゆみや
)
も
携
(
たづさ
)
へて
居
(
を
)
りました。
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
い
塗
(
ぬ
)
り
箙
(
えびら
)
へ、二十あまり
征矢
(
そや
)
をさしたのは、
唯今
(
ただいま
)
でもはつきり
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
ります。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此処の眺望は一層の闊大を加えて北方は北アルプスの
箙
(
えびら
)
岳迄視界が開ける、南アルプスや槍穂高の方面は漸く霞に
罩
(
こ
)
められて、鋭い輪廓もうすれて来た。
美ヶ原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
粟生弘氏は翁の門下でも古株で相当年輩の老人であったが、或る時新米の古賀得四郎氏が稽古に行くと、大先輩の粟生氏が「
箙
(
えびら
)
」の
切
(
きり
)
の謡を習っている。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
▼ もっと見る
陣中の座興にと、信長、家康の士酒井左衛門尉忠次に
夷舞
(
えびすまい
)
を所望し、諸将
箙
(
えびら
)
を敲いて
囃
(
はや
)
した。充分の自信があったのであろう。落付き払った軍議の席である。
長篠合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すずしの
御衣
(
おんぞ
)
の下に、もえぎの腹巻、太刀を横たえ、
箙
(
えびら
)
を負うた武者姿など、たとえば紅梅が雪を負ったようで、かの平家の
公達
(
きんだち
)
一ノ谷の
敦盛
(
あつもり
)
も、こうであったかと、おもわせる。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田楽、
葛籠造
(
つづらつくり
)
、
箙
(
えびら
)
細工、てうさい饅頭売、(禅宗)、(律家)、(念仏宗)、(法華宗)、(連歌師)、(比丘尼)、(尼衆)、(山法師)、(奈良法師)、(華厳宗)、(倶舎宗)。
俗法師考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
シゴイさんは四代目クラブではただ一人の
本職
(
プロ
)
だが、四代目クラブにはあまり賛成でないパパでさえ、ああいう軍人なら軍人も悪くない。建武なら〈
箙
(
えびら
)
の梅〉というところだねなんていっていた。
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
小姓は
箙
(
えびら
)
を負い半弓を取って、主のかたわらに引き添った。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やさしくもあやめ卯の花さし添へし
箙
(
えびら
)
背負ひて弓引くや誰
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
愛の
冷
(
ひえ
)
きつた世でござる、
何卒
(
どうぞ
)
箙
(
えびら
)
の矢をとつて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
梶原源太
(
かじわらげんた
)
が「
箙
(
えびら
)
の梅」という形になっていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
箙
(
えびら
)
の
如
(
ごと
)
く、
麻袋
(
あさぶくろ
)
を
敲
(
たゝ
)
いて
言
(
い
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
箙
(
えびら
)
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
ふ
神将
(
しんしやう
)
が
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
男は、——いえ、
太刀
(
たち
)
も帯びて
居
(
お
)
れば、弓矢も
携
(
たずさ
)
えて居りました。殊に黒い
塗
(
ぬ
)
り
箙
(
えびら
)
へ、二十あまり
征矢
(
そや
)
をさしたのは、ただ今でもはっきり覚えて居ります。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
紅に日の丸を描いた扇が、波にゆられ、浮きつ沈みつしているのを見ながら、平家は
舷
(
ふなばた
)
をたたき、源氏は
箙
(
えびら
)
をたたいて、この見事な弓取りを
賞
(
ほ
)
め讃えたのであった。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
一方は、背に
箙
(
えびら
)
を負い、弓をもち、左大臣の扮装をした興世王である。もう一人は、不死人で、これも、
緌
(
おいかけ
)
を付けた冠に、右大臣の装束をつけ、太刀を佩いて、
裳
(
も
)
を長く曳いていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小森を迎えに行った侍がそのあとから、二十四差した
箙
(
えびら
)
を持ってついて来ました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二
箙
(
えびら
)
の梅
十番雑記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
(十三)猩々(十四)小鍛冶(十五)岩船半能(十六)烏帽子折子方(十七)田村(十八)殺生石直面(十九)羽衣ワキ(二十)是界(二十一)蘆苅(二十二)
箙
(
えびら
)
(二十三)
湯谷
(
ゆや
)
ツレ(二十四)景清ツレ——但これは稽古だけで能は中止(二十五)船弁慶ツレ
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
革
(
かは
)
を
卷
(
ま
)
いた
弓
(
ゆみ
)
、
黒塗
(
くろぬ
)
りの
箙
(
えびら
)
、
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
征矢
(
そや
)
が十七
本
(
ほん
)
、——これは
皆
(
みな
)
、あの
男
(
をとこ
)
が
持
(
も
)
つてゐたものでございませう。はい、
馬
(
うま
)
も
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り、
法師髮
(
ほふしがみ
)
の
月毛
(
つきげ
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
箙
(
えびら
)
に結びつけられていた紙をほどいてみると、
旅宿花
(
りょしゅくのはな
)
という題で、一首の歌が書き連ねてあった。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
生田ノ森の梅花を
箙
(
えびら
)
にさして奮戦したという梶原源太
景季
(
かげすえ
)
のような武者たちが、戦いも終わった夕べ、カムベの民の献酒をどんな風に飲んだであろうか。酒徒ならぬぼくにも、連想の興味は尽きない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
箙
(
えびら
)
の梅
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
革
(
かわ
)
を巻いた弓、黒塗りの
箙
(
えびら
)
、
鷹
(
たか
)
の羽の
征矢
(
そや
)
が十七本、——これは皆、あの男が持っていたものでございましょう。はい。馬もおっしゃる通り、
法師髪
(
ほうしがみ
)
の
月毛
(
つきげ
)
でございます。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
背の
箙
(
えびら
)
に矢が一本もなくなったとき、十二人が射殺され、十一人が負傷したという速射であったが、弓をがらりと捨てた明秀はつらぬきを脱いではだしとなるや、ひらりと橋桁にとんだ。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
黒皮縅
(
くろかわおどし
)
の鎧を着て二十四差した
黒縨
(
くろほろ
)
の矢を負い、
塗籠籐
(
ぬりごめとう
)
の弓を脇にかいばさんだ勇ましい姿であったが、
兜
(
かぶと
)
を脱いで背中にかけ、
箙
(
えびら
)
から、
小硯
(
こすずり
)
と
畳紙
(
たとうがみ
)
を取りだすと、すぐ願書を書きはじめた。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
やがて、いつかあたりも暗くなり、人の姿も定かには見えなくなった頃、北南より廻った
搦手
(
からめて
)
の一万余騎が、頃は良しと倶利迦羅堂前あたりで落ち合い、
箙
(
えびら
)
をたたき、一度にどっと
鬨
(
とき
)
の声を挙げた。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
“箙”の意味
《名詞》
矢を入れて携帯する容器。
(出典:Wiktionary)
“箙”の解説
箙(えびら、英: quiver)とは、矢を入れて肩や腰に掛け、携帯する容器のこと。「やなぐい」とも読む。矢筒(やづつ)、靫(ゆぎ/うつぼ)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
箙
漢検1級
部首:⽵
14画
“箙”を含む語句
竹箙
箙細工