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疑惑
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ぎわく
ふりがな文庫
“
疑惑
(
ぎわく
)” の例文
で伊那丸も、さまざまな
疑惑
(
ぎわく
)
に胸をつつまれながら、
眸
(
ひとみ
)
をそらして、こんどはきっと、
入道
(
にゅうどう
)
の顔をにらみつけた。——
梅雪
(
ばいせつ
)
もまけずに
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
えたいの知れぬ
混沌
(
こんとん
)
を成しており、この上もなく
矛盾
(
むじゅん
)
した感情や、想念や、
疑惑
(
ぎわく
)
や、希望や、喜びや、
悩
(
なや
)
みが、つむじ風のように
渦
(
うず
)
まいていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
今まで私を
脅
(
おびやか
)
したのはただ何とも知れない不安な心もちでございましたが、その後はある
疑惑
(
ぎわく
)
が私の頭の中に
蟠
(
わだかま
)
って、日夜を問わず私を責め
虐
(
さいな
)
むのでございます。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この奇竜丸の救援に
赴
(
おもむ
)
いた官憲は、はからずも、この船の構造や、乗組員の様子に
疑惑
(
ぎわく
)
を持ち、厳重に取調べた結果、この船こそ怪賊
烏啼天駆
(
うていてんく
)
の持ち船だと分り
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
万物の霊長たるしかも女に
優
(
すぐ
)
れたる男子に応用するは、一見男子を
侮辱
(
ぶじょく
)
せるかの
疑惑
(
ぎわく
)
を
促
(
うなが
)
すが、おそらく動物としても優勝なるものの資格を嘆美するために用いた言葉ではあるまいか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
しかし、すぐにクルミさんの頭の中には、ムラムラとひとつの
疑惑
(
ぎわく
)
が持上った。
香水紳士
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
巌はだまった、かれの頭にはふしぎな
疑惑
(
ぎわく
)
が生じた。これがはたしてぼくの父だろうか。わが身の罪を
隠蔽
(
いんぺい
)
するために役場を焼こうとした凶悪な昨夜の行為! それがぼくの父だろうか。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
かれの心には
疑惑
(
ぎわく
)
の
嵐
(
あらし
)
が吹きはじめた。これまで胸の底ふかく
培
(
つちか
)
い育てて来た「歎異抄」の
魅力
(
みりょく
)
が、それで根こそぎになるというほどではなかったが、その枝葉の動揺はかなり
激
(
はげ
)
しかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そも何者が
訴人
(
そにん
)
をしてかくも捕り手のむれをさしむけたのか?——という
疑惑
(
ぎわく
)
とふしぎ感だったが、そんな
穿鑿
(
せんさく
)
よりも
刻下
(
いま
)
は身をもってこの縦横無尽に張り渡された
捕縄
(
ほじょう
)
の網を切り破るのが第一
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
領主
暫時
(
しばらく
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
口
(
くち
)
を
閉
(
と
)
ぢよ、
先
(
ま
)
づ
此
(
この
)
疑惑
(
ぎわく
)
を
明
(
あきら
)
かにして
其
(
その
)
源流
(
げんりう
)
を
取調
(
とりしら
)
べん。
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
、われ
將
(
は
)
た
卿等
(
おんみら
)
の
悲歎
(
なげき
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
敵
(
かたき
)
の
命
(
いのち
)
をも
取遣
(
とりつか
)
はさん。
先
(
ま
)
づそれまでは
悲歎
(
ひたん
)
を
忍
(
しの
)
んで、
此
(
この
)
不祥事
(
ふしゃうじ
)
の
吟味
(
ぎんみ
)
を
主
(
しゅ
)
とせい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
平次はこの女の出過ぎた態度に、フト
疑惑
(
ぎわく
)
を感じたのです。
銭形平次捕物控:260 女臼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
身をひそめながら、かれの眼はらんらんとその
不解
(
ふかい
)
な
疑惑
(
ぎわく
)
にむかって、
錐
(
きり
)
のごときするどさを
研
(
と
)
ぎすましてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「しかしこの怪事件について、博士はじぶんの上に
疑惑
(
ぎわく
)
の
黒雲
(
こくうん
)
を、呼びよせるようなことをしている」
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その代り、重くるしい
疑惑
(
ぎわく
)
と、まだ身に覚えたこともない——まるでわたしの中で何ものかが息を引き取ろうとしているような、一種異様なわびしさが、わだかまっていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
報道は一報ごとに不安と
疑惑
(
ぎわく
)
を増大せしめるようなものばかりであった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
イバンスの最後の一語をきいた少年たちは、
疑惑
(
ぎわく
)
を感じた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「あらぬ
疑惑
(
ぎわく
)
をもって当家の内秘を
覗
(
のぞ
)
かんとする天満の
痩
(
やせ
)
浪人、船出の別宴によい
肴
(
さかな
)
じゃ、重喜がみずから血祭りにしてくりょう!
女中
(
おんな
)
ども、誰かある!
佩刀
(
はかせ
)
を取れ」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庭の植込みに隠れていたかもしれない
泥坊
(
どろぼう
)
の
詮議
(
せんぎ
)
や、一応は疑われた婆やさんのこと、酒田の物忘れについての
疑惑
(
ぎわく
)
など、いろいろのことが入りくんでややこしくなったのであるが
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
驚
(
おどろ
)
きのあまり気が遠くなって、おそろしい
疑惑
(
ぎわく
)
に胸を
締
(
し
)
めつけられながら、わたしはもと来た方へ駆け出して、横町を走り抜ける
拍子
(
ひょうし
)
に、すんでのことでエレクトリークの手綱を
離
(
はな
)
すところだったが
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
初めからひそかに
咲耶子
(
さくやこ
)
を
救
(
すく
)
いだす
策略
(
さくりゃく
)
で来たのであるが、とちゅう、
馬糧小屋
(
まぐさごや
)
にふしぎな
煙
(
けむり
)
がもれていたため、その
疑惑
(
ぎわく
)
にひまどって、ついに、こういう
破目
(
はめ
)
になったのは
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、それから、この列車の憲兵と車掌も、彼に対し幾分
疑惑
(
ぎわく
)
を持っているのだ。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
呉子さんは、柿丘の言葉に、これッぱかりの
疑惑
(
ぎわく
)
もさしはさまなかった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
疑惑
(
ぎわく
)
をもって見れば、いくらでも疑わしい点が出てくる。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アンの力というよりも彼の方に、新しい
疑惑
(
ぎわく
)
が湧いてきたが
故
(
ゆえ
)
だった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
初めて、
疑惑
(
ぎわく
)
をもつだけの余裕がでた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“疑惑”の意味
《名詞》
疑 惑(ぎわく)
本当かどうか、不正がないか等の疑い。
(出典:Wiktionary)
疑
常用漢字
小6
部首:⽦
14画
惑
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
“疑”で始まる語句
疑
疑懼
疑問
疑惧
疑念
疑心暗鬼
疑団
疑心
疑無
疑問記号