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狂
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くるひ
それから
紫檀の
茶棚が
一つ
二つ
飾つてあつたが、
何れも
狂の
出さうな
生なもの
許であつた。
然し
御米にはそんな
區別は
一向映らなかつた。
又一方には
貸倒の損耗あるを思へば、
所詮仆し、仆さるるは
商の習と、お峯は
自ら
意を強うして、この
老女の
狂を発せしを、夫の
為せる
業とは
毫も思ひ
寄るにあらざりき。
舟より
船と
飛び
渡りて、
其祝意をうけらるゝは、
当時の
源廷尉宛然なり、
予も
肉動きて
横川氏と
共に
千島に
行かばやとまで
狂たり、
舟は
大尉萬歳の
歓呼のうちに
錨を
上げて
朗々なりしも
掌をかへすがごとく
天怒地狂、寒風は
肌を
貫の
鎗、
凍雪は
身を
射の
箭也。
昨夕飲んだ
麦酒は
是に
比べると
愚なものだと、代助は
頭を
敲きながら考へた。
幸に、代助はいくら
頭が
二重になつても、脳の活動に
狂を受けた事がなかつた。
はつと驚ろいた三四郎の足は、
早速の歩調に
狂が出来た。其時透明な空気の
画布の
中に
暗く
描かれた女の
影は
一歩前へ
動いた。三四郎も
誘はれた様に前へ動いた。