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瓜井戸
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うりゐど
小助は
前途を
見渡して、
此から
突張つて
野を
越して、
瓜井戸の
宿へ
入つたが、
十二時を
越したと
成つては、
旅籠屋を
起しても
泊めてはくれない。
いや、
勇んだの
候の、
瓜井戸の
姉はべたりだが、
江戸ものはコロリと
來るわ、で、
葛西に、
栗橋北千住の
鰌に
鯰を、
白魚の
氣に
成つて、
腮を
撫でた。
いや、
勇んだの
候の、
瓜井戸の
※は、べたりだが、
江戸ものはころりと
來るわ、で、
葛西に、
栗橋、
北千住の
鰌鯰を、
白魚の
氣に
成つて、
頤を
撫でた。
と
思ひながら
瓜井戸の
野の
眞中に、
一人で
頭から
悚然すると、する/\と
霞が
伸びるやうに、
形は
見えないが、
自分の
居まはりに
絡つて
啼く
猫の
居る
方へ
件の
元二はあとをも
見ないで、
村二つ
松並木を
一帳場で
瓜井戸の
原へ
掛つたのが
彼これ
夜の
八ツ
過であつた。
と
思ひながら、
瓜井戸の
野の
眞中に、
一人で
頭から
悚然とすると、する/\と
霞が
伸びるやうに、
形は
見えないが、
自分の
居まはりに
絡つて
鳴く
猫の
居る
方へ
あんな
事を
云つて、お
前さん
又おだましだよ。
筑波へお
詣りぢやありますまい。
博奕の
元手か、
然うでなければ、
瓜井戸の
誰さんか、
意氣な
女郎衆の
顏を
見においでなんだよ。