しり)” の例文
それこれを信ずるのはじめ、目これを見、耳これをきき、心これを察し、その信ずべきをしりて、しかるのちはじめて疑わざるに至る。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
小山「そうですか。私どもは何時でも光沢のないものばかり見ていますから上等のをしりません。上等のは光るほど光沢がありますかね」
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
十萬世界の大地のちりは知人しるひともありなん。法華經ほけきやう供養の功徳くどくしりがたしとこそほとけはとかせ給てさふらへ、これをもて御心あるべし。
一人大岡越前守のみ夫が邪曲じやきよくうかゞしり身命しんめい投打なげうち既往きわう今來こんらいを尋ね遂に奸計かんけい看破みやぶつて處刑しよけいせしといふ有名いうめいの談話にてかゝる奸物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
目科は威長高いたけだかに巡査に向い「貴官は拙者せっしゃしりませんか、拙者は目科です、是なる若者は拙者と一処いっしょに来たのです」目科の名を
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
さるによつて明日あすよりは、木賊とくさヶ原はら朱目あかめもとに行きて、療治をはんといふことまで、怎麼いかにしけんさぐりしり
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
自他じたぶんあきらかにして二念にねんあることなく、理にも非にもただ徳川家の主公あるをしりて他を見ず、いかなる非運に際して辛苦しんくなむるもかつて落胆らくたんすることなく
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
同紀に、雖辺土未清余妖尚梗而トツクニハナホサヤゲリトイヘドモ中洲之地無風塵ウチツクニハヤスラケシてふと同意なるにてしりぬ。かくてその隣とは、此度は紀伊国をさす也。然れば莫囂国隣之の五字は、紀乃久爾乃キノクニノよむべし。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ですが、苦労人の女中にも、わけしりの姉たちにも、ぶりにも悟られた事はありません。身ぶり素ぶりに出さないのが、ほんとの我が身体で、口へ出して言えないのが、真実の心ですわ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おまえの髪としっかり結びあわ喼喼きゅうきゅう如律令にょりつりょうとなえて谷川に流しすてるがよいとの事、憎や老嫗としよりの癖に我をなぶらるゝとはしりながら、貴君あなた御足おんあし止度とめたさ故に良事よいことおしられしようおぼえ馬鹿気ばかげたるまじない
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雛から鳥屋で育つた雲雀としりながら
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
したはせ今に至るまでも名奉行と言る時は只に忠相ぬし一にんとゞまるが如く思ひ大岡越前守の名は三歳の小兒といへども之をしりしきり明斷めいだんたゝへるこそ人傑じんけつさい稀世きせいの人といふ可し是等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あるいは云、諸教を折衷して邦俗に合うべきを取るべしと。これみな、その一をしりて、いまだその二を知らざるの論なり。それ大声は閭耳りょじに入らず、上乗は凡夫を導くに足らず。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
しりたる者なしお前は頼まれて度々お宿へ參りし事あれば能々よく/\かんがへて御役人樣へ申上られよとき惣助も十兩の金子を見て肝を潰し頻りに金のほしさに樣々と考へ成程なるほど澤の井さんに頼まれて折々手紙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)