白鳥はくてう)” の例文
そこへて、くらまぬで、わしするあるかほとローザラインのとをお見比みくらべあったら、白鳥はくてうおもうてござったのがからすのやうにもえうぞ。
そこに、白鳥はくてう抜羽ぬけはひら白帆しらほふねありとせよ。蝸牛まい/\つぶろつのして、あやつるものありとせよ、青螽あをいなごながるゝごと発動汽艇はつどうきていおよぐとせよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
カイアヹエ君は偉大な体格をして態度の沈着な男、これに反してマス君は日本で言へば正宗白鳥はくてう君の様に優形やさがた小作こづくりの男で、一見神経質な、動作の軽捷けいせふな文人である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
水剪紅羅すゐせんのう、すこし不格好ぶかくこうだが、白鳥はくてうくびのやうにむくむくした毧毛わたげがある。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
白鳥はくてうをよんでたはむれ 夜の霧にながされる 盲目めしひのばらのはな。
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
富士詣ふじまうでの下向げかうみぎり駕籠坂かごさかたうげにて始めて出會であひなんぢしなんと云を不便ふびんに思ひ連戻つれもどり我が宿に差置六七年やしなおきし中其恩義をわすれ我が女房と密通みつつうなし此條七を追出し田地家屋敷やしき家財迄かざいまでうばひ取んと謀計はかり白鳥はくてう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白鳥はくてうの歌ふが如く過ぎゆきぬ、すべるの裾。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
また我に接吻くちづけて羽羽はばたく白鳥はくてう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
おどろきやすい白鳥はくてうよ。
眞鍮しんちう茶釜ちやがま白鳥はくてう出居いでゐはしら行燈あんどうけて、ともしびあかく、おでん燗酒かんざけ甘酒あまざけもあり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ただ白鳥はくてう君には髭が無いけれどマス君にはうしろねた頤髭あごひげがある。見物人には一撃のもとにマス君がやぶられさうあやぶまれたが、しかしマス君は見掛に寄らず最後まで勇敢に戦つて立派に名誉を恢復くわいふくした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
雪のやうな薔薇ばらの花、雪の色、白鳥はくてうはねの色、雪のやうな薔薇ばらの花、おまへは雪の脆いことを知つてゐるから、よほど立派な者のほかには、その白鳥はくてうはねを開いてみせない、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ぴきかひおはせける故九郎兵衞も今は行處なければ條七の弟分になつて三年程かせぐ中こゝに條七女房おてつと云ふは三歳になるむすめお里もありながら何時しか九郎兵衞と怪敷あやしき中と成しにぞ或日九郎兵衞と云合せ土地ところ鎭守ちんじゆ白旗しらはた明神みやうじんもりにて白鳥はくてう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かすかな白鳥はくてうのはねのやうに
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
あの白鳥はくてうが死ぬやうに。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
其時、白鳥はくてう毒水どくすゐの橋のしたに惱みぬ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あの白鳥はくてうも近く来る
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)